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コラム
column

2021/07/22

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年7月22日)

ダイジェスト

・原油在庫の増加を受けて原油相場は下落したものの、アメリカで好調な企業決算が相次ぎ景気回復への期待から原油は4ドルを超える大幅上昇となった。
・原油在庫は210万バレル増加
 原油生産量は日量1140万バレルで前週から横ばい
 輸出入では輸入量が709万バレル、輸出量が246万バレルで463万バレルの大幅な輸入超過
 製油所稼働率は0.4%低下し、原油処理量は8万バレルの減少
 Adjustmentによる在庫調整は今週も増加側で調整量は27万バレル
・ガソリン在庫は12万バレル減少
(生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少。ガソリン生産量が2週連続で大幅減少
 ガソリン生産量は72万バレル大幅減少、輸入量は27万バレル増加
 ガソリン出荷量は1万バレル増加、輸出量は12万バレル増加
・留出油在庫は134万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少。出荷量が大幅増加し在庫が減少
 留出油の生産量は2万バレル減少、輸入量は1万バレル増加
 留出油の出荷量は76万バレル大幅増加、輸出量は6万バレル減少
・原油と石油製品を合わせた在庫量は18億9660万バレルで前週より440万バレルの増加
・オクラホマ州クッシング在庫は134万バレル減少した3670万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率48.3%

EIA週間統計の総評

 21日にEIAの週間在庫統計が発表されたが、原油在庫は210万バレルの増加となった。製油所の稼働率は前週比で0.4%低下した91.4%となり、原油消費量は前週比8万バレル減少した1600万バレルとなった。石油製品ではガソリン在庫が12万バレルの微減、留出油在庫は134万バレルの減少、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は134万バレル減少した3670万バレルだった。
 原油生産は日量1140万バレルで横ばい。原油輸入量は前週比で87万バレル増加した日量709万バレル、輸出量は日量156万バレル減少した日量246万バレルで輸出入全体としては463万バレルの輸入超過となっている。戦略備蓄(SPR)の放出は今週も0だった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は18億9660万バレルと前週比で440万バレルの増加となった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は210万バレル増加した4億3970万バレル、ガソリン在庫は12万バレル減少した2億3640万バレル、留出油在庫は134万バレル減少した1億4100万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は134万バレル減少した3670万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)410減210増789減686増671減
ガソリン(万バレル)150減12減103増607減152増
留出油(万バレル)370増134減365増161増86減
クッシング在庫(万バレル)134減158減61減146減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫とガソリン在庫、留出油在庫全てで過去5年間の在庫レンジの中央値より少なくなっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は前週から横ばいの日量1140万バレルだった。原油輸入量は前週比で87万バレル増加した日量709万バレル、輸出量は前週比で156万バレル減少した246万バレルで463万バレルの輸入超過となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計ではAdjustmentとして先週から109万バレル減少した27万バレルが在庫を増加させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)114011401130111011221100
戦略備蓄増加(万バレル/日)00-16-20-151
原油輸入(万バレル/日)709622587640636556
原油輸出(万バレル/日)246402262371350254
Adjustment(万バレル/日)271364113588-76
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週は下表の全ての国からの輸入が増加している。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ361348+13
メキシコ7964+15
サウジアラビア3534+1
イラク4818+30
コロンビア1414+0
エクアドル179+8
ナイジェリア1918+1
ロシア307+23
ブラジル60+6
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から0.4%低下した91.4%となり、製油所への原油投入量は8万バレル減少した日量1600万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から72万バレル減少した日量913万バレル、ジェット燃料生産は前週から3万バレル減少した日量144万バレル、留出油生産は前週から2万バレル減少した日量490万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)160016091611162916121420
製油所稼働率(%)91.491.892.292.992.177.9
ガソリン生産(万バレル/日)  9139851055957978907
ガソリン輸入(万バレル/日) 1371041017910554
ジェット燃料生産(万バレル/日)14414713513514086
ジェット燃料輸入(万バレル/日)121113101224
留出油生産(万バレル/日)   490492496502495476
留出油輸入(万バレル/日)  871324135
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週比で1万バレルの微増で日量929万バレル、ジェット燃料の出荷量は15万バレル減少した日量140万バレル、留出油の出荷量は76万バレル増加した日量392万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)9299281004917944855
ガソリン輸出(万バレル/日)867484447247
ジェット燃料出荷(万バレル/日)140155137143144107
ジェット燃料輸出(万バレル/日)8136586
留出油出荷(万バレル/日)392316384417377322
留出油輸出(万バレル/日)125131102122120143
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から0.4%低下した91.4%となり、原油消費量は前週より8万バレル減少した日量1600万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で72万バレルと2週連続で大幅減少した913万バレル、輸入量は33万バレル増加した137万バレルとなった。ガソリンの出荷量は1万バレル増加した929万バレル、輸出量は12万バレル増加した86万バレルだった。ガソリンの生産量の減少と輸出量の増加でガソリン在庫は12万バレルと小幅な減少となった。
 次に留出油は生産量が2万バレル減少した490万バレル、輸入量は1万バレル増加した8万バレルだった。留出油の出荷量は76万バレル増加した392万バレル、輸出量は6万バレル減少した125万バレルとなった。出荷量の大幅増加で134万バレルの在庫減少となった。
 ジェット燃料生産量は前週から3万バレル減少した144万バレル、出荷量は15万バレル減少した140万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で128万バレル増加した2058万バレルとなった。原油在庫が210万バレル増加、ガソリン在庫が12万バレル減少、留出油の在庫が134万バレ減少となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で440万バレル増加した18億9660万バレルとなった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格はガソリンが約2セントの下落、ディーゼル燃料が約5セントの下落となった。原油価格は約2.80ドルの下落だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
7/167/97/26/25前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.2432.2612.2762.2171.197
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
2.1022.1522.1792.1451.224
原油
(ドル/バレル)
71.7674.5675.3774.2140.55
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格は約2セントの上昇、ディーゼル燃料の小売価格は約1セントの上昇だった。レギュラーガソリン価格は依然として1ガロン当たり3.100ドルを超えている。

