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コラム
column

2021/05/20

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年5月20日)

ダイジェスト

・昨日の原油相場は核合意の進展でイラン産原油の輸出が再開されるとの見方やアメリカの緩和政策が終了するとの懸念を材料に一時始値から1バレルあたり3ドルを超える下落となった。
・原油在庫は132万バレル増加
 原油生産量は日量1100万バレルと前週から横ばい
 輸出入では輸入量が641万バレル、輸出量が330万バレルで311万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は0.2%の上昇で、原油処理量は9万バレルの増加
 Adjustmentによる在庫調整は前週と同様増加側に振れており調整量は86万バレル増加した92万バレルとなった
・ガソリン在庫は196万バレル減少
(生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少している。生産量と輸入量の増加はあったがそれ以上に出荷量が増加したため在庫が減少
 ガソリン生産量は17万バレル増加、輸入量は15万バレル増加
 ガソリン出荷量は42万バレル増加、輸出量は16万バレル減少
・留出油在庫は232万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少している。今週は生産量が減少し出荷量が増加したため在庫減少幅が拡大
 留出油の生産量は10万バレル減少、輸入量は6万バレル増加
 留出油の出荷量は9万バレル増加、輸出量は5万バレル減少
・原油と石油製品を合わせた在庫量は19億1370万バレルで前週より220万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は42万バレル減少した4580万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率は60.3%

EIA週間統計の総評

 昨夜EIAの週間在庫統計が発表された。原油在庫は132万バレルの増加となった。製油所の稼働率は前週比で0.2%上昇した86.3%となり、原油消費量は前週比9万バレル増加した1511万バレルとなっている。石油製品ではガソリン在庫が196万バレルの減少、留出油在庫は232万バレルの減少、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は14万バレル減少した4580万バレルだった。
 原油生産は前週から横ばいの日量1100万バレル、原油輸入量は前週比で92万バレル増加した日量641万バレル、輸出量は日量151万バレル増加した日量330万バレルとなった。輸出入全体としては311万バレルの輸入超過と超過幅が減少している。戦略備蓄(SPR)の放出は0だった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は19億1370万バレルと前週比で220万バレルの減少となった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は132万バレル増加した4億8600万バレル、ガソリン在庫は196万バレル減少した2億3420万バレル、留出油在庫は232万バレル減少した1億3210万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は14万バレル減少した4580万バレルだった。

