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コラム
column

2021/04/22

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年4月22日)

ダイジェスト

・インドなどこれまで原油需要を支えてきた国々で新型コロナウイルスの感染が広がっていることを懸念して相場は下落
・原油在庫は30万バレル増加
 原油生産量は日量1100万バレルと前週から横ばい
 輸出入では輸入量が540万バレル、輸出量が254万バレルで286万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は横ばいだったが、原油処理量は28万バレルの減少
 Adjustmentによる在庫調整が前週と比べて増加側に大きく振れている
・ガソリン在庫は3万バレル増加
(生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が増加しているものの出荷量の増加で在庫の増加幅が縮小
 ガソリン生産量は23万バレル減少、輸入量は28万バレル増加
 ガソリン出荷量は16万バレル増加、輸出量は1万バレル増加
・留出油在庫は107万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少している。今週は出荷量が減少となり在庫減少幅が縮小した
 留出油の生産量は9万バレル減少、輸入量は10万バレル減少
 留出油の出荷量は27万バレル減少、輸出量は6万バレル減少
・原油と石油製品を合わせた在庫量は19億2310万バレルで前週より280万バレルの増加
・オクラホマ州クッシング在庫は131万バレル減少した4540万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率は61.4%

EIA週間統計の総評

 昨夜EIAの週間在庫統計が発表された。原油在庫は30万バレルの増加となった。製油所の稼働率は前週比で横ばいの85.0%のままだったが、原油消費量は前週比28万バレル減少した1476万バレルとなっている。石油製品ではガソリン在庫が3万バレルの増加、留出油在庫は107万バレルの減少、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は131万バレル減少した4540万バレルだった。
 原油生産は前週と同量の日量1100万バレル、原油輸入量は前週比で44万バレル減少した日量540万バレル、輸出量は日量3万バレル減少した日量254万バレルとなった。輸出入全体としては286万バレルの輸入超過となっている。戦略備蓄(SPR)の放出は0だった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は19億2310万バレルと前週比で280万バレルの増加となった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 原油の在庫は30万バレル増加した4億9300万バレル、ガソリン在庫は3万バレル増加した2億3500万バレル、留出油在庫は107万バレル減少した1億4240万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は131万バレル減少した4540万バレルだった。

