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コラム
column

2021/07/15

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年7月15日)

ダイジェスト

・サウジアラビアとUAEがOPECプラスの増産案とUAEの増産を認めるとの内容で合意したとの報道で14日の原油相場が下落。EIAの在庫統計でガソリン在庫と留出油在庫が増加した結果を受けて原油相場の下落が加速
・原油在庫は789万バレル減少
 原油生産量は日量1140万バレルで前週から10万バレルの増加
 輸出入では輸入量が622万バレル、輸出量が402万バレルで220万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は0.4%低下し、原油処理量は2万バレルの減少
 Adjustmentによる在庫調整は今週も増加側で調整量は136万バレル
・ガソリン在庫は103万バレル増加
(生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が増加。ガソリン生産量が大幅に減少したが、出荷量の減少が生産量の減少を上回る
 ガソリン生産量は70万バレル減少、輸入量は3万バレル増加
 ガソリン出荷量は76万バレル減少、輸出量は10万バレル減少
・留出油在庫は365万バレル増加
 (生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が増加。出荷量が減少し輸出量が増加したため在庫が増加
 留出油の生産量は4万バレル増加、輸入量は6万バレル減少
 留出油の出荷量は68万バレル減少、輸出量は29万バレル増加
・原油と石油製品を合わせた在庫量は18億9220万バレルで前週より250万バレルの増加となり2020年3月以来の低水準
・オクラホマ州クッシング在庫は158万バレル減少した3810万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率50.1%

EIA週間統計の総評

 14日にEIAの週間在庫統計が発表されたが、いかなる理由か1時間発表が遅延した。原油在庫は789万バレルの減少となった。製油所の稼働率は前週比で0.4%低下した91.8%となり、原油消費量は前週比2万バレル減少した1609万バレルとなった。石油製品ではガソリン在庫が103万バレルの増加、留出油在庫は365万バレルの増加、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は158万バレル減少した3810万バレルだった。
 原油生産は前週から10万バレル増加した日量1140万バレルとなった。原油輸入量は前週比で34万バレル増加した日量622万バレル、輸出量は日量139万バレル増加した日量402万バレルで輸出入全体としては220万バレルの輸入超過となっている。戦略備蓄(SPR)の放出は今週は0だった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は18億9220万バレルと前週比で250万バレルの増加となった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は789万バレル減少した4億3760万バレル、ガソリン在庫は103万バレル増加した2億3650万バレル、留出油在庫は365万バレル増加した1億4230万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は158万バレル減少した3810万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)410減789減686増671減761減
ガソリン(万バレル)150減103増607減152増293減
留出油(万バレル)370増365増161増86減175増
クッシング在庫(万バレル)158減61減146減183減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫とガソリン在庫は過去5年間の在庫レンジの中央値より少なくなっている。留出油在庫は中央値に近づいている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は前週から10万バレル増加した日量1140万バレルだった。原油輸入量は前週比で34万バレル増加した日量622万バレル、輸出量は前週比で139万バレル増加した402万バレルとなった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計ではAdjustmentとして先週から95万バレル増加した136万バレルが在庫を増加させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)114011301110111011221100
戦略備蓄増加(万バレル/日)0-16-20-24-151
原油輸入(万バレル/日)622587640694636556
原油輸出(万バレル/日)402262371365350254
Adjustment(万バレル/日)136411353988-76
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週はカナダとロシアからの輸入が減少し、メキシコやエクアドルからの輸入が増加している。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ348374-26
メキシコ6440+24
サウジアラビア3431+3
イラク1822+4
コロンビア1415-1
エクアドル90+9
ナイジェリア1814+4
ロシア725-18
ブラジル00+0
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から0.4%低下した91.8%となり、製油所への原油投入量は2万バレル減少した日量1609万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から70万バレル減少した日量985万バレル、ジェット燃料生産は前週から12万バレル増加した日量147万バレル、留出油生産は前週から4万バレル減少した日量492万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)160916111629161116151430
製油所稼働率(%)91.892.292.992.292.378.1
ガソリン生産(万バレル/日)  985105595710321007909
ガソリン輸入(万バレル/日) 10410179849249
ジェット燃料生産(万バレル/日)14713513513913984
ジェット燃料輸入(万バレル/日)111310281615
留出油生産(万バレル/日)   492496502511508486
留出油輸入(万バレル/日)  7132427189
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週比で81万バレルと大幅に減少した日量928万バレル、ジェット燃料の出荷量は18万バレル減少増加した日量155万バレル、留出油の出荷量は68万バレル減少した日量316万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)9281004917944948864
ガソリン輸出(万バレル/日)74844489734
ジェット燃料出荷(万バレル/日)155137143158148126
ジェット燃料輸出(万バレル/日)13651494
留出油出荷(万バレル/日)316384417394378369
留出油輸出(万バレル/日)131102122119119133
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から0.4%低下した91.8%となり、原油消費量は前週より2万バレル減少した日量1609万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で70万バレルと大幅に減少した985万バレル、輸入量は3万バレル増加した104万バレルとなった。ガソリンの出荷量は76万バレル減少した928万バレル、輸出量は10万バレル減少した74万バレルだった。ガソリンの生産量とガソリン出荷量、輸出入量いずれも減少となったが、出荷量と輸出量の減少が生産量の減少を上回りガソリン在庫は103万バレルの増加に転じた。
 次に留出油は生産量が4万バレル減少した492万バレル、輸入量は6万バレル減少した7万バレルだった。留出油の出荷量は68万バレル減少した316万バレル、輸出量は29万バレル増加した131万バレルとなった。輸出量は増加したが出荷量の大幅な減少で365万バレルの在庫増加となった。
 ジェット燃料生産量は前週から12万バレル増加した147万バレル、出荷量は18万バレル増加した155万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で224万バレル減少した1930万バレルとなった。原油在庫が789万バレル減少、ガソリン在庫が103万バレル増加、留出油の在庫が365万バレ増加となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で250万バレル増加した18億9220万バレルとなった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格はガソリンが約1セントの上昇、ディーゼル燃料が約2セントの下落となった。原油価格は約0.8ドルの下落だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
7/97/26/256/18前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.2612.2762.2172.1291.244
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
2.1522.1792.1452.0881.238
原油
(ドル/バレル)
74.5675.3774.2171.6440.56
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格は約1セントの上昇、ディーゼル燃料の小売価格は横ばいだった。レギュラーガソリン価格は1ガロン当たり3.100ドルを超えているが、価格上昇スピードが鈍ってきた。

