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コラム
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2021/06/25

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年6月25日)

ダイジェスト

・6月25日発表の天然ガス在庫は各社予想64Bcf増に対して55Bcf増と在庫増加が予想を下回る強気な内容だった。
・6月18日時点の天然ガス在庫量は2482Bcf(有効容量58.2%)と在庫増加は続いているが在庫量の増加スピードは平年を下回り、平年との在庫量の差は154Bcfと前週の126Bcfと比べて差が広がる
・6月17日から6月24日の期間内の天然ガス供給量は97.8Bcf(前週比0.1Bcf減少)、天然ガス生産量は0.2Bcf増加、カナダからの輸入量は0.3Bcfの減少
・6月17日から6月24日の期間内の天然ガス国内需要量は86.5Bcf(前週比0.4Bcf減少)
・国内需要の内訳は発電需要が1.6Bcf減少、住宅・商業用需要が0.3Bcf増加、工業用は0.2Bcfの増加となった。気温上昇で冷房用の発電需要が高止まりしている。
・LNG輸出用需要は10.0Bcfで前週から0.6Bcfの増加
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は7.0Bcfと0.2Bcfの増加
・アメリカでは太平洋側を中心に記録的な暑さとなるなど、各地で気温が上昇すると予想されている。1か月予報ではテキサス州周辺以外の気温が平年より高い予報となっている

週間天然ガス在庫総評

 EIAが6月24日に発表した6月18日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で55Bcfの増加となり2482Bcfとなった。この日の天然ガス相場は在庫の増加量が各社予想の64Bcf増加を大きく下回ったことで発表直後から日本時間26時頃にかけて値上がりした。その後は取引終了時間まで横ばいとなり引けている。図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較しているが、現在の在庫量は過去5年平均(図1黒線)を総量でやや下回る状況が続いているが、今週も在庫増加が予想を下回り差が広がっている。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週は気温が上昇した南部で在庫がやや減っている。全米の在庫量は2482Bcfで平年(5年間の平均)に比べて154Bcf少なく、前年比で513Bcf少なくなっている。前週の発表では平年比で126Bcfの差があったものが今週発表では154Bcfとなり在庫量差が広がっている 。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の52.9%、有効容量(4261Bcf)の58.2%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は6月17日から6月23日の間の天然ガス供給量内訳となる。天然ガスの生産は93.0Bcfと前週から0.2Bcfの増加、カナダからの輸入は4.7Bcfと前週から0.3Bcfの減少だった。天然ガスの総供給量は前週比で0.1Bcf減少した97.8Bcfだった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は6月17日から6月23日の間の天然ガス需要量内訳となる。需要量全体は86.5Bcfと前週比で0.4Bcfの減少となった。
 アメリカの国内需要は63.3Bcfと前週から横ばいだった。内訳は発電需要が前週から1.6Bcf減少した34.7Bcf、工業需要が0.2Bcf増加した20.4Bcf、住宅・商業用需要が前週比で0.3Bcf増加した8.2Bcfとなった。6月17日から6月23日の間の天然ガス消費の内訳を見ると、冷房用の電力需要や工業用需要、住宅・商業用需要は平年並みとなっている。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週比で0.2Bcf増加した7.0Bcf、LNG輸出は前週比で0.6Bcf増加した10.0Bcfだった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

5月18日時点5月25日時点6月2日時点6月9日時点6月16日時点
原油用356基356基359基365基373基
天然ガス用99基98基97基96基97基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。6月18日発表の最新レポート(6月16日時点)による稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から8基増の373基、天然ガス採掘用リグ稼働数は1基増の97基だった。リグの総数はどちらの用途でもない1基のリグを加えて前週から9基増加した471基となっている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。輸出が増加傾向にあり6月19日からは10Bcfを上回る日が多くなっている。EIAによると6月10日から6月16日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは17隻でLNG輸出量は前週から3Bcf減少した62Bcfとほぼ横ばいだった。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した10日後から14日後(7月2日から7月8日)の気温予報となる。アメリカ中西部からメキシコ湾、アメリカ南部にかけて平年以下の気温となる一方で、太平洋岸やアメリカ中西部北部、アメリカ東部では平年以上の気温となる見通しとなっている。図4は6月17日NOAA発表の最新の1か月予報となっており、テキサス州からメキシコ湾岸で平年並みの気温となる他は全国的に平年以上の気温となる見通し。

まとめ

 6月24日に発表された6月18日時点の天然ガス在庫の増加幅は55Bcf増と各社の事前予想64Bcfを下回る強気な結果だった。6月17日以降の天然ガス需要は86.5Bcfと前週の86.9Bcfと比べてほぼ横ばいとなった。内訳では発電所向けの需要が前週比で1.6Bcf減少した34.7Bcf、住宅・商業用需要は前週比で0.3Bcf増加した8.2Bcfだった。LNGの輸出向け需要は1日平均10.0Bcfと前週より0.6Bcf増加した。輸出量は62Bcfと前週の65Bcfからやや減少した。直近1週間のLNG輸出需要は6月18日以降増加傾向にあり10Bcfを超える日が続いている。一方で、天然ガスの供給は97.8Bcfと前週より0.1Bcfの減少と横ばいだった。内訳は天然ガス生産が前週より0.2Bcf増加した93.0Bcf、カナダからの供給が0.3Bcf減少した4.7Bcfとなっている。
 前週6月24日の天然ガス相場は天然ガス在庫が予想を下回ったことを材料に買われて上昇した。アメリカでは記録的な暑さが予想される太平洋岸を中心に広い範囲で気温が上昇した状態が続き、冷房用電力需要が高い状態が続くと予想されている。また輸出量が増加傾向にあり、来週は気温予報とLNGの輸出に関する情報が相場を左右すると考えられる。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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