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コラム
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2021/05/28

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年5月28日)

ダイジェスト

・5月27日発表の天然ガス在庫は各社予想105Bcf増に対して115Bcf増と2週間連続で弱気な内容となった
・5月27日時点の天然ガス在庫量は2215Bcf(有効容量52.0%)と在庫増加が続く。今週は在庫量の増加スピードが平年を上回り、平年との在庫量の差が約100Bcf縮小している
・5月20日から5月26日の期間内の天然ガス供給量は96.7Bcf(前週比0.4Bcf増加)、天然ガス生産量は0.6Bcfと大きく増加、カナダからの輸入量は横ばい
・5月20日から5月26日の期間内の天然ガス国内需要量は82.7Bcf(前週比2.1Bcf増加)
・国内需要の内訳は発電需要が4.0Bcf増、住宅・商業用需要が1.8Bcf減、工業用は0.7Bcf減となり、冷房用の電力需要が高まり発電所向け需要が大きく増加
・LNG輸出用需要は10.5Bcfで前週から0.2Bcfの増加
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は0.1Bcf増加した6.2Bcf
・5月28日から2週間の間、テキサス州周辺では平年以下の気温、太平洋岸から大西洋岸かけての広い範囲で平年以上の気温となる見通し。5月末から気温が上昇する予報となっている

週間天然ガス在庫総評

 EIAが5月27日に発表した5月21日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で115Bcfの増加となり2215Bcfとなった。在庫の増加量は各社予想の105Bcf増加を上回り2週間連続で弱い内容となった。天然ガス相場は低調な値動きが続いていたが、弱気な在庫発表を受けて下落した。図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較しているが、現在の在庫量は過去5年平均(図1黒線)を総量でやや下回る状況が続いているが、今週は在庫が大きく増加した。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA

 表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週もすべての地域の天然ガス在庫が増加している。全米の在庫量は2215Bcfで平年(5年間の平均)に比べて63Bcf少なく、前年比で381Bcf少なくなっている。今週の在庫増加速度は加速しており、前週発表では前年比で約500Bcfの差があったものが今週発表では約400Bcfまで縮んでいる 。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の47.2%、有効容量(4261Bcf)の52.0%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は5月20日から5月26日の間の天然ガス供給量内訳となる。天然ガスの生産は92.4Bcfと前週から0.6Bcfの増加、カナダからの輸入は4.5Bcfと前週から横ばいだった。天然ガスの総供給量は前週比で0.4Bcf増加した96.7Bcfだった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は5月20日から5月26日の間の天然ガス需要量内訳となる。需要量全体は82.7Bcfと前週比で2.1Bcfの増加となった。
 アメリカの国内需要は59.9Bcfと前週比で1.7Bcfの増加だった。内訳は発電需要が前週から4.0Bcf増加した30.4Bcf、工業需要は0.7Bcf減少した20.7Bcf、住宅・商業用需要は前週比で1.8Bcf減少した8.6Bcfだった。5月20日から26日の間は気温の上昇を受けて冷房用の電力需要が高まったことで発電所向けの需要が大きく増加した。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は6.1Bcfと前週から横ばい、LNG輸出は前週から0.2Bcf増加した10.5Bcfだった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

4月20日時点4月27日時点5月4日時点5月11日時点5月18日時点
原油用343基342基344基352基356基
天然ガス用94基94基103基100基99基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。5月21日発表のレポート(5月18日時点)による稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から4基増の356基、天然ガス採掘用リグ稼働数は1基減の99基だった。リグの総数はどちらの用途でもない1基のリグを加えて前週から3基増加した456基となった。原油採掘用リグ数の増加は続いているが、天然ガス採掘用リグ数は足踏みとなっている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。5月19日以降に10Bcf台を回復し、5月22日や23日には11Bcfを超える日も見られた。その後25日には再度10Bcf台を割り込んでいる。EIAによると5月13日から5月19日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは18隻で前週から8Bcf減少した67BcfのLNGが輸出された。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した10日後から14日後(6月4日から6月10日)の気温予報でテキサス州周辺で平年以下の気温となるが、太平洋岸から大西洋岸までの広い範囲で平年以上の気温となる見通しとなっている。図4は5月20日NOAA発表の最新の1か月予報で、平年並みの気温となるアメリカ南部内陸部以外では全国的に平年以上の気温となる見通し。

まとめ

 5月27日に発表された5月21日時点の天然ガス在庫は各社予想の105Bcf増を上回る115Bcf増と2週連続で弱気な内容となった。27日の天然ガス相場は天然ガス在庫が弱気な内容となったことを受けて約0.085ドル下落した。今回の発表では天然ガス生産が前週より0.6Bcfの増加となった。需要面が2.1Bcf増加したものの、供給が需要を14Bcfほど上回っており在庫増加につながったと考えられる。
 発表された5月19日以降の天然ガス需要内訳をみると、5月20日から27日の間は平年以上の気温となり冷房用電力需要が増加し、発電所向けの需要が4.0Bcf増加した。住宅・商業用需要が1.8Bcfの減だった。前週発表と比べたLNGの輸出量は前週1週間は75BcfのLNGが輸出されたのに対して今週は8Bcf少ない67Bcfの輸出となった。直近1週間のLNG輸出需要は5月19日以降24日まで10.0Bcfを上回る日が続いていたが、25日以降は10Bcfを割り込んでいる。
 今週の統計では天然ガス生産量が0.6Bcfと大幅な増加となった。一方、輸出需要は前週からほぼ横ばいとなる10.5Bcfだった。アメリカの気温上昇を受けて冷房用電力需要が高まり、発電所向け天然ガス需要が4.0Bcfの大幅増加となった。来週もEIA在庫情報、天気予報などに相場が左右される状況が続くと考えられる。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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