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レポート
column

2021/06/17

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年6月17日)

ダイジェスト

・昨日の原油相場はダウの下落が懸念材料となって売られた。EIAの統計は原油在庫が減少したがガソリン在庫が増加とまちまちな結果で相場には大きな影響はなかった。
・原油在庫は735万バレル減少
 原油生産量は日量1120万バレルと前週から20万バレルの増加
 輸出入では輸入量が674万バレル、輸出量が388万バレルで286万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は1.3%の上昇で、原油処理量は41万バレルの増加
 Adjustmentによる在庫調整は前週と同様増加側に振れており調整量は82万バレル減少した109万バレル
・ガソリン在庫は195万バレル増加
(生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が増加している。出荷量の増加で在庫増加幅が減少
 ガソリン生産量は49万バレル増加、輸入量は横ばい
 ガソリン出荷量は88万バレル増加、輸出量は12万バレル減少
・留出油在庫は102万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少。出荷量が大きく増加したため在庫が減少に転じる。
 留出油の生産量は14万バレル増加、輸入量は19万バレル増加
 留出油の出荷量は92万バレル増加、輸出量は17万バレル増加
・原油と石油製品を合わせた在庫量は19億1430万バレルで前週より550万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は215万バレル減少した4360万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率57.4%

EIA週間統計の総評

 昨夜EIAの週間在庫統計が発表され、原油在庫が735万バレルの減少となった。製油所の稼働率は前週比で1.3%上昇した92.6%となり、原油消費量は前週比41万バレル増加した1633万バレルとなっている。石油製品ではガソリン在庫が195万バレルの増加、留出油在庫は102万バレルの減少、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は215万バレル減少した4360万バレルだった。
 原油生産は前週比で20万バレル増加し日量1120万バレルとなった。原油輸入量は前週比で10万バレル増加した日量674万バレル、輸出量は日量95万バレル増加した日量388万バレルで輸出入全体としては286万バレルの輸入超過だが超過幅が減少している。戦略備蓄(SPR)の放出は12万バレルだった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は19億1430万バレルと前週比で550万バレルの減少となった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は735万バレル減少した4億6670万バレル、ガソリン在庫は195万バレル増加した2億4300万バレル、留出油在庫は102万バレル減少した1億3620万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は215万バレル減少した4360万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)850減735減524減507減166減
ガソリン(万バレル)390増195増704増149増174減
留出油(万バレル)200増102減441増372増301減
クッシング在庫(万バレル)215減16増78増100減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫は過去5年間の在庫レンジの中央値より少な目、ガソリン在庫が急速に増えて過去5年間の在庫レンジの中央付近、留出油在庫も過去5年間の在庫レンジの中央値より少な目となっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は前週から20万バレル増加した日量1120万バレルだった。原油輸入量は前週比で10万バレル増加した日量674万バレル、輸出量は前週比95万バレル増加した388万バレルとなった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計ではAdjustmentとして先週から82万バレル増加した109万バレルが在庫を増加させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)112011001080110011001050
戦略備蓄増加(万バレル/日)-12-19-9-23-1624
原油輸入(万バレル/日)674663563627632664
原油輸出(万バレル/日)388293254343319246
Adjustment(万バレル/日)10927899279-65
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週はメキシコ、サウジアラビア、イラク、ロシアの輸入が増加し、カナダやブラジルからの輸入が減少している。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ364397-33
メキシコ7642+34
サウジアラビア3814+24
イラク3017+13
コロンビア1413+1
エクアドル912-3
ナイジェリア1626-10
ロシア3925+14
ブラジル026-26
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から1.3%の上昇した92.6%となり、製油所への原油投入量は41万バレル増加した日量1633万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から49万バレル増加した日量992万バレル、ジェット燃料生産は9万バレル増加した日量137万バレル、留出油生産は14万バレル増加した日量505万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)163315921559152315771360
製油所稼働率(%)92.691.388.787.089.973.8
ガソリン生産(万バレル/日)  992943956974966835
ガソリン輸入(万バレル/日) 1051059310310153
ジェット燃料生産(万バレル/日)13712812412912974
ジェット燃料輸入(万バレル/日)14626271824
留出油生産(万バレル/日)   505491480466486449
留出油輸入(万バレル/日)  371851273316
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週比で88万バレルと大幅増加した日量936万バレル、ジェット燃料の出荷量は22万バレル増加した日量125万バレル、留出油の出荷量は92万バレル増加した日量433万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)936848914947911787
ガソリン輸出(万バレル/日)839556737749
ジェット燃料出荷(万バレル/日)12510314413912878
ジェット燃料輸出(万バレル/日)785679
留出油出荷(万バレル/日)433341381446460341
留出油輸出(万バレル/日)1231069790104130
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から1.3%向上して92.6%となり、原油消費量は前週より41万バレル増加した日量1633万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で49万バレル増加した992万バレル、輸入量は横ばいの105万バレルとなった。一方でガソリンの出荷量は88万バレルと大幅増加した936万バレル、輸出量は12万バレル減少した83万バレルだった。ガソリンの生産量が増加したが、ガソリン出荷量がそれ以上に大幅にそうかしたことで、ガソリン在庫は195万バレル増と前週と比べて在庫増加幅が500万バレル以上減少した。
 次に留出油は生産量が14万バレル増加した505万バレル、輸入量は19万バレル増加した37万バレルだった。一方で留出油の出荷量は92万バレルと大幅に増加した433万バレル、輸出量は17万バレル増加した123万バレルとなった。出荷量と輸出量が増加し在庫減少に転じた。
 ジェット燃料生産量は9万バレル増加した137万バレル、出荷量は22万バレル増加した125万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で286万バレル増加した2057万バレルとなった。原油在庫が735万バレル減、ガソリン在庫が195万バレル増、留出油の在庫が102万バレル減となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で550万バレル増加した19億1430万バレルだった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格はガソリンが約2セントの下落、ディーゼル燃料がほぼ横ばいとなった。原油価格は約1.4ドルの上昇だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
6/116/45/285/21前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.1432.1642.1102.0561.056
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
2.1202.1162.0401.9971.102
原油
(ドル/バレル)
71.0069.5766.3163.6136.24
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格は約3セントの上昇、ディーゼル燃料の小売価格は約1セントの上昇だった。レギュラーガソリン価格は今週も1ガロン当たり3.000ドルを超えて推移している。