API統計 EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)60増132増42減799減9増
ガソリン(万バレル)280減196減37増73増9増
留出油(万バレル)260減232減173減289減334減
クッシング在庫(万バレル)14減42減25増72増
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫は過去5年間の在庫レンジの中央値付近、ガソリン在庫は過去5年間の在庫レンジより少なめ、留出油在庫は過去5年間の在庫レンジ中央値付近となっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は前週から横ばいの日量1100万バレルだった。原油輸入量は前週比で92万バレル増加した日量641万バレル、輸出量は前週比151万バレル増加した330万バレルとなった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計ではAdjustmentが86万バレル増加した92万バレルとなり在庫を増加させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)110011001090109010831150
戦略備蓄増加(万バレル/日)-27-20-15-20-2026
原油輸入(万バレル/日)641548545661582519
原油輸出(万バレル/日)330179412254286323
Adjustment(万バレル/日)926172-10339-99
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週はカナダ、メキシコ、サウジアラビア、ロシアを中心に輸入が増加している。一方でエクアドルやナイジェリアからの輸入が減少している。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ380292+88
メキシコ6943+26
サウジアラビア4222+20
イラク1923-4
コロンビア3227+5
エクアドル825-17
ナイジェリア715-8
ロシア236+17
ブラジル06-6
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は86.3%と前週から0.2%の上昇となり、製油所への原油投入量は9万バレル増加した日量1511万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産が前週比17万バレル増加した日量975万バレル、ジェット燃料生産が8万バレル減少した日量126万バレル、留出油生産は10万バレル減少した日量455万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)151115021524150115001290
製油所稼働率(%)86.386.186.585.486.169.4
ガソリン生産(万バレル/日)  975958914962952716
ガソリン輸入(万バレル/日) 1089310210210152
ジェット燃料生産(万バレル/日)12613412512112745
ジェット燃料輸入(万バレル/日)171714181732
留出油生産(万バレル/日)   455465449461458480
留出油輸入(万バレル/日)  262016131932
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。前週比でガソリン出荷量は42万バレル増加した日量922万バレル、ジェット燃料の出荷量は10万バレル減少した日量118万バレル、留出油の出荷量は9万バレル増加した日量405万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)922880886887894679
ガソリン輸出(万バレル/日)839955607424
ジェット燃料出荷(万バレル/日)11812810811811863
ジェット燃料輸出(万バレル/日)1411712119
留出油出荷(万バレル/日)405396412433412366
留出油輸出(万バレル/日)109114959010291
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から0.2%向上して86.3%となり、原油消費量は前週より9万バレル増加した日量1511万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で17万バレル増加した975万バレル、輸入量は15万バレル増加した108万バレルとなった。ガソリンの出荷量は42万バレル増加した922万バレル、輸出量は16万バレル減少した83万バレルだった。ガソリン生産量が増加したが出荷量がそれ以上に増加しガソリン在庫は196万バレル減少した。
 次に留出油は生産量が10万バレル減少した455万バレル、輸入量は6万バレル増加した26万バレルだった。留出油の出荷量は9万バレル増加した405万バレル、輸出量は5万バレル減少した109万バレルとなった。生産量が減少し出荷量が増加したため在庫の減少幅が大きくなった。
 ジェット燃料生産量は8万バレル減少した126万バレル、出荷量は10万バレル減少した118万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で179万バレル減少した1927万バレルとなった。原油在庫が132万バレルの増加、ガソリン在庫が196万バレルの減少、留出油の在庫が232万バレルの減少となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で220万バレル減少した19億1370万バレルだった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格はガソリンが約3セントの上昇、ディーゼル燃料が約3セントの下落となった。原油価格は約0.40ドルの上昇だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
5/145/74/304/23前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.1512.1212.0551.9670.875
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
2.0452.0131.9191.8740.882
原油
(ドル/バレル)
65.3264.9663.5062.1829.44
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格は約7セント、ディーゼル燃料の取引価格は約6セントの上昇となり、レギュラーガソリン価格が1ガロン当たり3.000ドルを突破した。これは14日に東海岸最大の燃料パイプラインの停止でガソリンやディーゼル燃料の供給が停止したことが要因となっている。

小売価格5/17  5/10  5/3  4/26  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.0282.9612.8902.8721.878
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.4403.3723.3033.2832.286
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.6683.6243.5573.5362.553
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.2493.1863.1423.1242.386
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は前週から横ばいの日量1100万バレルだった。需要面では製油所稼働率が86.3%と前週から0.2%向上し原油消費量は9万バレル増加した日量1511万バレルだった。原油輸出入は日量311万バレルの輸入超過で、輸入量が前週比で日量92万バレル増加した日量641万バレル、輸出量が151万バレルと増加した日量330万バレルとなった。原油輸入の増加で原油在庫は前週の42万バレルの減少から増加に転じて132万バレルの増加となった。
 ガソリンは生産量と輸入量が増加したが出荷量がそれ以上に増加したため196万バレルの在庫減となった。留出油は生産量の減少に加えて、出荷量は増加となり在庫減少幅が拡大して232万バレルの減少となった。市場の燃料価格は5月14日に東海岸最大の燃料パイプラインがサイバーテロのため停止して大量消費地であるアメリカ東部への燃料供給が減少したことが要因で、ガソリン小売価格が約7セント、ディーゼル燃料小売価格は約4セントの上昇となった。
 全ての石油製品の出荷量は日量179万バレル増加した1927万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は、220万バレル減少した19億1370万バレルだった。
 原油相場はアジアでの新型コロナウイルスの感染拡大で原油需要への不透明感が拡大したことを材料に朝から値を下げた。欧州時間に入るとイランとアメリカとの間の核協議が前進し、イランへの制裁が解除されることでイラン産原油が市場に戻る可能性が高まったとの観測、アメリカの大規模緩和政策終了への懸念の高まりを材料に強く売られて一時始値から3ドル以上値を下げて1バレル62ドルを割り込んだ。現在はおおよそ63ドルで推移しているが、週末までにイランとアメリカの間での協議への進展が発表されるとの見方があり原油相場はこのニュースを意識した動きをすると考えられるのでヘッドラインニュースに特に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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