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コラム
column

2021/04/29

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年4月29日)

ダイジェスト

・原油相場は新型コロナウイルスの流行拡大による需要懸念やOPECプラスによる増産が上値を抑えていたが、今週に入って一転して原油需要の拡大見込みから原油価格が上昇している。
・原油在庫は9万バレル増加
 原油生産量は日量1090万バレルと前週から10万バレルの減少
 輸出入では輸入量が661万バレル、輸出量が254万バレルで407万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は0.4%の向上で、原油処理量は25万バレルの増加
 Adjustmentによる在庫調整はマイナス15万バレルと前週と比べて減少側に振れている
・ガソリン在庫は9万バレル増加
(生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が増加している。生産量の増加と出荷量の減少で在庫の増加幅が拡大
 ガソリン生産量は24万バレル増加、輸入量は9万バレル減少
 ガソリン出荷量は23万バレル減少、輸出量は7万バレル減少
・留出油在庫は334万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少している。今週は出荷量が増加となり在庫減少幅が拡大した
 留出油の生産量は6万バレル増加、輸入量は3万バレル減少
 留出油の出荷量は48万バレル増加、輸出量は11万バレル減少
・原油と石油製品を合わせた在庫量は19億2000万バレルで前週より310万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は72万バレル増加した4610万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率は60.7%

EIA週間統計の総評

 昨夜EIAの週間在庫統計が発表された。原油在庫は9万バレルの増加となった。製油所の稼働率は前週比で0.4%向上した85.4%となり、原油消費量は前週比25万バレル増加した1501万バレルとなっている。石油製品ではガソリン在庫が9万バレルの増加、留出油在庫は334万バレルの減少、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は72万バレル増加した4610万バレルだった。
 原油生産は前週より10万バレル減少した日量1090万バレル、原油輸入量は前週比で121万バレル増加した日量661万バレル、輸出量は日量0.7万バレル減少した日量254万バレルとなった。輸出入全体としては407万バレルの輸入超過となっている。戦略備蓄(SPR)の放出は0だった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は19億2000万バレルと前週比で310万バレルの減少となった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 原油の在庫は9万バレル増加した4億9310万バレル、ガソリン在庫は9万バレル増加した2億3500万バレル、留出油在庫は354万バレル減少した1億3900万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は72万バレル増加した4610万バレルだった。

