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コラム
column

2021/06/10

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年6月10日)

ダイジェスト

・昨日の原油相場は原油在庫が減少したもののガソリン在庫の大幅増加が懸念材料となって売られたが、終盤原油需要の増加期待から買い戻されて下げ幅を削った。
・原油在庫は524万バレル減少
 原油生産量は日量1100万バレルと前週から20万バレルの増加
 輸出入では輸入量が663万バレル、輸出量が293万バレルで370万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は2.6%の上昇で、原油処理量は33万バレルの増加
 Adjustmentによる在庫調整は前週と同様増加側に振れており調整量は62万バレル減少した27万バレル
・ガソリン在庫は704万バレル増加
(生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が増加している。出荷量の減少で在庫増加が続く
 ガソリン生産量は13万バレル減少、輸入量は12万バレル増加
 ガソリン出荷量は66万バレル減少、輸出量は39万バレル増加
・留出油在庫は372万バレル増加
 (生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が増加。出荷量が大きく減少したため在庫が増加が続く
 留出油の生産量は11万バレル増加、輸入量は33万バレル減少
 留出油の出荷量は40万バレル減少、輸出量は9万バレル増加
・原油と石油製品を合わせた在庫量は19億1980万バレルで前週より1410万バレルの増加
・オクラホマ州クッシング在庫は16万バレル増加した4570万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率60.1%

EIA週間統計の総評

 昨夜EIAの週間在庫統計が発表された。原油在庫は524万バレルの減少となった。製油所の稼働率は前週比で2.6%上昇した91.3%となり、原油消費量は前週比32万バレル増加した1592万バレルとなっている。石油製品ではガソリン在庫が704万バレルの大幅増加、留出油在庫は441万バレルの増加、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は16万バレル増加した4570万バレルだった。
 原油生産は前週比で20万バレル増加した日量1100万バレルだった。原油輸入量は前週比で100万バレル増加した日量663万バレル、輸出量は日量38万バレル増加した日量293万バレルで輸出入全体としては370万バレルの輸入超過となり超過幅が増加している。戦略備蓄(SPR)の放出は19万バレルだった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は19億1980万バレルと前週比で1410万バレルの増加となった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は524万バレル減少した4億7400万バレル、ガソリン在庫は704万バレル増加した2億4100万バレル、留出油在庫は441万バレル増加した1億3720万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は16万バレル増加した4570万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)210減524減507減166減132増
ガソリン(万バレル)240増704増149増174減196減
留出油(万バレル)380増441増372増301減232減
クッシング在庫(万バレル)16増78増100減14減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫は過去5年間の在庫レンジの中央値付近、ガソリン在庫が急速に増えて過去5年間の在庫レンジの中央付近、留出油在庫も過去5年間の在庫レンジの中央値付近となっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は前週から20万バレル増加した日量1100万バレルだった。原油輸入量は前週比で100万バレル増加した日量663万バレル、輸出量は前週比38万バレル増加した293万バレルとなった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計ではAdjustmentとして先週から61万バレル減少した27万バレルが在庫を増加させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)110010801100110010951110
戦略備蓄増加(万バレル/日)-19-9-23-27-1931
原油輸入(万バレル/日)663563627641623686
原油輸出(万バレル/日)293254343330305243
Adjustment(万バレル/日)2789929275-90
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週はカナダとナイジェリア、ブラジルからの輸入が増加したが、メキシコやエクアドルからの輸入が減少している。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ397314+83
メキシコ4270-28
サウジアラビア1418-4
イラク1716+1
コロンビア1318-5
エクアドル1222-10
ナイジェリア2616+10
ロシア2528-3
ブラジル266+20
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は91.3%と前週から2.6%の上昇となり、製油所への原油投入量は33万バレル増加した日量1592万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から13万バレル減少した日量943万バレル、ジェット燃料生産は4万バレル増加した日量128万バレル、留出油生産は11万バレル増加した日量491万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)159215591523151115461348
製油所稼働率(%)91.388.787.086.388.473.1
ガソリン生産(万バレル/日)  943956974975962813
ガソリン輸入(万バレル/日) 1059310310810262
ジェット燃料生産(万バレル/日)12812412912612761
ジェット燃料輸入(万バレル/日)6262717194
留出油生産(万バレル/日)   491480466455473476
留出油輸入(万バレル/日)  185127263117
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。前週比でガソリン出荷量は66万バレルと大幅に減少した日量848万バレル、ジェット燃料の出荷量は41万バレル減少した日量103万バレル、留出油の出荷量は40万バレル減少した日量341万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)848914947922916754
ガソリン輸出(万バレル/日)955673837730
ジェット燃料出荷(万バレル/日)10314413911813238
ジェット燃料輸出(万バレル/日)8561487
留出油出荷(万バレル/日)341381446405407271
留出油輸出(万バレル/日)1069790109101141
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から2.6%向上して91.3%となり、原油消費量は前週より33万バレル増加した日量1592万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で13万バレル減少した943万バレル、輸入量は12万バレル増加した105万バレルとなった。一方でガソリンの出荷量は66万バレルと大幅に減少した848万バレル、輸出量は39万バレル増加した95万バレルだった。ガソリンの生産量が減少したこととガソリン出荷量が大幅に減少したことでガソリン在庫は704万バレル増加した。
 次に留出油は生産量が11万バレル増加した491万バレル、輸入量は33万バレル減少した18万バレルだった。留出油の出荷量は40万バレル減少した341万バレル、輸出量は9万バレル増加した106万バレルとなった。生産量が増加したものの出荷量がより減少し在庫が増加が続いている。
 ジェット燃料生産量は4万バレル増加した128万バレル、出荷量は41万バレル減少した103万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で143万バレル減少した1771万バレルとなった。原油在庫が524万バレル減、ガソリン在庫が704万バレル増、留出油の在庫が441万バレル増となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で1410万バレル増加した19億1980万バレルだった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格はガソリンが約5セントの上昇、ディーゼル燃料が約7セントの上昇となった。原油価格は約3.30ドルの上昇だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
6/45/285/215/14前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.1642.1102.0562.1511.131
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
2.1162.0401.9972.0451.099
原油
(ドル/バレル)
69.5766.3163.6165.3239.49
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格は約1セントの上昇、ディーゼル燃料の小売価格は約2セントの上昇だった。レギュラーガソリン価格は今週も1ガロン当たり3.000ドルを超えて推移している。

