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コラム
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2021/07/16

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年7月16日)

ダイジェスト

・7月15日発表の天然ガス在庫は各社予想48Bcf増に対して55Bcf増と在庫増加が予想を上回る弱気な内容だった。
・7月9日時点の天然ガス在庫量は2629Bcf(有効容量60.4%)と在庫増加は続いているが、全米の在庫量は平年(5年間の平均2764Bcf)に比べて189Bcf少なく、前年(3125Bcf)と比べると543Bcf少ない
・7月8日から7月14日までの期間の天然ガス供給量は98.1Bcf(前週比1.0Bcf増加)、天然ガス生産量は前週比で0.9Bcf増加した92.9Bcf、カナダからの輸入量は前週比で0.1Bcf増加した5.2Bcf
・7月8日から7月14日までの期間の天然ガス国内需要量は89.3Bcf(前週比1.4Bcf増加)
・国内需要の内訳は発電需要が前週比で1.2Bcf増加、住宅・商業用需要が前週比で0.2Bcf減少、工業用は前週比で0.3Bcf増加となった。アメリカ西海岸を中心とした気温上昇が続いており冷房用発電需要が増加
・LNG輸出用需要は10.8Bcfで前週から0.1Bcfの減少とほぼ横ばい。輸出基地のひとつキャメロンLNG輸出施設で前週12日にメンテナンスがあり輸出能力が一時的に減少したことで、LNG輸出量は71Bcfと前週から4Bcf減少した。
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は前週比で0.2Bcf増加した6.5Bcf
・アメリカでは太平洋岸北部から中西部を中心に暑さが続いている。1か月予報でも太平洋岸からアメリカ中西部にかけての地域では気温が平年より高くなる予報

週間天然ガス在庫総評

 7月15日にEIAが発表した7月9日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で55Bcfの増加となり2629Bcfとなった。7月15日の天然ガス相場は在庫の増加量が各社予想の48Bcf増加を上回る弱気な結果となったことから売られて日本時間23時半頃に安値を付けた。日本時間23時半から24時頃まで買い戻されたが上げは続かず売り直された。日本時間28時以降は取引終了時間まで横ばいとなり引けている。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較しているが、現在の在庫量は過去5年平均(図1黒線)を総量で189Bcf下回っている。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週はアメリカ東部や中西部、太平洋岸で在庫が増加、南部では在庫がほぼ横ばいとなっている。全米の在庫量は2629Bcfで平年(5年間の平均2764Bcf)に比べて189Bcf少なく、前年(3125Bcf)に比べて543Bcf少なくなっている。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の56.2%、有効容量(4261Bcf)の61.7%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は7月8日から7月14日の間の天然ガス供給量内訳となる。天然ガスの生産は前週から0.9Bcf増加した92.9Bcfとなった。メンテナンスの終了で生産量が回復している。一方でカナダからの輸入は5.2Bcfと前週から0.1Bcfの増加となった。結果、天然ガスの総供給量は前週比で1.0Bcf増加した98.1Bcfだった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は7月8日から7月14日の間の天然ガス需要量内訳となる。需要量全体は89.3Bcfと前週比で1.4Bcfの増加となった。
 アメリカの国内需要は65.7Bcfと前週から1.4Bcf増加となった。内訳は発電需要が前週から0.8Bcf増加した37.3Bcf、工業需要が前週から0.3Bcf増加した20.5Bcf、住宅・商業用需要が前週から0.2Bcf減少した7.9Bcfとなった。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週から0.2Bcf増加した6.5Bcfとなった。輸出基地のメンテナンスのため、LNG輸出は前週から0.1Bcf減少した10.8BcfとなりLNGの輸出量は81Bcfと前週から4Bcf減少した。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

6月9日時点6月16日時点6月23日時点6月30日時点7月7日時点
原油用365基373基372基376基378基
天然ガス用96基97基98基99基101基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。7月9日発表の最新レポート(7月7日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から2基増の378基、天然ガス採掘用リグ稼働数も2基増の101基だった。リグの総数479基となっている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。LNG輸出は高止まりとなっている、7月6日から10Bcfを下回らない状況が続いている。EIAによると7月8日から7月14日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは20隻でLNG輸出量は前週から4Bcf減少した71Bcfだった。前週7月12日にキャメロンLNG輸出施設の一部で定期メンテナンスがあり、施設の天然ガス輸出量(~1.9Bcf)がおよそ3割(~0.6Bcf)減少した影響で10.46Bcfまで輸出が減少した。13日にはメンテナンスが終了し輸出量は元の水準へ戻っている。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した10日後から14日後(7月23日から7月29日)の気温予報となる。太平洋岸北側からアメリカ中西部にかけて平年以上の気温となる一方で、メキシコ国境やアメリカ東部の北側で平年以下の気温となる見通し。図4は7月15日NOAA発表の最新の1か月予報でテキサス州で平年以下の気温となる他は全国的に平年以上の気温となる見通し。

まとめ

 7月15日に発表された7月9日時点の天然ガス在庫の増加幅は55Bcf増と各社の事前予想48Bcfを上回る弱気な結果だった。天然ガス相場は在庫発表後に安値を付けた。その後買い戻しの動きが入ったが24時以降になると売り直されて下落で引けている。
 7月8日以降14日までの天然ガス需要は89.3Bcfと前週の87.9Bcfと比べて1.2Bcfの増加となった。太平洋岸やアメリカ中西部を中心に再度気温が上昇したことが影響した。内訳では発電所向けの需要が前週比で1.2Bcf増加した37.3Bcf、住宅・商業用需要は前週比で0.2Bcf減少した7.9Bcf、工業用需要は前週比で0.3Bcf増加した20.5Bcfだった。また、LNGの輸出向け需要は1日平均10.8Bcfと前週より0.1Bcf減少し、LNGの総輸出量は71Bcfで前週の75Bcfから4Bcfの減少となった。これは7月12日にLNG輸出基地の一部でメンテナンスがあり約0.6Bcf輸出が減少したことが要因となっている。その後、13日には設備の再稼働で輸出量は元の水準へ回復している。一方で天然ガスの供給量は98.1Bcfと前週より1.0Bcfの増加となった。内訳は天然ガス生産が前週より0.9Bcf増加した92.9Bcf、カナダからの供給が0.1Bcf増加した5.2Bcfとなっている。
 来週はアメリカ南部の一部やアメリカ東部の一部で気温が平年より低下しているものの、太平洋岸からアメリカ中西部を中心に気温が上昇する予報となっている。気温上昇による冷房用需要増加やLNGの輸出が順調なことが支援材料となると考えられる。来週も引き続き、LNG輸出や天然ガスインフラのメンテナンスに関する情報、天気予報が相場を左右する状況が続。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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