API統計 EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)40増30増588減352減87減
ガソリン(万バレル)160減3増30増404増173減
留出油(万バレル)70増107減208減145増254増
クッシング在庫(万バレル)131減34増73減78増
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫は過去5年間の在庫レンジよりやや多め、留出油在庫は過去5年間の在庫レンジ中央値付近、ガソリン在庫は未だ過去5年間の在庫レンジを割り込んでいる状態となっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は前週から変わらず日量1100万バレルとなった。原油輸入量は前週比で日量44万バレル減少した540万バレル、輸出量は日量3万バレル減少した254万バレルとなった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計ではAdjustmentが110万バレル増加した88万バレルで在庫を増加させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)110011001090111011001220
戦略備蓄増加(万バレル/日)000000
原油輸入(万バレル/日)540585626614591493
原油輸出(万バレル/日)254257343317293289
Adjustment(万バレル/日)88-2281745535
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週はカナダ、メキシコ、エクアドル、イラクからの輸入が減少している。一方でサウジアラビアやロシア、ブラジルからの輸入が増加した。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ290336-46
メキシコ4573-28
サウジアラビア3518+17
イラク322-19
コロンビア1120-9
エクアドル1729-12
ナイジェリア712-5
ロシア2614+12
ブラジル120+12
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は85.0%と前週から横ばいとなったが、製油所への原油投入量は28万バレル減少した日量1476万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産が前週比23万バレル減少した日量928万バレル、ジェット燃料生産は横ばいの日量119万バレル、留出油生産が9万バレル減少した日量455万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)147615051504149414851266
製油所稼働率(%)85.085.084.083.983.629.1
ガソリン生産(万バレル/日)  938961927933940620
ガソリン輸入(万バレル/日) 11183129619636
ジェット燃料生産(万バレル/日)11911911511411764
ジェット燃料輸入(万バレル/日)1379241315
留出油生産(万バレル/日)   455464463473464500
留出油輸入(万バレル/日)  162632442910
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。前週比でガソリン出荷量は日量16万バレル増加した910万バレル、ジェット燃料の出荷量は18万バレル減少した日量117万バレル、留出油の出荷量は27万バレル減少した日量385万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)910894878889893531
ガソリン輸出(万バレル/日)6766795466551
ジェット燃料出荷(万バレル/日)11713512613612861
ジェット燃料輸出(万バレル/日)79105810
留出油出荷(万バレル/日)385412366411402394
留出油輸出(万バレル/日)101107109709786
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週比横ばいの85.0%のままだったが、原油消費量は前週より28万バレル減少した日量1476万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で23万バレル減少した938万バレル、輸入量は28万バレル増加した111万バレルとなった。ガソリンの出荷量は16万バレル増加した910万バレル、輸出量は1万バレル増加した67万バレルだった。出荷量の増加でガソリン在庫の増加幅が0近くまで縮小している。
 次に留出油は生産量が9万バレル減少した455万バレル、輸入量は10万バレル減少した16万バレルだった。留出油の出荷量は27万バレル減少した385万バレル、輸出量は6万バレル減少した101万バレルとなった。出荷量の減少で在庫の減少幅が小さくなった。
 ジェット燃料生産量は横ばいで119万バレル、出荷量は9万バレル増加した135万バレルだった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で156万バレル減少した1876万バレルとなった。原油在庫が30万バレルの増加、ガソリン在庫が3万バレルの増加、留出油の在庫が107万バレルの減少となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で280万バレル増加した19億2310万バレルだった。

石油製品価格(表6と表7)

 表7はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となるが、今週は前年度の価格は新型コロナウイルスの感染拡大が急速に広がったことによる需要減で大きく落ち込んでいた。今週の燃料の卸価格はガソリンとディーゼル燃料共に8セント上昇している。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
4/164/94/23/26前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.0291.9561.9250.623
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
1.8941.8101.8020.967
原油
(ドル/バレル)
63.1659.2960.9318.31
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格とディーゼル燃料の小売価格はほとんど横ばいだった。

小売価格4/12  4/12  4/5  3/29  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.8552.8492.8572.8521.812
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.2673.2593.2593.2512.275
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.5173.5103.5113.5062.519
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.1243.1293.1443.1612.480
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 原油生産量は日量1100万バレルと前週から変わらなかった。需要面では製油所稼働率は85.0%と前週から横ばいとなったものの、原油消費量は28万バレル減少した日量1476万バレルだった。原油輸出入は日量286万バレルの輸入超過で、輸入量が前週比で日量44万バレル減少した日量540万バレル、輸出量が3万バレル減少した日量254万バレルとなった。原油消費の減少で在庫が増加した。
 ガソリンは出荷量が増加したことで在庫増加ではあるが増加幅はほぼ0となった。留出油は出荷量が減少し在庫減少幅が縮小した。市場の燃料価格から見ると卸売価格は上昇している。春を迎えて、今後の需要増に備えたスタンドが在庫を増やしていると考えられるが、いまだ小売価格は安定している。
 全ての石油製品の出荷量は日量156万バレル減少した1876万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は、290万バレル増加した19億2310万バレルだった。
 原油相場は今週火曜日にリビアの原油輸出が減少していることを材料に4月の最高値を付けたが、インドなどこれまで原油需要を支えてきたアジア諸国で新型コロナウイルスの感染が拡大していることで原油需要の先行懸念が高まり下落に転じている。今週はサウジアラビアの石油施設が攻撃を受けるなどのヘッドラインニュースがなかったことも原油の上昇に歯止めをかけていると考えられる。ただし、60.60ドル近傍を下値として底堅い値動きが続いており、材料さえあれば再度上昇する可能性を否定できない不安定な状況が続いている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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