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コラム
column

2021/06/04

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年6月4日)

ダイジェスト

・昨日の原油相場は原油在庫が減少したもののガソリンや留出油の在庫が増加したことから売られたが、アメリカの景気回復と原油需要回復への期待感は強く買い戻され横ばい
・原油在庫は507万バレル減少
 原油生産量は日量1080万バレルと前週から20万バレルの減少
 輸出入では輸入量が563万バレル、輸出量が254万バレルで319万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は1.7%の上昇で、原油処理量は35万バレルの増加
 Adjustmentによる在庫調整は前週と同様増加側に振れており調整量は3万バレル減少した89万バレル
・ガソリン在庫は149万バレル増加
(生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が減少している。出荷量の減少で在庫が増加に転じる
 ガソリン生産量は18万バレル減少、輸入量は10万バレル減少
 ガソリン出荷量は33万バレル減少、輸出量は17万バレル減少
・留出油在庫は372万バレル増加
 (生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が増加している。出荷量が大きく減少したため在庫が増加に転じる
 留出油の生産量は14万バレル増加、輸入量は24万バレル増加
 留出油の出荷量は65万バレル減少、輸出量は7万バレル増加
・原油と石油製品を合わせた在庫量は19億0570万バレルで前週より130万バレルの増加
・オクラホマ州クッシング在庫は78万バレル増加した4550万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率59.2%

EIA週間統計の総評

 昨夜EIAの週間在庫統計が発表された。原油在庫は507万バレルの減少となった。製油所の稼働率は前週比で1.7%上昇した88.7%となり、原油消費量は前週比35万バレル増加した1559万バレルとなっている。石油製品ではガソリン在庫が149万バレルの増加、留出油在庫は372万バレルの増加、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は78万バレル増加した4550万バレルだった。
 原油生産は前週比で20万バレル減少した日量1080万バレルだった。原油輸入量は前週比で64万バレル減少した日量563万バレル、輸出量は日量88万バレル減少した日量254万バレルとなった。輸出入全体としては319万バレルの輸入超過となり超過幅が増加している。戦略備蓄(SPR)の放出は9万バレルだった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は19億0570万バレルと前週比で130万バレルの増加となった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は507万バレル減少した4億7930万バレル、ガソリン在庫は149万バレル増加した2億3400万バレル、留出油在庫は372万バレル増加した1億3280万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は78万バレル増加した4450万バレルだった。

