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コラム
column

2021/07/01

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年7月1日)

ダイジェスト

・昨日の原油相場はEIAの統計で原油在庫が減少した結果を受けて発表直後には買われたが、今日1日に行われるOPECプラスの会合をにらんだ利食い売りが強く横ばいとなった。
・原油在庫は671万バレル減少
 原油生産量は日量1110万バレルで前週から横ばい
 輸出入では輸入量が640万バレル、輸出量が371万バレルで269万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は0.7%の向上で、原油処理量は18万バレルの増加
 Adjustmentによる在庫調整は前週と同様増加側で調整量は96万バレル増加した135万バレル
・ガソリン在庫は152万バレル増加
(生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が再度増加に転じた。
 ガソリン生産量は75万バレル減少、輸入量5万バレル減少
 ガソリン出荷量は27万バレル減少、輸出量は45万バレル減少
・留出油在庫86万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少。出荷量が増加し生産量が減少したため在庫が減少に転じる。
 留出油の生産量は9万バレル減少、輸入量は3万バレル減少
 留出油の出荷量は23万バレル減少、輸出量は3万バレル増加
・原油と石油製品を合わせた在庫量は19億80万バレルで前週より600万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は146万バレル減少した4030万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率53.0%

EIA週間統計の総評

 昨夜EIAの週間在庫統計が発表され、原油在庫は671万バレルの減少となった。製油所の稼働率は前週比で0.7%向上した92.9%となり、原油消費量は前週比18万バレル増加した1629万バレルとなった。石油製品ではガソリン在庫が152万バレルの増加、留出油在庫は86万バレルの減少、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は146万バレル減少した4030万バレルだった。
 原油生産は前週から横ばい日量1110万バレルとなった。原油輸入量は前週比で53万バレル減少した日量640万バレル、輸出量は日量6万バレル増加した日量371万バレルで輸出入全体としては269万バレルの輸入超過となっている。戦略備蓄(SPR)の放出は20万バレルだった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は19億80万バレルと前週比で600万バレルの減少となった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は671万バレル減少した4億5230万バレル、ガソリン在庫は152万バレル増加した2億4160万バレル、留出油在庫は86万バレル減少した1億3710万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は146万バレル減少した4030万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)820減671減761減735減524減
ガソリン(万バレル)240増152増293減195増704増
留出油(万バレル)40増86減175増102減441増
クッシング在庫(万バレル)146減183減215減16増
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫は過去5年間の在庫レンジの中央値より少なく下限値が迫っている、ガソリン在庫は過去5年間の在庫レンジの中央付近、留出油在庫も過去5年間の在庫レンジの中央値より少なくなっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は前週から横ばいの日量1110万バレルだった。原油輸入量は前週比で53万バレル減少した日量640万バレル、輸出量は前週比で6万バレル増加した371万バレルとなった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計ではAdjustmentとして先週から96万バレル増加した135万バレルが在庫を増加させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)111011101120110011101100
戦略備蓄増加(万バレル/日)-20-24-12-19-1924
原油輸入(万バレル/日)640694674663668596
原油輸出(万バレル/日)371365388293354309
Adjustment(万バレル/日)135391092777-63
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週はエクアドルとロシアからの輸入が増加し、カナダやメキシコ、コロンビア、ナイジェリア、ブラジルからの輸入が減少している。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ328343-15
メキシコ7487-13
サウジアラビア5655+1
イラク1415-1
コロンビア1334-21
エクアドル262+24
ナイジェリア318-15
ロシア2815+13
ブラジル734-27
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から0.7%上昇した92.9%となり、製油所への原油投入量は18万バレル増加した日量1629万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から75万バレル減少した日量957万バレル、ジェット燃料生産は4万バレル減少した日量135万バレル、留出油生産は8万バレル減少した日量502万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)162916111633159216161403
製油所稼働率(%)92.992.292.691.392.275.5
ガソリン生産(万バレル/日)  9571032992943981895
ガソリン輸入(万バレル/日) 798410510593101
ジェット燃料生産(万バレル/日)13513913712813574
ジェット燃料輸入(万バレル/日)10281461517
留出油生産(万バレル/日)   502511505491502462
留出油輸入(万バレル/日)  242737182713
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週比で27万バレル減少した日量917万バレル、ジェット燃料の出荷量は15万バレル減少した日量143万バレル、留出油の出荷量は23万バレル増加した日量417万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)917944936848911856
ガソリン輸出(万バレル/日)448983957848
ジェット燃料出荷(万バレル/日)14315812510313258
ジェット燃料輸出(万バレル/日)5147886
留出油出荷(万バレル/日)417394433341396377
留出油輸出(万バレル/日)122119123106118106
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から0.7%向上した92.9%となり、原油消費量は前週より18万バレル増加した日量1629万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で75万バレルと大幅に減少した957万バレル、輸入量は5万バレル減少した79万バレルとなった。一方でガソリンの出荷量は27万バレル減少した917万バレル、輸出量は45万バレル減少した44万バレルだった。ガソリンの生産量とガソリン出荷量、輸出量が減少し、ガソリン在庫は152万バレルの増加に転じた。
 次に留出油は生産量が9万バレル減少した502万バレル、輸入量は3万バレル減少した24万バレルだった。一方で留出油の出荷量は23万バレル増加した417万バレル、輸出量は3万バレル減少した122万バレルとなった。生産量の減少と出荷量の増加で再度在庫減少に転じた。
 ジェット燃料生産量は4万バレル減少した134万バレル、出荷量は15万バレル減少した143万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で15万バレル増加した2090万バレルとなった。原油在庫が671万バレル減少、ガソリン在庫が152万バレル増加、留出油の在庫が86万バレ減少となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で600万バレル減少した19億80万バレルだった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格はガソリンが約9セントの上昇、ディーゼル燃料が約6セントの上昇となった。原油価格は約2.6ドルの上昇だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
6/256/186/116/4前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.2172.1292.1432.1641.094
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
2.1452.0882.1202.1161.130
原油
(ドル/バレル)
74.2171.6471.0069.5738.53
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格は約3セントの上昇、ディーゼル燃料の小売価格は約1セントの上昇だった。レギュラーガソリン価格は1ガロン当たり3.100ドルに迫っている。

