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コラム
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2021/04/09

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年4月9日)

ダイジェスト

・4月8日発表の天然ガス在庫は各社予想22Bcf増に対して20Bcf増で強気な内容だった
・4月2日時点の天然ガス在庫量は1784Bcf(有効容量の41.8%)となり在庫増加に転じた。
・4月1日から4月7日の期間の天然ガス供給量は96.7Bcf(前週比0.6Bcf増加)、生産量とカナダからの輸入量がともに増加
・4月1日から4月7日の期間の天然ガス国内需要量は90.7Bcf(前週比2.2Bcf減)
・国内需要の内訳は発電需要が1.0Bcf減、住宅・商業用需要が0.3Bcf減、工業用は0.2Bcf減。発電需要が減少
・LNG輸出用需要は11.7Bcfと前週比0.1Bcfの微増、能力上限に近い好調な輸出が続いているが、輸出基地のメンテナンスで今後6週間にわたり約2.0Bcfの減少が見込まれる。
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は0.6Bcf減少した5.5Bcf
・1か月の気温予報では広い範囲で平年以上の気温となる見通し

週間天然ガス在庫総評

 EIAが4月8日木曜日に発表した4月2日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で20Bcfの増加となり各社予想の22Bcf増加より強い内容で在庫量は1784Bcfとなった。天然ガス在庫は今回の発表も増加となっている。天然ガス相場は1日を通して小幅な値動きで、在庫増加は材料視されなかった。図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較しているが、過去5年平均(図1赤線)とほぼ同程度の在庫となっている。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 表1はアメリカの地域別在庫の内訳となる。アメリカ中西部以外では天然ガス在庫は増加か横ばいとなった。全米の在庫量は1784Bcfで平年(5年間の平均)に比べて24cf少なく、前年比で235Bcf少なくなっている。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の38.0%、有効容量(4261Bcf)の41.8%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は4月1日から4月7日の間の天然ガス供給量の内訳となる。天然ガスの生産は92.3Bcfと前週より0.4Bcf増加、カナダからの輸入は4.3Bcfと前週から0.2Bcfの減少となった。これにより天然ガスの総供給量は96.7Bcfと前週から0.6Bcfの増加となった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は4月1日から4月7日の間の天然ガス需要量の内訳となる。需要量全体は90.7Bcfと前週比で1.8Bcfの減少となった。
 アメリカ国内需要は67.2Bcfと前週比で1.3Bcfの減少となった。今週も住宅・商業用の暖房用需要を中心に需要が低下している。内訳では発電需要が1.0Bcf減少した23.8Bcf、工業需要は0.2Bcf減少した22.9Bcf、住宅・商業用需要が0.3Bcf減少した20.4Bcfとなった。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週比0.6Bcf減少した5.5Bcf、LNG輸出は前週比0.1Bcfの微増となる11.7Bcfだった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

3月2日時点3月9日時点3月16日時点3月23日時点3月30日時点
原油用310基309基318基324基337基
天然ガス用92基92基92基92基91基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。4月1日発表の現在最新のレポート(3月30日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から13基増加した337基、天然ガス採掘用リグ稼働数は1基減少した91基だった。リグの総数はどちらの用途でもない2基のリグを加えて前週から13基増加した430基と大幅に増加している。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。3月30日以降のLNG輸出量は11.7Bcf近くの高水準で推移していたが、4月8日には10Bcfを割り込み輸出が一服している。これは輸出基地の内、Corpus-Christi基地が6週間のメンテナンスに入ったためで、今後6週間にわたり輸出量が減少すると見込まれる。EIAによれば4月1日から4月7日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは21隻で76BcfのLNGが輸出されている。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した10日後から14日後(4月16日から4月22日)の気温予報で太平洋岸と山岳地域を除き、多くの地域で平年以下の気温となる見通し。図4は3月31日NOAA発表の1か月予報となる。全国的に平年以上の気温となる見通しとなっている。4月下旬にかけて全体的に気温は上昇する見通しで暖房用需要は伸びないと考えられる。

エネルギー短観

 EIAによる4月のエネルギー短観から天然ガスの見通しは以下の通りとなっている。

天然ガス消費

 2021年の天然ガス消費は天然ガス価格の上昇で発電用需要が伸び悩むと予想から日量82.9Bcfと2020年より0.4%減少する見通し。発電方法として競合関係にある石炭価格にがどうなるかがカギだと筆者は考えている。

天然ガス生産

 EIAは2021年の天然ガス生産は日量91.4Bcfとなると予想している。この数字は2020年の平均生産量と等しくなっている。予想では2021年5月までに天然ガスの生産量は90.8Bcfまで減少するが、その後は原油価格の上昇で増産が進み11月には日量92.4Bcfまで増加するとEIAは予想している。

天然ガス在庫

 天然ガス在庫は2021年3月に1.8Tcfで底を打った。これは過去5年平均に比べて約2.0%低い値で、今年2月の冷え込みが強く天然ガス消費が多かったことに依っている。今後は原油価格の上昇に伴う天然ガスの生産量の増加と、天然ガス価格の上昇による発電用需要の伸び悩みから10月までに過去5年の平均を上回る在庫の積み上がりが予想されている。

天然ガス価格

 2021年のヘンリーハブでの天然ガス価格は1MMBtu当たり2.62ドルで、需要の多かった2月には5.35ドルであったことを考えると大きく下落している。年平均では2020年の1MMBtu当たり2.03ドルに比べて2021年は3.04ドルと1ドル近く上昇する見込み。

まとめ

 4月8日木曜日発表の4月2日時点の天然ガス在庫は予想の22Bcf増を下回った20Bcf増と強気な内容となった。この日の天然ガス相場は小幅な値動きが続き、特に反応が見られずそのまま引けている。
 発表された4月1日以降の天然ガス需要の内訳をみると、暖房用需要が含まれる住宅・商業用セクタの需要が下げ止まりを見せており、これ以上大きく需要が減ることは無いと思われる。。一方で、直近1週間のLNG輸出需要は日量11.6Bcf付近でアメリカのLNG輸出能力の限界に近い好調な輸出が続いていたが、今日の輸出量は10Bcfを割っており、今後の輸出量には注意したい。
 EIAのエネルギー短観によると、天然ガス価格が前年より高いため、アメリカ国内の発電用消費が減ると予想している。一方で、天然ガス生産量が増加するため天然ガス在庫が過去5年の平均より多く積み上がる見通しとなっている。今後の天然ガスの生産量動向に特に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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