小売価格6/7  5/31  5/24  5/17  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.0353.0273.0203.0282.036
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.4633.4503.4453.4402.434
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.7123.6993.6903.6682.686
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.2743.2553.2533.2492.396
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は前週からさらに20万バレル増加した日量1120万バレルだった。需要面では製油所稼働率が前週から1.3%向上した92.6%となり、原油消費量は42万バレル増加した日量1633万バレルだった。夏の行楽シーズンを前に製油所の稼働率が上昇し90%を超えている。原油輸出入は日量319万バレルの輸入超過となった。原油輸入量は前週比で日量100万バレル増加した日量663万バレル、輸出量が38万バレル増加した日量293万バレルとなった。原油生産量の増加、原油輸入量の増加、原油消費量の増加により原油在庫は前週の507万バレルの在庫減少から在庫減少幅がさらに増加し524万バレルの在庫減少となった。
 ガソリン、留出油ともに出荷量の減少により、それぞれ704万バレルの在庫増、659万バレルの在庫増となった。夏の行楽シーズンを迎えてガソリン卸売価格が約5セント、ディーゼル燃料卸売価格は約4セントの上昇となったが、小売価格も上昇している。
 全ての石油製品の出荷量は日量143万バレル減少した1771万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は1410万バレル増加した19億1980万バレルだった。
 前日の原油相場はEIAの週間在庫発表で原油在庫が減少したものの、ガソリンや留出油の在庫が増加したことを受けて売られた。終盤、アメリカの景気回復と原油需要回復への期待感から買い戻されて下げどまり1バレル70ドル付近での値動きが続いた。原油在庫が減少した一方でガソリンや留出油など燃料の出荷量が夏のドライブシーズンに入ったにもかかわらず減少しており、原油消費の増加には疑問符が付いたと考えている。原油相場はまもなく下げに転じるのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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