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コラム
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2021/04/28

エネルギー速報:アメリカの原油・天然ガス生産用リグの数と生産量の見通し(つらつらコラム2021年4月28日)

ダイジェスト

・原油・天然ガス採掘用リグ数は去年8月の244基を底として前週には343基まで増加
・アメリカの多くの地域で4月から5月にかけて生産性が低下
・生産性の低下でリグ数の増加程には原油と天然ガスの生産が伸びていない
・アメリカのシェール産業の中心地パーミヤンではリグ数の増加と生産性の向上で特例的に生産が増加している

シェールオイル・シェールガスのリグ数と生産量の関係

 今日はアメリカの原油生産用・天然ガス生産用リグの数と生産量の関係について見解を述べてみたい。前年の新型コロナウイルスの流行が始まった際には原油生産リグ・天然ガス生産リグの数は極度に落ち込んだ。その後は原油価格の上昇とともにリグ数の増加傾向が現在まで続いておりリグ数は約100基回復した。一方で原油生産、天然ガスの生産は最近ではそれほど伸びず、横ばいあるいは微減となっている。

図1 地域別の石油・天然ガス生産量を2021年5月と2020年5月で比較(出展元 EIA)
左:原油 右:天然ガス
濃:2021年5月 淡:2020年5月

 図1は2021年5月と2020年5月を比較しているが、2021年5月の生産量は2020年の同月より増えている。一方で表1はアメリカ国内でシェールオイル・シェールガスを生産している地域ごとに今年4月と5月の推定生産量を示している。トータル(アメリカ国内のシェールオイル、シェールガスの生産量の合計)で見ると4月の日量760.0万バレルに対して5月は日量761.1万バレルと原油生産はほぼ横ばいなのに対して、天然ガスの生産量は4月の日量82932Mcf(82.93Bcf)に対して日量82783Mcf(82.78Bcf)と減少していることが分かる。

表1 地域別の原油・天然ガス生産量(出展元 EIA)
左:原油 右:天然ガス


 2021年に入ってリグ数が増加しているにもかかわらず原油や天然ガスの生産量がリグ数の伸びほど伸びてこない理由は何だろうか。EIAのデータを元に順を追って分析してみる。
 まず図2はシェールオイル・シェールガス生産の中心地パーミヤンでの生産量の内訳を、図3は主要生産地の1つバッケンの内訳を示している。2つの図中にある0を示している黒い水平線は2021年4月の生産量を0としたもので、全体の基準線となっている。各グラフの3つの棒グラフは以下の情報を示している。

左側:4月から5月の間に新規に加わった井戸の生産量
中央:4月以前に稼働した古い井戸の生産量の増減
右側:上記2つの合計(0を基準とした4月から5月の間の生産量の増減)

古い井戸からの生産量は基本的に古い井戸の生産量が経年劣化で前の月より減少するためマイナスになる。図2と図3を表にすると以下の表2のようになる。

図2 パーミアンの生産量の内訳(出展元 EIA)
左:原油 右:天然ガス
図3 バッケンの生産量の内訳(出展元 EIA)
左:原油 右:天然ガス
生産量(日量)新規井戸からの生産増加古い井戸の生産増減生産量増減合計
パーミアン原油(千バレル)+266-214+52
パーミアン天然ガス(Mcf)+486-425+61
バッケン原油(千バレル)+32-44-12
バッケン天然ガス(Mcf)+42-87-45
表2 2021年4月から5月にかけての生産量の増減内訳(出展元 EIA)

 パーミヤンでは新規稼働した井戸による生産増加が古い井戸の生産量減少分を上回り生産量が増加し生産性も向上し、4月から5月にかけて日量で原油5万2千バレル、天然ガス61Mcfの増産となる。対照的に紹介したバッケンに代表されるように多くの地域では新規井戸からの生産量が古い井戸の生産減少を補えておらず、リグ数は増加傾向にあるものの4月から5月の間に日量で原油1万2千バレル、天然ガス45Mcfの減産となり、生産性が低下している。

今後の見通し

 原油価格が60ドル付近で高止まりしているため、シェールオイル・シェールガス掘削用のリグ数は増加を続けている。去年の8月に直近で最低となる244基となったが、原油価格の上昇ととともに増加を続けて先週には343基まで回復している。また、今月のEIAのレポートを見ると、古い井戸の生産量の減少分を生産量の高い新規井戸で補えず、全体で見ると生産性が低下している地域が多くなるという結果になった。これによりリグ数の増加が続いているにもかかわらず、アメリカ国内の原油生産や天然ガス生産が横ばいや微減となっている。生産性の低下は、前年8月までの原油安の期間に設備投資やリグ数が減少した影響が残っていると考えられる。
 今後の見通しだが、シェール産業の中心地であるパーミヤンではリグ数の増加や生産性の向上が他の地域より特例的に早く進んでおり増産が始まっている。今後、他の地域でもリグ数の増加や生産性が向上してくるのに応じて生産量が増加してくると考えられるが、今しばらくの時間が必要なようだ。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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