API統計 EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)540減507減166減132増42減
ガソリン(万バレル)250増149増174減196減37増
留出油(万バレル)160増372増301減232減173減
クッシング在庫(万バレル)78増100減14減42減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫は過去5年間の在庫レンジの中央値付近、ガソリン在庫は過去5年間の在庫レンジの下限付近、留出油在庫は過去5年間の在庫レンジ中央値を下回っている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は前週から20万バレル少ない日量1080万バレルだった。原油輸入量は前週比で64万バレル減少した日量563万バレル、輸出量は前週比89万バレル減少した254万バレルとなった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計ではAdjustmentとして先週から3万バレル減少した89万バレルが在庫を増加させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)108011001100110010841140
戦略備蓄増加(万バレル/日)-9-23-27-20-2157
原油輸入(万バレル/日)563627641548585720
原油輸出(万バレル/日)254343330179289317
Adjustment(万バレル/日)899292642-99
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週はコロンビアとナイジェリアからの輸入が増加したが、カナダやサウジアラビア、ロシアからの輸入が減少している。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ314354-40
メキシコ7066+4
サウジアラビア1827-9
イラク1618-2
コロンビア187+11
エクアドル2222+-0
ナイジェリア162+14
ロシア2851-23
ブラジル60+6
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は88.7%と前週から1.7%の上昇となり、製油所への原油投入量は36万バレル増加した日量1559万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から18万バレル減少した日量956万バレル、ジェット燃料生産は5万バレル減少した日量124万バレル、留出油生産は14万バレル増加した日量480万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)155915231511150215241330
製油所稼働率(%)88.787.086.386.187.071.8
ガソリン生産(万バレル/日)  956974975958916854
ガソリン輸入(万バレル/日) 93103108939978
ジェット燃料生産(万バレル/日)12412912613413238
ジェット燃料輸入(万バレル/日)262717172212
留出油生産(万バレル/日)   480466455465407271
留出油輸入(万バレル/日)  512726203116
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。前週比でガソリン出荷量は33万バレル減少した日量914万バレル、ジェット燃料の出荷量は5万バレル増加した日量144万バレル、留出油の出荷量は65万バレル減少した日量381万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)914947922880916754
ガソリン輸出(万バレル/日)567383997826
ジェット燃料出荷(万バレル/日)14413911812813238
ジェット燃料輸出(万バレル/日)561411912
留出油出荷(万バレル/日)381446405396407271
留出油輸出(万バレル/日)979010911410390
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から1.7%向上して88.7%となり、原油消費量は前週より35万バレル増加した日量1558万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で18万バレル減少した956万バレル、輸入量は10万バレル減少した93万バレルとなった。一方でガソリンの出荷量は33万バレル減少した914万バレル、輸出量は17万バレル減少した56万バレルだった。ガソリン出荷量と輸出量が減少しガソリン在庫は149万バレル増加した。
 次に留出油は生産量が14万バレル増加した480万バレル、輸入量は24万バレル増加した51万バレルだった。留出油の出荷量は65万バレル減少した381万バレル、輸出量は7万バレル増加した97万バレルとなった。出荷量が減少し在庫が増加に転じた。
 ジェット燃料生産量は5万バレル減少した124万バレル、出荷量は5万バレル増加した144万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で81万バレル減少した1914万バレルとなった。原油在庫が507万バレル減、ガソリン在庫が149万バレル増、留出油の在庫が372万バレル増となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で130万バレル増加した19億0570万バレルだった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格はガソリンが約5セントの上昇、ディーゼル燃料が約4セントの上昇となった。原油価格は約2.70ドルの上昇だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
5/285/215/145/7前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.1102.0562.1512.1210.948
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
2.0401.9972.0452.0130.955
原油
(ドル/バレル)
66.3163.6165.3264.9635.57
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格、ディーゼル燃料の小売価格は共にほぼ横ばいだった、レギュラーガソリン価格は今週も1ガロン当たり3.000ドルを超えている。

小売価格5/31  5/24  5/17  5/10  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.0273.0203.0282.9611.974
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.4503.4453.4403.3722.380
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.6993.6903.6683.6242.638
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.2553.2533.2493.1862.386
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は前週から20万バレル減少した日量1080万バレルだった。需要面では製油所稼働率が前週から1.7%向上した88.7%となり原油消費量は35万バレル増加した日量1558万バレルだった。夏の行楽シーズンを前に製油所の稼働率が次第に上昇し90%に迫っている。原油輸出入は日量319万バレルの輸入超過となった。原油輸入量は前週比で日量64万バレル減少した日量563万バレル、輸出量が88万バレル減少した日量254万バレルとなった。原油輸出の減少はあったものの、原油輸入量の減少、原油生産量の増加、原油消費量の増加により原油在庫は前週の166万バレルの在庫減少から在庫減少幅増加し507万バレルの在庫減少となった。
 ガソリン、留出油ともに出荷量の減少により、それぞれ149万バレルの在庫増、372万バレルの在庫増となった。夏の行楽シーズンを迎えてガソリン卸売価格が約5セント、ディーゼル燃料卸売価格は約4セントの上昇となったが、小売価格は横ばいだった。
 全ての石油製品の出荷量は日量81万バレル減少した1914万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は130万バレル増加した19億0570万バレルだった。
 前日の原油相場はEIAの週間在庫発表で原油在庫が減少したものの、ガソリンや留出油の在庫が増加したことを受けて売られたが、アメリカの景気回復と原油需要回復への期待感は強く買い戻されて横ばいとなった。金曜日は雇用統計の内容がまちまちな内容になったことで、FRBによる早期緩和終了への見方が後退することになり、1バレル70ドルを目指して上昇している。原油価格の上昇の動きは緩和終了まで続くと考えられる。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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