小売価格6/14 6/7 5/31 5/24 前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.0693.0353.0273.0202.098
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.4883.4633.4503.4452.495
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.7443.7123.6993.6902.745
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.2863.2743.2553.2532.403
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は前週から20万バレル増加した日量1120万バレルだった。需要面では製油所稼働率が前週から1.3%向上した92.6%となり、原油消費量は41万バレル増加した日量1633万バレルだった。夏の行楽シーズンで製油所の稼働率が上昇し引き続き90%を超えている。原油輸出入は日量286万バレルの輸入超過となった。原油輸入量は前週比で日量10万バレル増加した日量674万バレル、輸出量が95万バレル増加した日量388万バレルとなった。原油生産量の増加、原油輸入量の増加、原油消費量の増加により原油在庫は前週の524万バレルの在庫減少から在庫減少幅がさら拡大し735万バレルの在庫減少となった。
 ガソリン、留出油ともに出荷量の増加により、ガソリンは195万バレルの在庫増と前週より在庫増加幅が500万バレル以上の減少、留出油は在庫減少に転じて102万バレルの在庫減となった。ガソリン卸売価格が約2セント、ディーゼル燃料卸売価格は横ばいとなったが、小売価格はガソリンが約3セント、ディーゼル燃料が約1セント上昇している。
 全ての石油製品の出荷量は日量286万バレル増加した2057万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は550万バレル減少した19億1430万バレルだった。
 昨夜のEIAの週間在庫発表では原油在庫が大きく減少したものの、ガソリン在庫が増加するなどまちまちな結果となった。終盤にはダウの下落を材料に売りが入った。原油在庫が減少しているが、石油製品、特にガソリンの出荷量が伸び悩みガソリン在庫の増加が続いている。原油相場は71ドルを超えて推移しているが、まもなく下げに転じるのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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