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コラム
column

2021/03/04

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年3月4日)

ダイジェスト

・原油在庫は2156万バレル増加
 原油生産量は日量1000万バレルと前週比30万バレルの増加
 輸出入では輸入629万バレル、輸出量が235万バレルで394万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は12.6%低下し原油処理量は232万バレルの大幅減少
 寒波後も製油所の大量閉鎖が続き原油処理量が大幅減少し原油在庫が増加
・ガソリン在庫は1362万バレル減少
 出荷量も生産量も増加となったが出荷量の増加がより多く在庫は大幅減少となった
 ガソリン生産量は57万バレル増加、輸入量は7万バレル増加
 ガソリン出荷量は94万バレル増加、輸出量は2万バレル減少
・留出油在庫は971万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少
 留出油の生産量は73万バレル減少、輸入量は2万バレル減少
 留出油の出荷量は15万バレル減少、輸出量は12万バレル増加
・原油と石油製品を合わせた在庫量は19億1980万バレルで前週より1280万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は48万バレル増加した4830万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率は63.5%

EIA週間統計の総評

 昨日発表のEIAの週間在庫統計は前々週にテキサス州を襲った寒波の影響による製油所が閉鎖されたため原油在庫が2156万バレルの超大幅増加となった。石油製品ではガソリン在庫が1362万バレルの大幅減少、留出油在庫は971万バレルの減少だった。原油先物相場では原油在庫の増加は織り込み済みでほとんど影響しなかった。
 原油生産は前週の日量970万バレルからやや回復した1000万バレル、原油輸入量は前週比で169万バレル増加した日量629万バレル、輸出量は日量4万バレル増加した日量235万バレルとなった。全体としては86万バレルの輸入超過となっている。製油所の稼働率は前週比で12.3%大幅低下した56.3%となり、原油処理量は前週比で232万バレルと大幅減となった日量990万バレルだった。戦略備蓄(SPR)の放出は0だった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は19億1980万バレルと前週比で280万バレルの減少となった。WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は48万バレル増加した4830万バレルだった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 原油の在庫は2156万バレル増加した4億8460万バレル、ガソリン在庫は1362万バレル減少した2億4350万バレル、留出油在庫は961万バレル減少した1億4300万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は48万バレル増加した4830万バレルだった。

API統計 EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)740増2156増128増725減664減
ガソリン(万バレル)990減1362減1増67増425増
留出油(万バレル)910減961減496減342減173減
クッシング在庫(万バレル)48増280増302減65減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。ガソリン在庫は急減でとなり過去5年間の在庫レンジを割り込んだ。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は寒波後の生産回復が始まり1000万バレルと前週比で日量30万バレルの増加となった。原油輸入量は前週比で日量169万バレル増加した629万バレル、輸出量は日量4万バレル減少した235万バレルとなった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計ではAdjustmentが137万バレル減となったが-95万バレルと、在庫を増加させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)10009701080110010661310
戦略備蓄増加(万バレル/日)000000
原油輸入(万バレル/日)629459589585581623
原油輸出(万バレル/日)235231386261290415
Adjustment(万バレル/日)-954292-422023
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週は主要な輸入国からの原油輸入量が全て増加となった。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ36428353
メキシコ603535
サウジアラビア361422
イラク606
コロンビア28208
エクアドル1156
ナイジェリア853
ブラジル000
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。寒波による閉鎖で製油所の稼働率が12.3%低下した56.3%となった。製油所への原油投入量は232万バレル減少した日量990万バレルとなり1000万バレルの大台を割り込んだ。石油製品の生産ではガソリン生産が前週比で57万バレル増加した日量830万バレル、ジェット燃料生産が10万バレル減少した日量80万バレル、留出油生産が73万バレル減少した日量289万バレルだった。製油所の稼働率の大幅低下で原油投入量も大幅減少した。石油製品の生産ではガソリンの生産が日量57万バレル増加、ジェット燃料の生産が10万バレル、留出油の生産が73万バレル減少している。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)99012231481147914121569
製油所稼働率(%)56.368.683.183.072.386.9
ガソリン生産(万バレル/日)  830773903868843975
ガソリン輸入(万バレル/日) 605367656040
ジェット燃料生産(万バレル/日)8090114119101164
ジェット燃料輸入(万バレル/日)1912441012
留出油生産(万バレル/日)   289362457466393464
留出油輸入(万バレル/日)  323036353312
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。前週比でガソリン出荷量は日量94万バレルと大幅増加した814万バレル、ジェット燃料の出荷量は31万バレル増加した日量128万バレル、留出油の出荷量は15万バレル減少した日量378万バレルとなった。主要石油製品ではガソリンの出荷量が伸びている

