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レポート
column

2021/04/08

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年4月8日)

ダイジェスト

・昨日、紅海上でイランの貨物船をイスラエルが攻撃したとの情報で一時的に相場が高騰
・アメリカとイランの間の協議は成果がないものの喧嘩別れせず
・原油在庫は352万バレル減少
 原油生産量は日量1090万バレルと前週から20万バレルの減少
 輸出入では輸入量が626万バレル、輸出量が343万バレルで283万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は0.1%向上、原油処理量は10万バレルの増加と横ばいだった
 
・ガソリン在庫は404万バレル増加
(生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が増加
 ガソリン生産量は6万バレル減少、輸入量は68万バレル増加
 ガソリン出荷量は11万バレル減少、輸出量は25万バレル増加
・留出油在庫は145万バレル増加
 (生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が増加
 留出油の生産量は10万バレル減少、輸入量は12万バレル減少
 留出油の出荷量は45万バレル減少、輸出量は39万バレル増加
・原油と石油製品を合わせた在庫量は19億3040万バレルで前週より230万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は73万バレル減少した4633万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率は60.9%

EIA週間統計の総評

 昨夜EIAの週間在庫統計が発表された。原油在庫352万バレルの減少となった。製油所の稼働率は前週比0.1%向上した84.0%と横ばいで、原油消費量は前週比10万バレル増加した1504万バレルとなっている。石油製品ではガソリン在庫が404万バレルの増加、留出油在庫は145万バレルの増加、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は73万バレル減少した4633万バレルだった。
 原油生産は前週から20万バレル減少した日量1090万バレル、原油輸入量は前週比で11万バレル増加した日量626万バレル、輸出量は日量26万バレル増加した日量343万バレルとなった。輸出入全体としては283万バレルの輸入超過となっている。戦略備蓄(SPR)の放出は0だった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は19億3040万バレルと前週比で230万バレルの増加となった。

原油と石油製品の在庫(表2)

 原油の在庫は352万バレル減少した4億9830万バレル、ガソリン在庫は404万バレル増加した2億3460万バレル、留出油在庫は145万バレル増加した1億4550万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は73万バレル減少した4633万バレルだった。

API統計 EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)260減352減87減192増239増
ガソリン(万バレル)460増404増173減20増47増
留出油(万バレル)280増145増254増380増25増
クッシング在庫(万バレル)73減78増193減52減
表2 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図2は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫と留出油在庫はは過去5年間の在庫レンジ中央値付近、ガソリン在庫は未だ過去5年間の在庫レンジを割り込んでいる。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表3と表4)

 表3原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は前週比で20万バレル減少した日量1090万バレルとなった。原油輸入量は前週比で日量11万バレル増加した626万バレル、輸出量は日量26万バレル増加した343万バレルとなった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計ではAdjustmentが6万バレル増加した81万バレルで在庫を増加させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)109011101100109010971240
戦略備蓄増加(万バレル/日)000000
原油輸入(万バレル/日)626614562532583587
原油輸出(万バレル/日)343317248252293283
Adjustment(万バレル/日)81745275336
表3 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表4の通り。今週はメキシコ、イラク、コロンビアからの輸入が増加している一方で、カナダやブラジルからの輸入が減少している。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ341366-25
メキシコ6349+14
サウジアラビア2534-9
イラク248+16
コロンビア2512+13
エクアドル2824-4
ナイジェリア168+8
ロシア2316+7
ブラジル729-22
表4 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表5)

 表5は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は0.1%向上した84.0%となり、製油所への原油投入量は10万バレル増加した日量1504万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産が前週比で6万バレル減少した日量927万バレル、ジェット燃料生産が1万バレル増加した日量115万バレル、留出油生産が9万バレル減少した日量463万バレルだった。製油所稼働率や原油投入量はほぼ横ばいだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)150414941438134314451363
製油所稼働率(%)84.083.981.676.181.475.6
ガソリン生産(万バレル/日)  927933857887901581
ガソリン輸入(万バレル/日) 1296193919449
ジェット燃料生産(万バレル/日)1151141039810887
ジェット燃料輸入(万バレル/日)9241031219
留出油生産(万バレル/日)   463473460422455498
留出油輸入(万バレル/日)  324466524818
表5 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表6)