API統計 EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)430減9増30増588減352減
ガソリン(万バレル)130減9増3増30増404増
留出油(万バレル)240減334減107減208減145増
クッシング在庫(万バレル)72増131減34増73減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫は過去5年間の在庫レンジよりやや多め、ガソリン在庫と留出油在庫は過去5年間の在庫レンジ中央値付近となっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は前週から10万バレル減少した日量1090万バレルとなった。原油輸入量は前週比で日量121万バレル増加した661万バレル、輸出量は微減の254万バレルとなった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計ではAdjustmentが103万バレル減少したマイナス15万バレルで在庫を減少させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)109011001100109010951100
戦略備蓄増加(万バレル/日)000000
原油輸入(万バレル/日)661540585626603530
原油輸出(万バレル/日)254254257343277330
Adjustment(万バレル/日)-10388-22813310
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週はカナダ、メキシコ、イラク、コロンビアを中心に主要国からの輸入が増加している。一方でロシア、ブラジルからの輸入が減少した。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ349290+59
メキシコ6045+15
サウジアラビア4835+7
イラク273+24
コロンビア2911+18
エクアドル2217+5
ナイジェリア117+4
ロシア1626-10
ブラジル712-5
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は85.4%と前週から0.4%の上昇となり、製油所への原油投入量は25万バレル増加した日量1501万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産が前週比24万バレル増加した日量962万バレル、ジェット燃料生産は2万バレル増加の日量121万バレル、留出油生産が6万バレル増加した日量461万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)150114761505150414701276
製油所稼働率(%)85.485.085.084.084.869.6
ガソリン生産(万バレル/日)  962938961927947673
ガソリン輸入(万バレル/日) 1021118312910622
ジェット燃料生産(万バレル/日)12111911911511860
ジェット燃料輸入(万バレル/日)1813791216
留出油生産(万バレル/日)   461455464463464498
留出油輸入(万バレル/日)  131626321112
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。前週比でガソリン出荷量は日量23万バレル減少した887万バレル、ジェット燃料の出荷量は1万バレル増加した日量118万バレル、留出油の出荷量は48万バレル増加した日量433万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)887910894878892586
ガソリン輸出(万バレル/日)606766796890
ジェット燃料出荷(万バレル/日)11811713512612480
ジェット燃料輸出(万バレル/日)127910912
留出油出荷(万バレル/日)433385412366399421
留出油輸出(万バレル/日)90101107109102132
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から0.4%向上して85.4%となり、原油消費量は前週より25万バレル増加した日量1501万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で24万バレル増加した962万バレル、輸入量は9万バレル減少した102万バレルとなった。ガソリンの出荷量は23万バレル減少した887万バレル、輸出量は7万バレル減少した60万バレルだった。生産量の増加と出荷量の減少でガソリン在庫が9万バレル増加した。
 次に留出油は生産量が6万バレル増加した461万バレル、輸入量は3万バレル減少した13万バレルだった。留出油の出荷量は48万バレル増加した433万バレル、輸出量は11万バレル減少した90万バレルとなった。出荷量の増加で在庫の減少幅が大きくなった。
 ジェット燃料生産量は2万バレル増加した121万バレル、出荷量は1万バレル増加した118万バレルとほぼ横ばいだった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で163万バレル減少した2039万バレルとなった。原油在庫が9万バレルの増加、ガソリン在庫が9万バレルの増加、留出油の在庫が334万バレルの減少となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で310万バレル減少した19億2000万バレルだった。

石油製品価格(表6と表7)

 表7はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。前年度の価格は新型コロナウイルスの感染拡大が急速に広がったことによる需要減で大きく落ち込んでいた。今週の燃料の卸価格はガソリンが約6セントとディーゼル燃料が約2セントの下落となった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
4/234/164/94/2前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
1.9672.0291.9560.617
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
1.8741.8941.8100.677
原油
(ドル/バレル)
62.1863.1659.2915.99
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格は約2セントの上昇、ディーゼル燃料の小売価格は横ばいだった。

小売価格4/26  4/19  4/12  4/5  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.8722.8552.8492.8571.812
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.2833.2673.2593.2592.275
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.5363.5173.5103.5112.519
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.1243.1243.1293.1442.480
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 原油生産量は10万バレル減少した日量1090万バレルとなった。需要面では製油所稼働率は85.4%と前週から0.4%向上し、原油消費量は25万バレル増加した日量1501万バレルだった。原油輸出入は日量407万バレルの輸入超過で、輸入量が前週比で日量121万バレル減少した日量561万バレル、輸出量が0.7万バレルと微減した日量254万バレルとなった。原油消費の増加はあったが原油輸入の増加で原油在庫が増加した。
 ガソリンは生産量の増加と出荷量の減少で9万バレルの在庫増となった。留出油は出荷量が増加し在庫減少幅が拡大した。市場の燃料価格はガソリンが約2セント安く、ディーゼル燃料価格は横ばいとなり小売価格は大きな動き無く引き続き安定している。
 全ての石油製品の出荷量は日量163万バレル増加した2039万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は、310万バレル減少した19億2000万バレルだった。
 原油相場はインドや欧州、南米で新型コロナウイルスの感染が拡大していることで原油需要の先行懸念が高まったことやOPECプラスが増産幅を維持したことなどが懸念材料だった一方で、アメリカや中国の景気回復による需要期待から買われて昨日まで5日連続の陽線となり、64.00ドル近傍での値動きとなっている。ただ、需給面から考えると上昇が続く材料に乏しく、値動きがどうなるかは不透明な状況となっている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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