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)814720840785790918
ガソリン輸出(万バレル/日)495147486555
ジェット燃料出荷(万バレル/日)12897117126117170
ジェット燃料輸出(万バレル/日)741241125
留出油出荷(万バレル/日)378393445430412391
留出油輸出(万バレル/日)8270979589120
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週比で12.3%と大幅低下したことで、原油消費量は前週より232万バレル減少した日量990万バレルとなった。テキサス州を中心とする寒波で多数の製油所が閉鎖された影響で原油消費量が1000万バレルを下回った。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で57万バレル増加した830万バレル、輸入量は7万バレル増加した60万バレルとなった。ガソリンの出荷量は94万バレル増加した814万バレル、輸出量は2万バレル減少した49万バレルだった。出荷量と生産量の双方が増加しガソリン在庫は大幅減少となった。
 次に留出油は生産量が73万バレル減少した289万バレル、輸入量は2万バレル減少した32万バレルだった。留出油の出荷量は15万バレル減少した378万バレル、輸出量は12万バレル増加した82万バレルとなった。生産量が出荷量より減少したことで在庫の取り崩しが続いている。
 ジェット燃料生産量は10万バレル減少した80万バレル、出荷量は128万バレルと31万バレル増加した128万バレルだった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で7万バレル増加した1875万バレルとなった。原油在庫が2156万バレルの大幅増加、ガソリン在庫増加が1362万バレル、留出油の在庫が971万バレルの大幅減少となった。全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で280万バレル減少した19億1980万バレルとなった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週のガソリン卸売価格が約9セントの上昇、ディーゼル燃料卸売価格が約4セントの上昇となった。製油所の閉鎖で供給減となり価格が上昇した。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
2/262/192/122/51/29前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
1.8971.8071.6611.6721.5941.458
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
1.8971.8181.7781.7161.5991.485
原油
(ドル/バレル)
61.5559.1259.5056.8052.1644.83
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果で、今週のガソリン小売価格は約8セント、ディーゼル燃料の小売価格は先週に続き約10セントの上昇となった。製油所閉鎖による石油製品の供給減のため上昇している。

小売価格3/1  2/22  2/15  2/8  2/1  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.7112.6332.5012.4612.4092.423
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.0843.0062.8902.8472.7922.838
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.3443.2633.1413.1043.0513.093
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.0722.9732.8762.8012.7382.851
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 原油生産量は寒波の油田が再開されはじめ日量30万バレル増加した1000万バレルとなったが、いまだ寒波前より80万バレル少ない状態となっている。需要面では製油所の多数閉鎖が続き、製油所稼働率が先週の14.5%低下に続きの12.3%の大幅低下となった。原油消費量は232万バレルと大幅減少し、日量990万バレルと1000万バレルを割り込んだ。原油輸出入は日量228万バレルの輸入超過で、輸入量が前週比で日量169万バレル増加した日量629万バレル、輸出量が3万バレル減少した日量235万バレルだった。原油生産が増加したことに加えて原油消費量が大幅低下となり原油在庫が増加した。
 出荷量も生産量も増加となったが出荷量の増加がより多く在庫は大幅減少となった。
 留出油は生産量と出荷量がともに減少したが、供給側(生産量+輸入量)より需要側(出荷量+輸出量)が多い状態が今週も差を拡大して続き在庫は大幅減少している。
 全ての石油製品の出荷量は日量7万バレル増加した1875万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は、280万バレル減少した19億1980万バレルだった。

 今週の原油先物相場は、OPECプラスがロシアの提案する日量50万バレルの増産とサウジアラビアの日量100万バレルの自主減産の終了で、合計150万バレルの追加増産を行うとの観測を材料に下落していた。ところが、昨日開催されたOPECプラスのJMMC(共同閣僚監視委員会)が原油生産量に何らコメントしない結果となり、OPECプラスが従来の予定通り3月の生産量を4月も維持するとの観測が浮上したことを材料に上昇した。しかし、ロシアやサウジアラビアの動向は不透明な上、開催される会合が1月に続き紛糾する可能性もあり原油相場の不安定な動きが続いている。筆者は増産に転じ価格が下落に向かうと予想している。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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