小売価格7/19 7/12 7/5 6/28 前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.1533.1333.1223.0912.186
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.5923.5733.5593.5242.584
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.8393.8193.8063.7772.836
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.3443.3383.3313.3002.433
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は前週から横ばいの日量1140万バレルだった。需要面では製油所稼働率が前週から0.4%低下した91.4%で原油消費量は8万バレル減少した日量1600万バレルだった。夏の需要期で製油所の稼働率は90%超が続いている。原油輸入量は前週比で日量87万バレル増加した日量709万バレル、輸出量が156万バレル減少した日量246万バレルで原油輸入が増加、原油輸出が減少したことで日量463万バレルと大幅な輸入超過だった。原油輸入の増加と原油輸出の減少で原油在庫は210万バレルの在庫増加に転じた。
 ガソリンは生産量が72万バレルと2週連続の大幅減少となった。ガソリン出荷量は1万バレルの増加、ガソリン輸入は27万バレルの増加、ガソリン輸出は12万バレルの増加となったが、生産量の大幅減少で12万バレルの在庫減少となった。留出油は生産量が2万バレルの微減、輸入量が1万バレルの微増、輸出量は6万バレルの減少と小幅な変動となったが、出荷量が76万バレルの大幅増となったことで134万バレルの在庫減少に転じた。燃料価格はガソリン卸売価格が約2セントの下落、ディーゼル燃料卸売価格が約2セントの下落、小売価格はガソリンが2セントの上昇、ディーゼル燃料は約1セントの上昇となった。
 全ての石油製品の出荷量は日量128万バレル増加した2058万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は440万バレル増加した18億9660万バレルとなった。
 日曜日にOPECプラスは会合を開き増産の継続で合意した。2021年8月から日量40万バレルの増産を来年9月まで実施し減産幅を0とする他、協調期間を2022年4月から12月まで8か月延長することで合意した。またUAEが主張し焦点となっていた原油生産のベースラインの変更は2022年5月より実施される.UAE以外にサウジアラビア、ロシア、クウェート、イラクの5か国のベースラインが合計163万バレル上方修正され事実上の増産が行われる。増産の公式合意を受けて週明け月曜日の原油相場は5ドル以上急落した。このまま下落トレンドに入ると思われたが、水曜日には好調なアメリカ企業の第2四半期決算を受けてダウが急上昇したことを受けて原油も4ドル以上高騰し70ドル台を回復している。企業決算は8月上旬まで続き、今後も好調な企業決算が続けば、再び77ドルを目指して上昇する可能性があると考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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