目次
ダイジェスト
・2021年の作付意向面積は大豆が8760万エーカー、コーンが9114万エーカーとなった。
・大豆、コーン共に2020年の作付実績を上回ったが、事前予想を下回る結果となった。
・大豆は多くの州で作付面積が拡大したが、コーンは主要生産州で作付面積が縮小している
・作付面積が2月の予想を下回ったため、需給報告内の予想期末在庫が引き下がり、需給見通しが更にひっ迫する可能性
2021年/2022年シーズンのアメリカの作付意向面積発表
昨夜USDAから今シーズンの作付意向調査結果が発表された。表1は作付意向面積の結果をまとめたものとなる。大豆・コーン共に事前予想を大きく下回った強気な結果となり、大豆相場・コーン相場共に発表後にストップ高となりそのまま引けた。今日の取引も上窓が開いて始まっているが、予想を下回る結果となったものの前年度実績をコーンで1%、大豆で5%上回っているため今日の値動きは弱含みとなっている。
前年度実績 | USDA予測 2月時点 | ロイター調べ | 作付意向面積 | 前年比 | |
大豆 | 8310万エーカー | 9000万エーカー | 8999万エーカー | 8760万エーカー | +5% |
コーン | 9080万エーカー | 9200万エーカー | 9320万エーカー | 9114万エーカー | +1% |
大豆とコーンの主要生産州ごとの作付面積をまとめたものが次の表となる。図2は大豆の作付面積上位10州をまとめたもので大豆は生産面積の多い29州の内過半数に当たる23州で作付面積が増加しているが予想より伸び悩んだ。
2019年実績 (エーカー) | 2020年実績 (エーカー) | 2021年予定 (エーカー) | 前年比 | |
イリノイ | 995万 | 1030万 | 1070万 | 104% |
アイオワ | 920万 | 940万 | 980万 | 104% |
ミネソタ | 685万 | 740万 | 780万 | 105% |
インディアナ | 540万 | 570万 | 580万 | 102% |
ミズーリ | 510万 | 585万 | 580万 | 99% |
サウス・ダコタ | 350万 | 495万 | 570万 | 115% |
ネブラスカ | 490万 | 520万 | 550万 | 106% |
オハイオ | 430万 | 490万 | 500万 | 102% |
カンザス | 455万 | 475万 | 470万 | 99% |
アーカンソー | 265万 | 282万 | 300万 | 106% |
ミシガン | 176万 | 220万 | 225万 | 102% |
全国 | 7610万 | 8308万 | 8760万 | 105% |
図3はコーンの作付面積上位10州をまとめたものでコーンの作付は作付面積上位の州で作付面積が減少する結果となっている。作付面積の多い週での伸び悩みが予想を下回った原因だと考えられる。
2019年実績 (エーカー) | 2020年実績 (エーカー) | 2021年予定 (エーカー) | 前年比 | |
アイオワ | 1350万 | 1360万 | 1320万 | 97% |
イリノイ | 1050万 | 1130万 | 1090万 | 96% |
ネブラスカ | 1010万 | 1020万 | 990万 | 97% |
ミネソタ | 780万 | 800万 | 800万 | 100% |
カンザス | 640万 | 610万 | 580万 | 95% |
インディアナ | 500万 | 540万 | 520万 | 96% |
サウス・ダコタ | 435万 | 495万 | 560万 | 113% |
ウィスコンシン | 380万 | 400万 | 415万 | 104% |
オハイオ | 280万 | 355万 | 340万 | 96% |
ミズーリ | 320万 | 345万 | 340万 | 99% |
ノース・ダコタ | 350万 | 195万 | 330万 | 169% |
全国 | 8974万 | 9081万 | 9114万 | 101% |
今後の見通し
昨夜、今年のアメリカの大豆とコーンの作付意向面積が発表された。大豆・コーンとも2020年の作付実績を上回ったが、事前の市場予想は下回る内容となった。大豆については主要な生産州で作付面積が5%程度増加したものの予想よりは伸び悩んだことが原因と考えられるが、コーンは主要な生産州の多くで作付面積が減少となっており対照的な内訳となっている。
大豆とコーンの作付面積が2月時点のUSDAの予想を下回ったことで4月の需給報告では大豆とコーンの生産量や期末在庫量の予想が3月の予想より引き下げられる可能性が高くなった。3月の需給報告の時点でアメリカの大豆輸出量が過去最大となるなど、すでに世界の大豆とコーンの需給見通しはひっ迫状態にあった。今回、作付面積の減少で予想期末在庫量が更に引き下げられることになり、今年も厳しい需給見通しが続くと考えられる。ただし、作付意向面積は現時点での予想に過ぎず、作付面積はまだ決定した訳ではないため、今後の値動きに応じて農家の作付意向が変わる可能性があることには注意したい。
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。