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コラム
column

2021/05/14

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年5月14日)

ダイジェスト

・昨日の原油相場は高値警戒感やサウジアラビアが欧州・アジア向けの原油販売価格を引き下げたことを材料に1バレル1ドルを超える下落となった。
・原油在庫は42万バレル減少
 原油生産量は日量1100万バレルと前週から10万バレルの増加
 輸出入では輸入量が548万バレル、輸出量が179万バレルで369万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は0.4%の低下で、原油処理量は22万バレルの減少
 Adjustmentによる在庫調整は前週と同様増加側に振れているが調整量は6万バレルとほぼ0となった
・ガソリン在庫は37万バレル増加
(生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が増加している。生産量の増加はあったが輸出も増加し在庫の増加幅が縮小
 ガソリン生産量は44万バレル増加、輸入量は9万バレル減少
 ガソリン出荷量は6万バレル減少、輸出量は44万バレル増加
・留出油在庫は173万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少している。今週は生産量が増加、出荷量が減少、輸出量が増加となり在庫減少幅が縮小
 留出油の生産量は16万バレル増加、輸入量は4万バレル増加
 留出油の出荷量は16万バレル減少、輸出量は19万バレル増加
・原油と石油製品を合わせた在庫量は19億1590万バレルで前週より250万バレルの増加
・オクラホマ州クッシング在庫は42万バレル減少した4590万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率は60.4%

EIA週間統計の総評

 昨夜EIAの週間在庫統計が発表された。原油在庫は42万バレルの減少となった。製油所の稼働率は前週比で0.4%低下した86.1%となり、原油消費量は前週比22万バレル減少した1502万バレルとなっている。石油製品ではガソリン在庫が37万バレルの増加、留出油在庫は173万バレルの減少、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は42万バレル減少した4590万バレルだった。
 原油生産は前週より10万バレル増加した日量1100万バレル、原油輸入量は前週比で3万バレル増加した日量548万バレル、輸出量は日量232万バレル減少した日量179万バレルとなった。輸出入全体としては369万バレルの輸入超過と超過幅が大幅に増加している。戦略備蓄(SPR)の放出は0だった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は19億1590万バレルと前週比で250万バレルの増加となった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は42万バレル減少した4億8470万バレル、ガソリン在庫は37万バレル増加した2億3620万バレル、留出油在庫は173万バレル減少した1億3440万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は42万バレル減少した4590万バレルだった。

