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コラム
column

2021/05/27

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年5月27日)

ダイジェスト

・昨日の原油相場は核合意の進展によりイラン産原油の輸出が再開されるとの期待感を材料に下落したが、アメリカの景気回復に伴う原油需要の回復期待や原油在庫の減少を受けて買い戻されて横ばいとなった。
・原油在庫は166万バレル減少
 原油生産量は日量1100万バレルと前週から横ばい
 輸出入では輸入量が627万バレル、輸出量が343万バレルで284万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は0.7%の上昇で、原油処理量は12万バレルの増加
 Adjustmentによる在庫調整は前週と同様増加側に振れており調整量は0.2万バレル減少した92万バレルとほぼ横ばい
・ガソリン在庫は174万バレル減少
(生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少している。出荷量が増加したため在庫が減少
 ガソリン生産量は1万バレル減少、輸入量は5万バレル増加
 ガソリン出荷量は25万バレル増加、輸出量は10万バレル減少
・留出油在庫は301万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少している。出荷量が増加したため在庫減少幅が拡大
 留出油の生産量は11万バレル増加、輸入量は1万バレル増加
 留出油の出荷量は41万バレル増加、輸出量は19万バレル減少
・原油と石油製品を合わせた在庫量は19億0440万バレルで前週より930万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は100万バレル減少した4480万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率58.9%

EIA週間統計の総評

 昨夜EIAの週間在庫統計が発表された。原油在庫は166万バレルの減少となった。製油所の稼働率は前週比で0.7%上昇した87.0%となり、原油消費量は前週比12万バレル増加した1523万バレルとなっている。石油製品ではガソリン在庫が174万バレルの減少、留出油在庫は301万バレルの減少、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は100万バレル減少した4480万バレルだった。
 原油生産は横ばいが続き日量1100万バレルだった。原油輸入量は前週比で13万バレル減少した日量627万バレル、輸出量は日量12万バレル増加した日量343万バレルとなった。輸出入全体としては284万バレルの輸入超過なり超過幅が今週も減少している。戦略備蓄(SPR)の放出は0だった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は19億0440万バレルと前週比で930万バレルの減少となった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は166万バレル減少した4億8430万バレル、ガソリン在庫は174万バレル減少した2億3250万バレル、留出油在庫は301万バレル減少した1億2910万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は100万バレル減少した4480万バレルだった。

