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コラム
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2021/06/07

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年6月7日)

ダイジェスト

・6月3日発表の天然ガス在庫は各社予想94Bcf増に対して98Bcf増と3週間連続で弱気な内容となった
・6月2日時点の天然ガス在庫量は2313Bcf(有効容量54.2%)と在庫増加が続いている上、今週も在庫量の増加スピードが平年を上回り、平年との在庫量の差が約10Bcf縮小している
・5月27日から6月2日の期間内の天然ガス供給量は96.6Bcf(前週比0.1Bcf減少)、天然ガス生産量は0.2Bcf増加、カナダからの輸入量は0.6Bcfの減少
・5月27日から6月2日の期間内の天然ガス国内需要量は84.0Bcf(前週比1.0Bcf増加)
・国内需要の内訳は発電需要が2.4Bcf減少、住宅・商業用需要が2.3Bcf増加、工業用は0.5Bcfの増加となった。週の後半に気温が伸び悩んだため需要増加は小幅にとどまった
・LNG輸出用需要は10.9Bcfで前週から0.4Bcfの増加
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は0.2Bcf増加した6.4Bcf
・6月7日から2週間の間、テキサス州周辺やアメリカ東部を除き、太平洋岸から五大湖周辺にかけての広い範囲で平年以上の気温となる見通し。1か月予報ではテキサス州周辺以外の気温が平年より高い予報となっている

週間天然ガス在庫総評

 EIAが6月3日に発表した5月28日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で98Bcfの増加となり2313Bcfとなった。在庫の増加量は各社予想の94Bcf増加を上回り3週間連続で弱い内容となった。この日も低調な値動きが続いていた天然ガス相場は在庫発表を受けて一時高下したが、結局大きな影響はなかった。図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較しているが、現在の在庫量は過去5年平均(図1黒線)を総量でやや下回る状況が続いているが、今週も在庫が増加し差がやや縮まっている。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週もすべての地域の天然ガス在庫が増加している。全米の在庫量は2313Bcfで平年(5年間の平均)に比べて61Bcf少なく、前年比で368Bcf少なくなっている。前週発表では平年比で約63Bcfの差があったものが今週発表では約61Bcfと平年との在庫量の差はやや縮んでいる 。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の49.2%、有効容量(4261Bcf)の54.2%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は5月27日から6月2日の間の天然ガス供給量内訳となる。天然ガスの生産は92.6Bcfと前週から0.2Bcfの増加、カナダからの輸入は3.9Bcfと前週から0.6Bcfの減少だった。天然ガスの総供給量は前週比で0.1Bcf減少した96.6Bcfだった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は5月27日から6月2日の間の天然ガス需要量内訳となる。需要量全体は84.0Bcfと前週比で1.0Bcfの増加となった。
 アメリカの国内需要は60.6Bcfと前週比で0.4Bcfの増加だった。内訳は発電需要が前週から2.4Bcf減少した27.9Bcf、工業需要は0.5Bcf増加した20.9Bcf、住宅・商業用需要は前週比で2.3Bcf増加した11.8Bcfだった。5月27日から6月2日の間の天然ガス消費は気温の上昇が一段落したことで冷房用の電力需要や発電所向けの需要が伸び悩んだことで小幅な増加となった。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週から0.2Bcf増えた6.4Bcf、LNG輸出は前週から0.4Bcf増加した10.9Bcfだった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

5月4日時点5月11日時点5月18日時点5月25日時点6月2日時点
原油用344基352基356基356基359基
天然ガス用103基100基99基98基97基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。6月4日発表のレポート(6月2日時点)による稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から3基増の359基、天然ガス採掘用リグ稼働数は1基減の97基だった。リグの総数はどちらの用途でもない1基のリグを加えて前週から2基増加した458基となった。原油採掘用リグ数の増加は続いているが、天然ガス採掘用リグ数は減少が続いている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。5月26日以降に輸出量が増加し29日以降は11Bcf台で推移したが、直近の6月3日以降再度11Bcf台を割り込んでいる。EIAによると5月13日から5月19日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは21隻で前週から9Bcf増加した76BcfのLNGが輸出された。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した10日後から14日後(6月14日から6月20日)の気温予報となる。テキサス州周辺やアメリカ東部で平年以下の気温、アメリカ南部で平年並みの気温となる一方で、太平洋岸から五大湖周辺までは平年以上の気温となる見通しとなっている。図4は5月31日NOAA発表の最新の1か月予報となっており、テキサス州周辺で平年以下の気温となる他は全国的に平年以上の気温となる見通し。

まとめ

 6月3日に発表された6月2日時点の天然ガス在庫は各社予想の94Bcf増をやや上回る98Bcf増と3週連続で弱気な内容となった。3日の天然ガス相場は天然ガス在庫が弱気な内容となったことを受けて一時高下したものの大きな影響はなかった。今回の発表では天然ガス生産が前週より0.2Bcfの増加したがカナダからの輸入の落ち込みで供給が0.4Bcf減少した一方で、需要は1.0Bcf増加した。ただ、供給が需要を12Bcfほど上回っているため在庫増加につながったと考えられる。
 発表された5月26日以降の天然ガス需要内訳をみると、5月27日から2日の間は気温の上昇が一段落したことで発電所向けの需要が2.4Bcf減少した。一方で住宅・商業用需要は2.3Bcfの増加だった。前週1週間に67BcfのLNGが輸出されたのに対して今週のLNGの輸出量は前週比で9Bcf多い76Bcfだった。直近1週間のLNG輸出需要は5月29日以降6月2日まで11.0Bcfを上回る日が続いていたが、3日以降は11Bcfを再度割り込んでいる。
 今週の統計では天然ガス生産量が0.2Bcfの増加となった。一方、輸出需要は前週から0.4Bcf増加した10.9Bcfだった。アメリカの気温上昇予報が一服したことや天然ガスの価格上昇で火力発電所の燃料が天然ガスから石炭へシフトしたことで国内需要は低い伸びにとどまっている。来週もEIA在庫情報、天気予報などに相場が左右される状況が続くと考えられる。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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