小売価格7/12 7/5 6/28 6/21 前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.1333.1223.0913.0602.195
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.5733.5593.5243.4892.589
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.8193.8063.7773.7442.842
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.3383.3313.3003.2872.438
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は前週から10万バレル増加した日量1140万バレルだった。需要面では製油所稼働率が前週から0.4%低下した91.8%で原油消費量は2万バレル減少した日量1609万バレルだった。夏の需要期で製油所の稼働率は90%超が続いている。原油輸入量は前週比で日量34万バレル増加した日量622万バレル、輸出量が139万バレル増加した日量402万バレルで原油輸出入はともに増加し、日量220万バレルの輸入超過だった。原油輸出の増加で原油在庫は789万バレルの在庫減少となった。前週より在庫減少幅が広がった。
 ガソリンは生産量が70万バレルと大幅に減少したが、出荷量は76万バレルと更に減少幅が大きかったため103万バレルの在庫増加となった。留出油は生産量が4万バレルの微減、輸出量が29万バレルの増加となったものの、出荷量が68万バレルの大幅減となったことで365万バレルの在庫増加となった。燃料価格はガソリン卸売価格が約1セントの下落、ディーゼル燃料卸売価格が約2セントの下落、小売価格はガソリンが1セントの上昇、ディーゼル燃料は横ばいとなった。
 全ての石油製品の出荷量は日量224万バレル減少した1930万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は250万バレル増加した18億9220万バレルとなった。
 昨晩、前週決裂のまま延期となったOPECプラスの会合の増産合意に進展があった。20時過ぎにUAEとサウジアラビアがOPECプラスによる8月からの日量40万バレルの増産の実施、協調期間を2022年4月から12月まで8か月延長、UAEの原油生産のベースラインの変更と増産の容認の3点で合意したとの報が流れたことで原油相場は下落に転じた。EIAの週間在庫発表で原油在庫の減少は続いているもののとガソリン在庫と留出油在庫が増加したことから発表直後に売りが加速したこともあり、一時72ドルを割り込んでいる。市場では公式な合意内容の発表がなくUAEの増産幅が不透明なことやUAE以外の産油国が増産するのではないかとの観測が広がっている。前年の大暴落以後、長らく続いた上昇トレンドからの転換の可能性があるので続報には注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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