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コラム
column

2021/04/15

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年4月15日)

ダイジェスト

・イスラエルがイランの核施設をサイバー攻撃したとの情報やイエメンの武装勢力フーシ派がドローンでサウジアラビアを攻撃したとの情報で一時的に相場が高騰
・アメリカとイランの間の協議は成果がないものの喧嘩別れせず
・OPECの月次報告、IEAの月例報告共に原油需要を引き上げ
・原油在庫は588万バレル減少
 原油生産量は日量1100万バレルと前週から10万バレルの増加
 輸出入では輸入量が585万バレル、輸出量が757万バレルで328万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は1.0%向上するも、原油処理量は1万バレルの増加とほぼ横ばいだった
 Adjustmentによる在庫調整が前週と比べて減少側に大きく振れている
・ガソリン在庫は30万バレル増加
(生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が増加しているものの輸入量の急減で在庫の増加幅が縮小
 ガソリン生産量は34万バレル増加、輸入量は46万バレル減少
 ガソリン出荷量は16万バレル増加、輸出量は13万バレル減少
・留出油在庫は208万バレル減少
 出荷量が大きく増加したことで、(生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)となり在庫減少に転じる
 留出油の生産量は1万バレル増加、輸入量は6万バレル減少
 留出油の出荷量は46万バレル増加、輸出量は2万バレル減少
・原油と石油製品を合わせた在庫量は19億2020万バレルで前週より1020万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は34万バレル増加した4667万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率は61.4%


EIA週間統計の総評

 昨夜EIAの週間在庫統計が発表された。原油在庫は588万バレルの減少となった。製油所の稼働率は前週比1.0%向上した85.0%となり、原油消費量は前週比1万バレル増加した1505万バレルとなっている。石油製品ではガソリン在庫が30万バレルの増加、留出油在庫は208万バレルの増加、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は34万バレル増加した4667万バレルだった。
 原油生産は前週から10万バレル増加した日量1100万バレル、原油輸入量は前週比で41万バレル減少した日量585万バレル、輸出量は日量85万バレル減少した日量257万バレルとなった。輸出入全体としては328万バレルの輸入超過となっている。戦略備蓄(SPR)の放出は0だった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は19億2020万バレルと前週比で1020万バレルの減少となった。

原油と石油製品の在庫(表2)

 原油の在庫は588万バレル減少した4億9240万バレル、ガソリン在庫は30万バレル増加した2億3490万バレル、留出油在庫は208万バレル減少した1億4350万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は34万バレル減少した4667万バレルだった。

API統計 EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)360減588減352減87減192増
ガソリン(万バレル)560増30増404増173減20増
留出油(万バレル)300減208減145増254増380増
クッシング在庫(万バレル)34増73減78増193減
表2 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図2は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫は過去5年間の在庫レンジよりやや多め、留出油在庫は過去5年間の在庫レンジ中央値付近、ガソリン在庫は未だ過去5年間の在庫レンジを割り込んでいる状態となっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表3と表4)

 表3原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は前週比で10万バレル増加した日量1100万バレルとなった。原油輸入量は前週比で日量41万バレル減少した585万バレル、輸出量は日量85万バレル減少した257万バレルとなった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計ではAdjustmentが103万バレル減少したマイナス22万バレルで在庫を減少させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)110010901110110010791230
戦略備蓄増加(万バレル/日)000000
原油輸入(万バレル/日)585626614562581568
原油輸出(万バレル/日)257343317248286343
Adjustment(万バレル/日)-228174522087
表3 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表4の通り。今週はメキシコとエクアドルからの輸入が増加した以外、カナダやメキシコは初めほとんどの国から輸入が減少している。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ336341-5
メキシコ7363+10
サウジアラビア1825-7
イラク2224-2
コロンビア2025-5
エクアドル2928+1
ナイジェリア1216-4
ロシア1423-9
ブラジル07-7
表4 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表5)

 表5は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は1.0%向上した85.0%となったが、製油所への原油投入量は1万バレル増加した日量1505万バレルとほぼ横ばいだった。石油製品の生産ではガソリン生産が前週比34万バレル増加した日量961万バレル、ジェット燃料生産が4万バレル増加した日量119万バレル、留出油生産が1万バレル増加した日量464万バレルだった。製油所稼働率は1%向上したが原油投入量は前週比で1万バレル増加した1505万バレルとほぼ横ばいだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)150515041494143814851266
製油所稼働率(%)85.084.083.981.683.629.1
ガソリン生産(万バレル/日)  961927933857920589
ガソリン輸入(万バレル/日) 8312961939240
ジェット燃料生産(万バレル/日)11911511410311371
ジェット燃料輸入(万バレル/日)792410139
留出油生産(万バレル/日)   464463473460465492
留出油輸入(万バレル/日)  263244664231
表5 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表6)

