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コラム
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2021/07/02

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年7月2日)

ダイジェスト

・7月1日発表の天然ガス在庫は各社予想67Bcf増に対して76Bcf増と在庫増加が予想を上回る弱気な内容だった。
・6月25日時点の天然ガス在庫量は2558Bcf(有効容量60.0%)と在庫増加は続いているが、全米の在庫量は平年(5年間の平均2701Bcf)に比べて143Bcf少なく、前年(3068Bcf)と比べると510Bcf少ない
・6月24日から7月1日の期間内の天然ガス供給量は97.7Bcf(前週比0.1Bcf減少)、天然ガス生産量は0.3Bcf減少、カナダからの輸入量は0.2Bcfの増加
・6月24日から7月1日の期間内の天然ガス国内需要量は90.9Bcf(前週比4.4Bcf増加)
・国内需要の内訳は発電需要が3.6Bcf増加、住宅・商業用需要が0.2Bcf増加、工業用は前週から横ばいとなった。アメリカ西海岸を中心とした気温上昇で冷房用の発電需要が増加
・LNG輸出用需要は11.1Bcfで前週から1.1Bcfの増加
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は6.5Bcfと0.5Bcfの減少
・アメリカでは太平洋側を中心に記録的な暑さが今週も続いている。今後気温が上昇する地域は広がると予想されている。1か月予報ではメキシコ湾岸周辺以外の地域では気温が平年より高くなる予報となっている

週間天然ガス在庫総評

 7月1日にEIAが発表した6月25日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で76Bcfの増加となり2558Bcfとなった。この日の天然ガス相場は在庫の増加量が各社予想の67Bcf増加を上回ったことから売られて日本時間24時頃に安値を付けたが、その後気温上昇による冷房用需要の増加期待や輸出の増加期待、アメリカ東部のパイプラインの停止で天然ガス供給が減少することを材料に買いに転じて25時頃にかけて値上がりした。上げは続かず取引終了時間まで横ばいとなり引けている。図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較しているが、現在の在庫量は過去5年平均(図1黒線)を総量で143Bcf下回っている。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週は気温が上昇した南部で在庫がやや減っている。全米の在庫量は2558Bcfで平年(5年間の平均)に比べて143Bcf少なく、前年比で510Bcf少なくなっている。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の54.5%、有効容量(4261Bcf)の60.0%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は6月24日から6月30日の間の天然ガス供給量内訳となる。天然ガスの生産は92.7Bcfと前週から0.3Bcfの減少、カナダからの輸入は4.9Bcfと前週から0.2Bcfの増加となった。天然ガスの総供給量は前週比で0.1Bcf減少した97.7Bcfだった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は6月24日から6月30日の間の天然ガス需要量内訳となる。需要量全体は90.9Bcfと前週比で4.4Bcfの増加となった。
 アメリカの国内需要は67.0Bcfと前週から3.8Bcfの増加となった。内訳は発電需要が前週から3.6Bcf増加した38.3Bcf、工業需要が20.3Bcfで前週から横ばい、住宅・商業用需要が前週比で0.2Bcf増加して8.4Bcfとなった。冷房用の電力需要の高まりで天然ガス需要が増加している。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出は前週から0.5Bcf減少した6.5Bcf、LNG輸出は前週から1.1Bcf増加した11.1Bcfとなり、LNGの輸出が10%以上増加した。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

5月25日時点6月2日時点6月9日時点6月16日時点6月23日時点
原油用356基359基365基373基372基
天然ガス用98基97基96基97基98基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。6月25日発表の最新レポート(6月23日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から1基減の372基、天然ガス採掘用リグ稼働数は1基増の98基だった。リグの総数470基となっている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。LNG輸出は増加傾向にあり、6月24日からは11Bcfを上回る日が多くなっている。EIAによると6月24日から6月30日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは21隻でLNG輸出量は前週から14Bcf増加した76Bcfとほぼ横ばいだった。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した10日後から14日後(7月9日から7月15日)の気温予報となる。アメリカ中西部から五大湖周辺、アメリカ東部にかけて平年以上の気温となる一方で、メキシコ湾岸では平年以下の気温となる見通しとなっている。図4は6月30日NOAA発表の最新の1か月予報でメキシコ湾沿岸で平年以下の気温となる他は全国的に平年以上の気温となる見通し。

まとめ

 7月1日に発表された6月25日時点の天然ガス在庫の増加幅は76Bcf増と各社の事前予想67Bcfを上回る弱気な結果だった。6月24日以降の天然ガス需要は90.9Bcfと前週の86.5Bcfと比べて4.4Bcfの増加となった。内訳では発電所向けの需要が前週比で3.6Bcf増加した38.3Bcf、住宅・商業用需要は前週比で0.2Bcf増加した8.4Bcfだった。LNGの輸出向け需要は1日平均11.1Bcfと前週より1.1Bcf増加した。輸出量は76Bcfと前週の62Bcfから14Bcfの増加となった。直近1週間のLNG輸出需要は6月22日以降は増加傾向となり平均で10Bcf台を超え、11Bcfを超える日も多くなっている。一方で、天然ガスの供給は97.7Bcfと前週より0.1Bcfの減少とほぼ横ばいだった。内訳は天然ガス生産が前週より0.3Bcf減少した92.7Bcf、カナダからの供給が0.2Bcf増加した4.9Bcfとなっている。
 7月1日の天然ガス相場は利益確定売りが出たことに加えて、天然ガス在庫が予想を上回ったことから在庫発表直後に安値を付けた。その後、アメリカの太平洋岸を中心に記録的な暑さが続くほか、広い範囲で気温が上昇した状態が続くとの予報となり、冷房用電力需要が増加するとの見方が広がったこと、LNG輸出量の増加、アメリカ東部のシェールガス田から天然ガスを供給するパイプラインの一部が停止したことなどを材料に買い戻されて下げ幅を削っている。来週も気温予報とLNGの輸出に関する情報が相場を左右する状況が続くと考えられる。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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