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コラム
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2021/04/30

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年4月30日)

ダイジェスト

・4月29日発表の天然ガス在庫は各社予想10Bcf増に対して15Bcf増で今週は久しぶりに弱気な内容となった
・4月29日時点の天然ガス在庫量は1898Bcf(有効容量の44.5%)と在庫増加が続くが、増加スピードが落ちており過去5年平均、前年度の在庫のいずれをも下回っている
・4月22日から4月28日の期間の天然ガス供給量は96.1Bcf(前週比0.3Bcf増加)、天然ガス生産量が0.8Bcfと大きく増加した一方でカナダからの輸入量は減少している
・4月22日から4月28日の期間の天然ガス国内需要量は90.4Bcf(前週比4.9Bcf減)
・国内需要の内訳は発電需要が0.4Bcf増、住宅・商業用需要が3.9Bcf減、工業用は0.87cf減。寒波が去ったことによる暖房用需要の減少を受け住宅・商業用需要が減少した
・LNG輸出用需要は11.3Bcfと前週比0.3Bcfと減少しつつも好調な輸出が続く
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は0.3Bcf減少した6.0Bcf
・5月7日から14日の間、アメリカの北側は平年以下の気温、南側では平年以上の気温となる見通し

週間天然ガス在庫総評

 EIAが4月29日木曜日に発表した4月22日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で15Bcfの増加となり1898Bcfとなった。今週は各社予想の10Bcf増加を上回り久しぶりに弱い内容となった。天然ガス相場は低調な値動きだったが、弱気な在庫発表を受けて下落した。図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較しているが、現在の在庫量は過去5年平均(図1赤線)を総量でやや下回っている。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週はアメリカ東部地域で在庫が減少した以外、他の地域の天然ガス在庫は増加した。全米の在庫量は1898Bcfで平年(5年間の平均)に比べて40Bcf少なく、前年比で302Bcf少なくなっており、今月下旬に襲来した寒波の影響が残っているためか在庫の増加スピードが低下している。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の40.4%、有効容量(4261Bcf)の44.5%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は4月22日から4月28日の間の天然ガス供給量内訳となる。天然ガスの生産は91.4Bcfと前週より0.8Bcfと大きく増加、カナダからの輸入は4.7Bcfと前週から0.4Bcfの減少となった。これにより天然ガスの総供給量は前週比で0.3Bcf増加した96.1Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は4月22日から4月28日の間の天然ガス需要量内訳となる。需要量全体は90.4Bcfと前週比で4.9Bcfの減少となった。
 アメリカの国内需要は66.8Bcfと前週比で4.2Bcfの減少となった。寒波の去ったのに伴い住宅・商業用の暖房用需要を中心に需要が減少した。内訳では発電需要が0.4Bcf増加した26.1Bcf、工業需要は0.7Bcf減少した22.7Bcf、住宅・商業用需要は3.9Bcfと大きく減少した18.0Bcfとなった。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週比0.3Bcf減少した6.0Bcf、LNG輸出は0.3Bcf減少した11.3Bcfだった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

3月23日時点3月30日時点4月6日時点4月13日時点4月20日時点
原油用324基337基337基344基343基
天然ガス用92基91基93基94基94基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。4月23日発表の現在最新のレポート(4月20日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から1基減の343基、天然ガス採掘用リグ稼働数は横ばいの94基だった。リグの総数はどちらの用途でもない1基のリグを加えて前週から1基減少した438基となり、今年3月以来のリグ数の減少となった。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。4月20日以降はおおむね11Bcf以上で推移しているが、時折11Bcfを割り込む日が見られる。EIAによると4月22日から4月28日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは先週と同数の20隻で先週と同量の73BcfのLNGが輸出された。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した10日後から14日後(5月7日から5月13日)の気温予報で太平洋岸のカリフォルニアからアメリカ南部の大西洋岸にかけては平年以上の気温となるが、五大湖周辺からカナダ国境に沿って太平洋岸北部にかけては平年以下のの気温となる見通し。図4は4月15日NOAA発表の1か月予報で全国的に平年以上の気温となる見通しとなっている。今後は北側では平年並みから平年以下の気温、南側では気温が平年より上昇する見込み。

まとめ

 4月29日木曜日に発表された4月23日時点の天然ガス在庫は各社予想の10Bcf増を上回る15Bcf増と弱気な内容となった。この日の天然ガス相場は材料なく低調な動きが続いていたが、発表された天然ガス在庫が弱気な内容となったことをうけて下落した。また今回の発表では天然ガス生産が前週より0.8Bcfと大きく増加したことが注目される。この動きが続くのかどうか毎週木曜日の天然ガス在庫発表には特に注意したい。
 発表された4月22日以降の天然ガス需要内訳をみると、寒波が去ったことで、住宅・商業用セクタの需要が大きく減少している。直近1週間のLNG輸出需要はおおむね日量11Bcf台前半付近となっているが、日によって11Bcfを割り込む日も散見される。とはいっても前週と同量のLNGが輸出されており、好調な輸出が続いている。すでに寒波は去ったため来週は暖房用需要は大きく伸びないと考えられるが、それでも気温予報が相場を左右する状況が続くだろう。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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