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コラム
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2021/05/21

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年5月21日)

ダイジェスト

・5月20日発表の天然ガス在庫は各社予想60Bcf増に対して71Bcf増と3週間ぶりに弱気な内容となった
・5月20日時点の天然ガス在庫量は2100Bcf(有効容量の49.2%)と在庫増加が続くものの、平年より在庫増加スピードが低く過去5年平均、前年度の在庫のいずれをも下回っている
・5月13日から5月19日の期間内の天然ガス供給量は96.4Bcf(前週比0.3Bcf減少)、天然ガス生産量は横ばい、カナダからの輸入量が0.3Bcf減少
・5月13日から5月19日の期間内の天然ガス国内需要量は80.6Bcf(前週比8.4Bcf減少)
・国内需要の内訳は発電需要が0.4Bcf増、住宅・商業用需要が6.9Bcf減、工業用は0.6Bcf増減
・LNG輸出用需要は10.3Bcfと設備のメンテナンスと天候要因による輸出停止で前週から0.9Bcfの減少
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は0.1Bcf減少した6.1Bcf
・5月17日から2週間の間、五大湖周辺で平年以下の気温、アメリカ中西部や西部では平年並みの気温、太平洋岸や大西洋岸では平年以上の気温となる見通し。5月末から熱波が来る予報

週間天然ガス在庫総評

 EIAが5月13日に発表した5月14日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で71Bcfの増加となり2100Bcfとなった。在庫の増加量は各社予想の60Bcf増加を大きく上回り3週間ぶりに弱い内容となった。天然ガス相場は低調な値動きが続いていたが、弱気なな在庫発表を受けて下落している。図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較しているが、現在の在庫量は過去5年平均(図1赤線)を総量でやや下回る状況が続いている。これは生産量が前年より横ばいにもかかわらず、前年と比べてLNG輸出が好調なことが影響していると考えられる。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA

 表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週もすべての地域の天然ガス在庫が増加している。全米の在庫量は2100Bcfで平年(5年間の平均)に比べて87Bcf少なく、前年比で491Bcf少ない。在庫の増加スピードが例年より低下しており、在庫量には前年比で約500Bcfの大きな差が生まれている 。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の44.7%、有効容量(4261Bcf)の49.2%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は5月13日から5月19日の間の天然ガス供給量内訳となる。天然ガスの生産は91.8Bcfと前週から横ばい、カナダからの輸入は4.5Bcfと前週から0.3Bcfの減少となった。天然ガスの総供給量は前週比で0.3Bcf減少した96.4Bcfだった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は5月13日から5月19日の間の天然ガス需要量内訳となる。需要量全体は80.6Bcfと前週比で8.4Bcfの減少となった。
 アメリカの国内需要は58.2Bcfと前週比で7.1Bcfの減少だった。内訳は発電需要が前週から0.4Bcf増加した26.4Bcf、工業需要は0.6Bcf減少した21.4Bcf、住宅・商業用需要は暖房用需要が減少したことから前週比で6.9Bcfの大幅減となった10.4Bcfだった。5月6日から13日の間は季節外れの冷え込みで暖房用需要が伸びていたが、5月13日以降は平年並みの気温となったため暖房用需要がなくなった。
 今週の統計では季節外れの冷え込みが去り気温上昇で在庫増となったが、今後はおおむね5月31日頃を境にして平年以上の気温は冷房用需要の増加、平年以下の気温は冷房用需要の減少となり、これまでとは気温と天然ガス在庫の相関が変わるため注意したい。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週比0.1Bcf減少した6.1Bcfとほぼ横ばい、LNG輸出は前週から0.9Bcf減少した10.3Bcfだった。EIAによればLNG輸出の減少原因は13日から19日の間に設備のメンテナンスがあったこと、天候の悪化で輸出が止まったことが要因となっている。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

4月13日時点4月20日時点4月27日時点5月4日時点5月11日時点
原油用344基343基342基344基352基
天然ガス用94基94基94基103基100基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。5月14日発表のレポート(5月11日時点)による稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から8基増の352基、天然ガス採掘用リグ稼働数は3基減の100基だった。リグの総数はどちらの用途でもない1基のリグを加えて前週から5基増加した453基となった。天然ガス採掘用リグ数が100基を回復するなどリグ数の増加が続いている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。5月11日以降は平均して10Bcf台前半で推移している。5月14日や18日には10Bcfを割り込む日も見られた一方で、20日には11Bcf台を回復している。EIAによると5月6日から5月12日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは前週と同数の21隻で前週から1Bcf微増した75BcfのLNGが輸出された。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した10日後から14日後(5月28日から6月3日)の気温予報で五大湖周辺で平年以下の気温、アメリカ中西部や西部では平年並みの気温、太平洋岸や大西洋岸では平年以上の気温となる見通しとなっている。図4は5月20日NOAA発表の最新の1か月予報で、平年並みの気温となるアメリカ南部内陸部以外では全国的に平年以上の気温となる見通し。

まとめ

 5月20日に発表された5月14日時点の天然ガス在庫は各社予想の60Bcf増を大きく上回る71Bcf増と弱気な内容となった。天然ガス相場は天然ガス在庫が弱気な内容となったことを受けて約0.060ドル下落した。今回の発表では天然ガス生産は前週から横ばいだったため、国内需要が減少したこと、設備のメンテナンスと天候要因による輸出停止でLNG輸出が減ったことが在庫増加につながったと考えられる。
 発表された5月13日以降の天然ガス需要内訳をみると、5月6日から13日の間は平年以下の気温で暖房用需要が伸びていたが、13日以降は平年並みとなったため住宅・商業用需要が6.9Bcfと大幅に減少した。前週発表と比べたLNGの輸出量は前週1週間で74BcfのLNGが輸出されたのに対して今週の統計では1Bcf多い75Bcfの輸出となっている。直近1週間のLNG輸出需要は5月11日以降10Bcf台前半で10.0Bcfを割り込む日も時折見られたが、昨日20日の輸出量はしばらくぶりに11Bcfを回復している。
 今週の統計では季節外れの冷え込みが去ったことで気温上昇=在庫増となったが、おおむね5月31日頃を境にして平年以上の気温は冷房用需要の増加、平年以下の気温は冷房用需要の減少となり、これまでとは気温と天然ガス在庫の相関が変わるため注意したい。
 リグ数の増加傾向や生産量の増加傾向が今週も続いているが、今週は生産量の増加が一服している。一方で輸出需要も一服しているが、例年と比べた在庫の積み上がりスピードが低下している状況は今週も変わっていない。今後、冷房シーズンが始まるまで生産量や輸出需要についての調査会社の発表や、EIA在庫情報、天気予報などに相場が左右される状況が続くと考えられる。また、5月末からアメリカに最初の熱波が到達し平年より気温が高くなり冷房用需要が高まるとの予報もあるので、天気予報の変化には注意したい。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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