 表6は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。前週比でガソリン出荷量は日量16万バレル増加した894万バレル、ジェット燃料の出荷量は9万バレル増加した日量135万バレル、留出油の出荷量は46万バレル増加した日量412万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)894878889816880508
ガソリン輸出(万バレル/日)667954434857
ジェット燃料出荷(万バレル/日)13512613610312546
ジェット燃料輸出(万バレル/日)91053721
留出油出荷(万バレル/日)412366411359387275
留出油輸出(万バレル/日)10710970112100140
表6 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週比で1.0%上昇した85.0%となったが、原油消費量は前週より1万バレル増加した日量1505万バレルに留まった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で34万バレル増加した927万バレル、輸入量は46万バレル減少した83万バレルとなった。ガソリンの出荷量は16万バレル増加した894万バレル、輸出量は13万バレル減少した66万バレルだった。輸入量の減少でガソリン在庫の増加幅が縮小している。
 次に留出油は生産量が1万バレル増加した464万バレルで横ばい、輸入量は6万バレル減少した26万バレルだった。留出油の出荷量は46万バレル増加した412万バレル、輸出量は2万バレル減少した107万バレルと微減となった。出荷量が大きく増加したことで在庫が減少に転じた。
 ジェット燃料生産量は4万バレル増加した119万バレル、出荷量は9万バレル増加した135万バレルだった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で109万バレル増加した2032万バレルとなった。原油在庫が588万バレルの減少、ガソリン在庫が30万バレルの増加、留出油の在庫が208万バレルの減少となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で1020万バレル減少した19億2020万バレルだった。

石油製品価格(表7と表8)

 表7はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となるが、今週は前年度の価格がイースターの祝日で価格が公開されていないが、燃料の卸価格は値動きが1セント程度で横ばいとなっている。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
4/94/23/263/19前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
1.9561.9251.890
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
1.8101.8021.822
原油
(ドル/バレル)
59.2960.9361.43
表7 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表8は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格とディーゼル燃料の小売価格共に横ばいあるいは1セント程度の値下がりとなっている。

小売価格4/12  4/5  3/29  3/22  3/15  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.8492.8572.8522.8652.8531.853
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.2593.2593.2513.2653.2412.316
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.5103.5113.5063.5163.4952.562
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.1293.1443.1613.1943.1912.507
表8 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 原油生産量は日量1100万バレルと前週から20万バレルの減少となった。需要面では製油所稼働率は前週比で1.0%上昇したが、原油消費量は1万バレル増加とほぼ横ばいの日量1505万バレルだった。原油輸出入は日量328万バレルの輸入超過で、輸入量が前週比で日量41万バレル減少した日量585万バレル、輸出量が85万バレルと大きく減少した日量257万バレルとなった。統計によると在庫減少幅の拡大はAdjustmentの補正が在庫減少側に振れたことが要因となっている。
 ガソリンは輸入量が大きく減少したことで在庫増加ではあるが増加幅は30万バレルと小さかった。留出油は出荷量が大きく増加し在庫減に転じた。ただし、市場の燃料価格は安定しており需要増加とは言いにくい状態と考えている。
 全ての石油製品の出荷量は日量109万バレル増加した2032万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は、1020万バレル減少した19億2020万バレルだった。
 イランとアメリカの協議に特に進展はなかった。一方で、イスラエルがイランの核施設をサイバー攻撃したとのニュースやイエメンの武装勢力フーシ派がサウジアラビアの石油施設に攻撃を試みたとのニュースやOPECやIEAが年間の原油消費量を引き上げたことなどが支援材料となった。原油相場は月曜日から3日連続の陽線、特に火曜日と水曜日は2日連続の大陽線となり、3日間で約3ドル上昇した。中東情勢は悪化しており、今後も同様のニュースには注意したいが、有事レベルの上昇幅となっておりニュースや需要増予測だけを理由にした上昇とは考えずらい。明らかに投機の資金が流入しており、直近高値の68ドルを目指すのではと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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