API統計 EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)40減166減132増42減799減
ガソリン(万バレル)200減174減196減37増73増
留出油(万バレル)510減301減232減173減289減
クッシング在庫(万バレル)100減14減42減25増
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫は過去5年間の在庫レンジの中央値付近、ガソリン在庫は過去5年間の在庫レンジの下限付近、留出油在庫は過去5年間の在庫レンジ中央値を下回っている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は前週から横ばいの日量1100万バレルだった。原油輸入量は前週比で13万バレル減少した日量627万バレル、輸出量は前週比12万バレル増加した343万バレルとなった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計ではAdjustmentとして先週と同じく92万バレル在庫を増加させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)110011001100109010841140
戦略備蓄増加(万バレル/日)-23-27-20-15-2030
原油輸入(万バレル/日)627641548545585720
原油輸出(万バレル/日)343330179412289317
Adjustment(万バレル/日)9292617242-99
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週はエクアドルとロシアからの輸入が大きく増加したが、カナダやサウジアラビア、コロンビアからの輸入が減少している。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ354380-26
メキシコ6669-3
サウジアラビア2742-15
イラク1819-1
コロンビア732-25
エクアドル228+15
ナイジェリア27-6
ロシア5123+28
ブラジル000
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は87.0%と前週から0.7%の上昇となり、製油所への原油投入量は12万バレル増加した日量1523万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から1万バレル減とほぼ横ばいの日量974万バレル、ジェット燃料生産が3万バレル増加した日量129万バレル、留出油生産は11万バレル増加した日量466万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)152315111502152415151299
製油所稼働率(%)87.086.386.186.586.571.3
ガソリン生産(万バレル/日)  974975958914955717
ガソリン輸入(万バレル/日) 1031089310210129
ジェット燃料生産(万バレル/日)12912613412512949
ジェット燃料輸入(万バレル/日)271717141932
留出油生産(万バレル/日)   466455465449459478
留出油輸入(万バレル/日)  272620162215
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。前週比でガソリン出荷量は25万バレル増加した日量947万バレル、ジェット燃料の出荷量は21万バレル増加した日量139万バレル、留出油の出荷量は41万バレル増加した日量446万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)947922880886909725
ガソリン輸出(万バレル/日)738399557721
ジェット燃料出荷(万バレル/日)13911812810812386
ジェット燃料輸出(万バレル/日)614117108
留出油出荷(万バレル/日)446405396412415326
留出油輸出(万バレル/日)901091149510288
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から0.7%向上して87.0%となり、原油消費量は前週より12万バレル増加した日量1523万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で1万バレル減少とほぼ横ばいの974万バレル、輸入量は5万バレル減少した103万バレルとなった。ガソリンの出荷量は25万バレル増加した947万バレル、輸出量は10万バレル減少した73万バレルだった。ガソリン出荷量が増加しガソリン在庫は174万バレル減少した。
 次に留出油は生産量が11万バレル増加した466万バレル、輸入量は1万バレル増加した27万バレルだった。留出油の出荷量は41万バレル増加した446万バレル、輸出量は19万バレル減少した90万バレルとなった。出荷量が大きく増加したため在庫の減少幅が大きくなった。
 ジェット燃料生産量は3万バレル増加した129万バレル、出荷量は21万バレル増加した139万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で68万バレル増加した1995万バレルとなった。原油在庫が166万バレル減、ガソリン在庫が137万バレル減、留出油の在庫が301万バレル減となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で930万バレル減少した19億0440万バレルだった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格はガソリンが約10セントの低下、ディーゼル燃料が約5セントの下落となった。原油価格は約1.70ドルの下落だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
5/215/145/74/30前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.0562.1512.1212.0550.959
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
1.9972.0452.0131.9190.940
原油
(ドル/バレル)
63.6165.3264.9663.5033.49
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格、ディーゼル燃料の小売価格共にほぼ横ばいだった、レギュラーガソリン価格は1ガロン当たり3.000ドルを超えている。

小売価格5/24  5/17  5/10  5/3  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.0203.0282.9612.8901.960
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.4453.4403.3723.3032.363
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.6903.6683.6243.5572.618
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.2533.2493.1863.1422.390
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は前週から横ばいの日量1100万バレルだった。需要面では製油所稼働率が前週から0.7%向上した87.0%となり原油消費量は12万バレル増加した日量1523万バレルだった。夏の行楽シーズンを前に製油所の稼働率が次第に上昇している。原油輸出入は日量284万バレルの輸入超過で、輸入量が前週比で日量13万バレル減少した日量627万バレル、輸出量が12万バレル増加した日量343万バレルとなった。原油輸入の減少と輸出の増加、原油消費量の増加により原油在庫は前週の132万バレルの在庫増加から在庫減少に転じて166万バレルの在庫減少となった。
 ガソリンは出荷量が大きく増加したため174万バレルと在庫減が続いている。留出油は生産量が増加したが、出荷量が大幅増加となったことで在庫減少幅が拡大して301万バレルの在庫減少となった。市場の燃料価格は東海岸最大の燃料パイプラインがサイバーテロのため停止した影響が去ったことでガソリン卸売価格が約10セント、ディーゼル燃料卸売価格は約5セントの下落となったが、小売価格は横ばいだった。
 全ての石油製品の出荷量は日量68万バレル増加した1995万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は930万バレル減少した19億0440万バレルだった。
 26日の原油相場は欧州時間にイランとアメリカとの間の核協議が前進してイラン産原油が市場に戻ることへの期待から65ドル台前半まで売られたが、アメリカの景気回復による原油需要の拡大期待から買い戻されて前日比で横ばいとなる1バレル66.13ドルで引けている。現在の原油相場は66.00ドル付近で推移しているが、イランとアメリカの間での核協議への進展と制裁の解除期待によりこれ以上の上値は重い展開が続くのではないかと考えられる。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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