小売価格6/28 6/21 6/14 6/7 前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.0913.0603.0693.0352.174
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.5243.4893.4883.4632.563
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.7773.7443.7443.7122.812
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.3003.2873.2863.2742.430
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は前週から横ばいの日量1110万バレルだった。需要面では製油所稼働率が前週から0.7%向上した92.9%となり、原油消費量は18万バレル増加した日量1629万バレルとなった。夏の行楽シーズンで製油所の稼働率が上がっており90%超が続いている。原油輸入量は前週比で日量54万バレル減少した日量640万バレル、輸出量が6万バレル増加した日量371万バレルで原油輸出入は日量269万バレルの輸入超過だった。原油生産量は横ばい、原油輸出入は60万バレルの減少、原油消費量の18万バレルの増加となった。原油在庫は前週より原油在庫の増加量が減少して671万バレルの在庫減少となった。
 ガソリンは生産量が減少したが、出荷量と輸出量の減少で152万バレルの在庫増加となった。留出油は生産量が微減、出荷量が増加したため86万バレルの在庫減少に転じた。燃料価格はガソリン卸売価格が約9セント、ディーゼル燃料卸売価格が6セントの上昇、小売価格はガソリンが約3セントの上昇、ディーゼル燃料は約1セントの上昇となった。
 全ての石油製品の出荷量は日量15万バレル増加した2090万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は600万バレル減少した19億80万バレルだった。
 昨夜のEIAの週間在庫発表では原油在庫、留出油在庫が減少したが、ガソリン在庫が増加するなどまちまちな結果となった。発表直後には原油在庫の減少を材料に上昇する場面があったが利食い売りが強く下落で引けている。今日7月1日にOPECプラスがJMMC(共同閣僚監視委員会)と閣僚会合を開く。会議では日量50万バレル程度の増産が行われるとの見通しとなっており、原油の上値を抑える展開となっている。目先の支援材料は出尽くしとなっており、週末の雇用統計発表までは小幅な値動きが続くのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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