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コラム
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2021/05/07

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年5月7日)

ダイジェスト

・5月6日発表の天然ガス在庫は各社予想63Bcf増に対して60Bcf増で2週間ぶりに強気な内容となった
・5月6日時点の天然ガス在庫量は1968Bcf(有効容量の45.9%)と在庫増加が続くが、好調なLNG輸出のために在庫増加スピードが落ちており過去5年平均、前年度の在庫のいずれをも下回っている
・4月29日から5月5日の期間の天然ガス供給量は96.1Bcf(前週比0.3Bcf増加)、天然ガス生産量が0.8Bcfと大きく増加した一方でカナダからの輸入量は減少している
・4月29日から5月5日の期間の天然ガス国内需要量は90.5Bcf(前週比0.1Bcf増)
・国内需要の内訳は発電需要が1.1Bcf増、住宅・商業用需要は横ばい、工業用は0.7cf減。
・LNG輸出用需要は11.2Bcfと前週比0.1Bcfとやや減少しつつも好調な輸出が続く
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は0.1Bcf減少した5.9Bcf
・5月14日から2週間の間、アメリカ東部からメキシコ湾岸にかけての地域や太平洋岸では平年以下の気温、アメリカ西部からアメリカ中西部では平年以上の気温となる見通し

週間天然ガス在庫総評

 EIAが5月6日に発表した4月29日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で60Bcfの増加となり1958Bcfとなった。今週は各社予想の63Bcf増加を上回り2週間ぶりに強い内容となった。天然ガス相場はこの日も低調な値動きだったが、強気な在庫発表を受けて上昇した。図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較しているが、現在の在庫量は過去5年平均(図1赤線)を総量でやや下回る状況が続いている。これは生産量が前年より横ばいにもかかわらず、LNG輸出が好調なことが影響していると考えられる。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週はアメリカ東部地域で在庫が減少した以外、他の地域の天然ガス在庫は増加した。全米の在庫量は1958Bcfで平年(5年間の平均)に比べて61Bcf少なく、前年比で345Bcf少ない。輸出が好調なためか在庫の増加スピードが例年より低下している。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の41.7%、有効容量(4261Bcf)の45.9%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は4月29日から5月5日の間の天然ガス供給量内訳となる。天然ガスの生産は91.6Bcfと前週より0.2Bcfと大きく増加、カナダからの輸入は4.5Bcfと前週から0.3Bcfの減少となった。これにより天然ガスの総供給量は前週比で0.1Bcf減少した96.1Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は4月29日から5月5日の間の天然ガス需要量内訳となる。需要量全体は90.5Bcfと前週比で0.1Bcfの増加となった。
 アメリカの国内需要は67.1Bcfと前週比で0.2Bcfの増加となり需要面では大きな変動はなかった。内訳では発電需要が1.1Bcf増加した7.3Bcf、工業需要は0.7Bcf減少した21.9Bcf、住宅・商業用需要は横ばいで18.0Bcfとなった。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週比0.1Bcf減少した5.9Bcf、LNG輸出は0.1Bcf減少した11.2Bcfだった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

3月30日時点4月6日時点4月13日時点4月20日時点4月27日時点
原油用337基337基344基343基342基
天然ガス用91基93基94基94基94基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。4月30日発表の現在最新のレポート(4月27日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から2週連続で1基減の342基、天然ガス採掘用リグ稼働数は横ばいの94基だった。リグの総数はどちらの用途でもない1基のリグを加えて前週から1基減少した437基となり、今年初となる2週間続けてのリグ数の減少となった。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。5月2日に落ち込みが見られるが再度増加し、5月3日以降はおおむね11Bcf以上で推移している。EIAによると4月29日から5月5日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは先週と同数の22隻で前週比で11Bcf多い84BcfのLNGが輸出された。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した10日後から14日後(5月7日から5月13日)の気温予報で山岳地域からアメリカ西部、中西部にかけては平年以上の気温、アメリカ東部からメキシコ湾にかけてと太平洋岸では平年以下のの気温となる見通し。図4は4月30日NOAA発表の1か月予報で前回の予報から引き続き全国的に平年以上の気温となる見通しとなっている。今後、五大湖周辺では平年以下の気温、アメリカの南側では気温が平年より上昇する見込み。

まとめ

 5月6日に発表された4月30日時点の天然ガス在庫は各社予想の63Bcf増を上回る60Bcf増と2週間ぶりに強気な内容となった。この日の天然ガス相場も材料なく低調な動きが続いていたが、発表された天然ガス在庫が強気な内容となったことをうけて上昇して高値を付けた。今回の発表では天然ガス生産が前週より0.1Bcfとはいえ微増となった。この動きが今後も続くのかどうか来週木曜日の天然ガス在庫発表に注意したい。
 発表された4月29日以降の天然ガス需要内訳をみると、発電用需要が1.1Bcf増加したのが需要変動の中で最大だった。直近1週間のLNG輸出需要は週の初めに輸出需要が落ち込む日もあったが、おおむね日量11Bcf台前半付近で推移している。前週と比べてLNGの輸出は前週1週間で73BcfのLNGが輸出されたのに対して今週の統計では11Bcf多い84BcfのLNGが輸出されており好調な輸出が続いている。今後は生産量や輸出需要、毎週の在庫情報が相場を左右することになると考えられる。また、前年度と比べて生産量はほぼ横ばいだが、輸出需要が好調な分在庫の積み上がりが低調となることが予想されるが、これが価格にどう影響を与えるかは未知数だと考えている。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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