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レポート
column

2021/06/14

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年6月14日)

ダイジェスト

・6月10日発表の天然ガス在庫は各社予想98Bcf増に対して98Bcf増と一致した
・6月4日時点の天然ガス在庫量は2411Bcf(有効容量56.6%)と在庫増加が続いている。在庫量の増加スピードは今週も平年を上回っており、平年との在庫量の差が前週と比べて約6Bcf縮小している
・6月3日から6月10日の期間内の天然ガス供給量は98.0Bcf(前週比1.1Bcf増加)、天然ガス生産量は0.4Bcf増加、カナダからの輸入量は0.7Bcfの増加
・6月3日から6月10日の期間内の天然ガス国内需要量は86.6Bcf(前週比2.5Bcf増加)
・国内需要の内訳は発電需要が7.5Bcf増加、住宅・商業用需要が3.1Bcf減少、工業用は0.6Bcfの減少となった。気温が上昇し冷房用の発電需要が増加する一方で、暖房用需要が減ったことで住宅・商業用需要が減少
・LNG輸出用需要は9.4Bcfで前週から1.5Bcfの減少
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は6.5Bcf横ばい
・6月14日から2週間の間、カリフォルニアからアメリカ西部にかけて平年以上の気温となる熱波が到来する見通し。1か月予報ではテキサス州周辺以外の気温が平年より高い予報となっている

週間天然ガス在庫総評

 EIAが6月10日に発表した6月4日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で98Bcfの増加となり2411Bcfとなった。この日の天然ガス相場は気温上昇による冷房用需要の増加期待から値上がりしたが利食い売りが出て横ばいとなった。在庫の増加量は各社予想の98Bcf増加と一致しほとんど値動きに影響はなかった。図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較しているが、現在の在庫量は過去5年平均(図1黒線)を総量でやや下回る状況が続いているが、今週も在庫が増加し差がやや縮まっている。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週もすべての地域の天然ガス在庫が増加している。全米の在庫量は2411Bcfで平年(5年間の平均)に比べて55Bcf少なく、前年比で383Bcf少なくなっている。前週発表では平年比で約61Bcfの差があったものが今週発表では約55Bcfとなり今週も平年との在庫量差はやや縮んだ 。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の51.4%、有効容量(4261Bcf)の56.6%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は6月3日から6月9日の間の天然ガス供給量内訳となる。天然ガスの生産は93.3Bcfと前週から0.4Bcfの増加、カナダからの輸入は4.6Bcfと前週から0.7Bcfの増加だった。天然ガスの総供給量は前週比で1.1Bcf増加した98.0Bcfだった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は6月3日から6月9日の間の天然ガス需要量内訳となる。需要量全体は86.6Bcfと前週比で1.5Bcfの増加となった。
 アメリカの国内需要は64.5Bcfと前週比で3.9Bcfの増加となった。内訳は発電需要が前週から7.5Bcf増加した35.4Bcf、工業需要が0.6Bcf減少した20.3Bcf、住宅・商業用需要は前週比で3.1Bcf減少した8.7Bcfとなり10.0Bcfを割り込んだ。6月3日から6月9日の間の天然ガス消費は気温の上昇により冷房用の電力需要や発電所向けの需要が7.5Bcfと大きく伸びた一方で、暖房用需要がほぼ無くなったことから住宅・商業用需要は3.1Bcfの減少となった。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は6.5Bcfと前週から横ばい、LNG輸出は前週から1.5Bcf減少した9.4Bcfだった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

5月11日時点5月18日時点5月25日時点6月2日時点6月9日時点
原油用352基356基356基359基365基
天然ガス用100基99基98基97基96基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。6月11日発表のレポート(6月9日時点)による稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から6基増の365基、天然ガス採掘用リグ稼働数は1基減の96基だった。リグの総数はどちらの用途でもない1基のリグを加えて前週から5基増加した463基となった。原油採掘用リグ数の増加は続いている一方で、天然ガス採掘用リグ数は5月初めに100基を記録して以来は減少が続いている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。6月5日に10Bcfを割り込むと6月6日には8.5Bcfまで輸出量が低下した。その後は9.5Bcf付近まで回復している。EIAによると6月3日から6月9日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは16隻でLNG輸出量は前週から15Bcf減少した61Bcfだった。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した10日後から14日後(6月14日から6月20日)の気温予報となる。テキサス州周辺やアメリカ中西部では平年並みの気温となる一方で、太平洋岸からアメリカ西部までと大西洋沿岸では平年以上の気温となる見通しとなっている。図4は5月31日NOAA発表の最新の1か月予報となっており、テキサス州周辺で平年以下の気温となる他は全国的に平年以上の気温となる見通し。最新の予報は週内に更新される見込み。

まとめ

 6月10日に発表された6月9日時点の天然ガス在庫の増加幅は98Bcf増と各社の事前予想と一致した。6月3日以降の天然ガス需要は86.6Bcfとなった。内訳では気温の上昇で空調用需要が高まり発電所向けの需要が35.4Bcfと前週と比べて7.5Bcfと大幅増加、気温上昇で朝晩の暖房向けの需要が減ったことで住宅・商業用需要は8.7Bcfと前週より3.1Bcfの減少だった。LNGの輸出向け需要は1日平均9.4Bcfで輸出量は前週より15Bcf少ない61Bcfだった。直近1週間のLNG輸出需要は6月5日以降10Bcfを割り込み11日まで9Bcf台が続いている。一方で、天然ガスの供給は98.0Bcfと前週より1.1Bcfの増加で、内訳は天然ガス生産が前週より0.4Bcf増加した93.3Bcf、カナダからの供給が0.7Bcf増加した4.6Bcfとなっており、天然ガスの生産がゆっくりではあるが増加している。
 前週6月10日の天然ガス相場は気温上昇予想をもとに買われたが、終盤に利食い売りが出て横ばいとなった。天然ガス在庫は予想と一致したため大きな影響はなかった。翌11日はカリフォルニア州からアメリカ西部にかけて熱波が到達し冷房用需要が増加するとの見方から大きく上昇した。
 アメリカでは夏が本番となったことで気温が上昇し冷房用の電力需要が高まっている。特に今週はカリフォルニア州からアメリカ西部を中心に熱波が焼てくる見込みで天気予報が相場を左右すると考えられる。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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