API統計 EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)250減42減799減9増30増
ガソリン(万バレル)560増37増73増9増3増
留出油(万バレル)90減173減289減334減107減
クッシング在庫(万バレル)42減25増72増131減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫は過去5年間の在庫レンジの中央値付近、ガソリン在庫は過去5年間の在庫レンジより少なめ、留出油在庫は過去5年間の在庫レンジ中央値付近となっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は前週から10万バレル増加した日量1100万バレルだった。原油輸入量は前週比で3万バレル増加した日量548万バレル、輸出量は前週比で232万バレルと大きく減少した179万バレルとなった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計ではAdjustmentが165万バレル減少した6万バレルとなり在庫を増加させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)110010901090110010951160
戦略備蓄増加(万バレル/日)-20-15-20-10-1627
原油輸入(万バレル/日)548545661540579539
原油輸出(万バレル/日)179412254254283352
Adjustment(万バレル/日)6172-1038836-91
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週は輸入の落ち込みでカナダ、メキシコ、サウジアラビア、イラクを中心に主要国全ての国からの輸入が減少している。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ292323-31
メキシコ4346-3
サウジアラビア2217-5
イラク234+19
コロンビア2730-3
エクアドル2531-6
ナイジェリア159+6
ロシア620-14
ブラジル60+6
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は86.1%と前週から0.4%の低下となり、製油所への原油投入量は22万バレル減少した日量1502万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産が前週比44万バレル増加した日量958万バレル、ジェット燃料生産が9万バレル増加した日量134万バレル、留出油生産は16万バレル増加した日量465万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)150215241501147615011297
製油所稼働率(%)86.186.585.485.085.570.5
ガソリン生産(万バレル/日)  958914962938943749
ガソリン輸入(万バレル/日) 9310210211110248
ジェット燃料生産(万バレル/日)13412512111912146
ジェット燃料輸入(万バレル/日)171418131610
留出油生産(万バレル/日)   465449461455458489
留出油輸入(万バレル/日)  201613161619
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。前週比でガソリン出荷量は6万バレル減少した日量880万バレル、ジェット燃料の出荷量は20万バレル増加した日量108万バレル、留出油の出荷量は16万バレル減少した日量396万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)880886887910891739
ガソリン輸出(万バレル/日)995560677017
ジェット燃料出荷(万バレル/日)12810811811711835
ジェット燃料輸出(万バレル/日)11712799
留出油出荷(万バレル/日)396412433385406381
留出油輸出(万バレル/日)114959010113383
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から1.1%向上して86.5%となり、原油消費量は前週より22万バレル増加した日量1524万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で44万バレル増加した958万バレル、輸入量は9万バレル減の93万バレルとなった。ガソリンの出荷量は6万バレル減少した880万バレル、輸出量は44万バレル増加した99万バレルだった。ガソリン生産量が増加したが輸出量が増加しガソリン在庫は37万バレル増加した。
 次に留出油は生産量が16万バレル増加した465万バレル、輸入量は4万バレル増加した20万バレルだった。留出油の出荷量は16万バレル減少した396万バレル、輸出量は19万バレル増加した114万バレルとなった。生産量が増加と出荷量の減少となり在庫の減少幅が小さくなった。
 ジェット燃料生産量は9万バレル増加した134万バレル、出荷量は20万バレル増加した128万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で220万バレル減少した1748万バレルとなった。原油在庫が42万バレルの減少、ガソリン在庫が37万バレルの増加、留出油の在庫が173万バレルの減少となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で250万バレル増加した19億1590万バレルだった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格はガソリンが約7セント、ディーゼル燃料が約10セントの上昇となった。原油価格は約1.50ドルの上昇だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
5/74/304/234/16前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.1212.0551.9672.0290.877
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
2.0131.9191.8741.8940.889
原油
(ドル/バレル)
64.9663.5062.1863.1624.73
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格は約7セント、ディーゼル燃料の取引価格は約4セントの上昇となり、ガソリン価格が1ガロン当たり3.000ドルへ近づいている。

小売価格5/10  5/3  4/26  4/19  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.9612.8902.8722.8551.851
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.3723.3033.2833.2672.257
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.6243.5573.5363.5172.519
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.1863.1423.1243.1242.394
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は前週から10万バレル増加した日量1100万バレルだった。需要面では製油所稼働率が86.1%と前週から0.4%低下し、原油消費量は22万バレル減少した日量1502万バレルだった。原油輸出入は日量369万バレルの輸入超過で、輸入量が前週比で日量3万バレル増加した日量548万バレル、輸出量が232万バレルと大幅減少した日量179万バレルとなった。原油消費の減少と原油輸出の大幅減少で原油在庫の減少幅が前週の799万バレル減から大幅に減少した42万バレル減となった。
 ガソリンは出荷量がほぼ横ばいとなったのに対して輸出が増加したことから、生産量が増加となったにもかかわらず前週より増加幅を縮小した37万バレルの在庫増となった。留出油は生産量の増加に対して、出荷量は減少、輸出量は増加となり在庫減少幅が縮小した173万バレルの減少となった。市場の燃料価格はガソリン価格が約7セント、ディーゼル燃料価格は約4セントの上昇となり小売価格の上昇が続いている。
 全ての石油製品の出荷量は日量220万バレル減少した1748万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は、250万バレル増加した19億1590万バレルだった。
 原油相場はアメリカや中国の景気回復による需要増加期待や、サイバー攻撃によるコロニアル・パイプラインの停止により生じた燃料の供給不安を材料に買われて66.60ドル近傍での値動きとなっていたが、昨日はダウの下落やインドなどアジアでの新型コロナウイルスの感染拡大、停止していたコロニアル・パイプラインの再開を材料に利食い売りが強まり63.00ドル台まで急落した。需給面では米国の原油消費量増加は一進一退とっており、5月末からのドライブシーズンを前に原油消費が増加していないことが懸念材料となっている。今後ガソリン消費が伸びるかが相場上昇の鍵となるのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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