 表6は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。前週比でガソリン出荷量は日量11万バレル減少した878万バレル、ジェット燃料の出荷量は10万バレル減少した日量126万バレル、留出油の出荷量は45万バレル減少した日量366万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)878889816844866506
ガソリン輸出(万バレル/日)795443585855
ジェット燃料出荷(万バレル/日)12613610310111675
ジェット燃料輸出(万バレル/日)10538722
留出油出荷(万バレル/日)366411359402384380
留出油輸出(万バレル/日)109701126890129
表6 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週比で0.1%上昇した84.0%で、原油消費量は前週より10万バレル増加した日量1504万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で6万バレル減少した927万バレル、輸入量は68万バレル増加した129万バレルとなった。ガソリンの出荷量は11万バレル減少した878万バレル、輸出量は25万バレル増加した79万バレルだった。輸入量の増加でガソリン在庫は再度増加に転じた。
 次に留出油は生産量が10万バレル減少した463万バレル、輸入量は12万バレル減少した32万バレルだった。留出油の出荷量は45万バレル減少した366万バレル、輸出量は39万バレル増加した109万バレルとなった。出荷量と輸出量の増減が相殺し需給バランスはほとんど変わらず在庫は先週に引き続き増加した。
 ジェット燃料生産量は1万バレル増加した115万バレル、出荷量は10万バレル減少した126万バレルだった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で108万バレル減少した1923万バレルとなった。原油在庫が352万バレルの減少、ガソリン在庫が404万バレルの増加、留出油の在庫が145万バレルの増加で、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で230万バレル増加した19億3040万バレルだった。

石油製品価格(表7と表8)

 表7はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となるが、今週はイースターの祝日で価格が公開されていない。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
4/23/263/193/12前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
1.9251.8902.2110.533
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
1.8021.8221.9581.108
原油
(ドル/バレル)
60.9361.4365.5928.36
表7 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表8は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格はほぼ横ばい、ディーゼル燃料の小売価格は約2セントの値下がりとなっている。

小売価格4/5  3/29  3/22  3/15  3/8  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.8572.8522.8652.8532.7711.924
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.2593.2513.2653.2413.1502.392
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.5113.5063.5163.4953.4102.635
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.1443.1613.1943.1913.1432.548
表8 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 原油生産量は日量1090万バレルと前週から20万バレルの減少となった。需要面では製油所稼働率は前週比で0.1%上昇とほぼ横ばいで、原油消費量は10万バレル増加した日量1504万バレルとこちらもほぼ横ばいとなった。原油輸出入は日量283万バレルの輸入超過で、輸入量が前週比で日量11万バレル増加した日量626万バレル、輸出量が26万バレル増加した日量343万バレルとなった。原油輸出量が増加したことで原油在庫が減少した。
 ガソリンは輸入量の増加で在庫増加になった。
 留出油は出荷量の減少を輸出量の増加が相殺したため需給バランスが大きく動かず前週に続き在庫増となった。
 全ての石油製品の出荷量は日量108万バレル減少した1923万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は、230万バレル増加した19億3040万バレルだった。
 昨日、紅海でイランの貨物船をイスラエルが攻撃したとのニュースを受けて一時上昇する場面があった。イランとイスラエルの間では同様の攻撃の応酬が続いており、中東情勢の悪化が支援材料となっている。今後も同様のニュースが不定期に入ることが予想されるので注意したい。また、イランとアメリカの間でおよそ3年ぶりの協議が行われ、今後も協議を続行する事で合意が行われた。昨日の協議に内容はなかったものの、9日に次の協議が行われると報じられている。今後、アメリカの対イランの経済制裁が正式に解除されれば、解除のニュースだけで原油の下落要因になることは間違いなく今後の行方が注目される。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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