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コラム
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2021/07/30

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年7月30日)

ダイジェスト

・7月29日発表の天然ガス在庫は各社予想41Bcf増に対して36Bcf増と在庫増加が予想を下回る強気な内容だった。
・7月23日時点の天然ガス在庫量は2714Bcf(有効容量の63.7%)と在庫増加が続いている。在庫量は平年(5年間の平均2882Bcf)に比べて168Bcf少なく、前年(3237Bcf)と比べると523Bcf少ない
・7月22日から7月28日までの期間の天然ガス供給量は98.3Bcf(前週比0.3Bcf増加)、天然ガス生産量は前週から0.3Bcf減少の92.6Bcf、カナダからの輸入量は前週比で0.6Bcf増加した5.6Bcf
・7月22日から7月28日までの期間の天然ガス国内需要量は92.6Bcf(前週比2.8Bcf増加)
・国内需要の内訳は発電需要が前週比で2.2Bcf増加、住宅・商業用需要が前週比で0.3Bcfの増加、工業用は前週比で0.2Bcf減少となった。アメリカ西海岸から中西部にかけて気温が上昇して冷房用の発電需要が増加した
・LNG輸出用需要は10.7Bcfで前週比で0.3Bcfの増加となった。タンカーによるLNG輸出量は前週から5Bcf減少した70Bcf。
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は前週比で横ばいの6.3Bcf
・アメリカでは南部やメキシコ湾岸で平年以下の気温となる以外は、全国的に平年以上となる暑さが続く見通しで、1か月予報でも太平洋岸からアメリカ中西部にかけての地域では気温が平年より高くなる予報

週間天然ガス在庫総評

 7月29日にEIAが発表した7月23日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で36Bcfの増加した2714Bcfとなった。7月29日の天然ガス相場は在庫の増加量が36Bcf増と各社予想の41Bcf増加を下回る強気な結果となったことや気温上昇による冷房用需要の増加見込みから買われて、一時4.093ドルまで上昇したが、取引終了時間まで利食い売りが入って上げ幅を削っている。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較しているが、現在の在庫量は過去5年平均(図1黒線)を総量で168Bcf下回っている。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週はアメリカ東部や中西部、南部の内陸部で在庫が増加したが、南部の海岸沿いや太平洋岸で在庫が減少となっている。全米の在庫量は2714Bcfで平年(5年間の平均2882Bcf)に比べて168Bcf少なく、前年(3237Bcf)に比べて523Bcf少なくなっている。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の57.8%、有効容量(4261Bcf)の63.7%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は7月22日から7月28日の間の天然ガス供給量の内訳となる。天然ガスの生産は前週から0.3Bcf少ない92.6Bcfだった。カナダからの輸入は前週から0.6Bcfの増加した5.6Bcfだった。結果、天然ガスの総供給量は前週比で0.3Bcf増加した98.3Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は7月22日から7月28日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量全体は92.6Bcfと前週比で2.8Bcfの増加となった。
 アメリカの国内需要は69.1Bcfと前週から2.4Bcfの増加で内訳は発電需要が前週から2.2Bcf増加した40.8Bcf、工業需要が前週から0.2Bcf減少した20.0Bcf、住宅・商業用需要が前週から0.4Bcf増加した8.3Bcfだった。アメリカ西海岸から中西部にかけての気温が上昇したことで冷房用の電力需要が増加した。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週から横ばいの6.3Bcfとなった。LNG輸出向け需要は前週から0.3Bcf増加した10.7Bcfとなったが、LNGの輸出量は70Bcfと前週から6Bcfの減少だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

6月23日時点6月30日時点7月7日時点7月14日時点7月21日時点
原油用372基376基378基380基387基
天然ガス用98基99基101基104基104基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。7月23日発表の最新レポート(7月20日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から7基増の387基、天然ガス採掘用リグ稼働数は横ばいの104基、リグの総数は491基となっている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。7月21日に10Bcfを割り込んだが、その後の天然ガス流量は10Bcf台後半を中心に推移している。EIAによると7月23日から7月29日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは19隻でLNG輸出量は前週から6Bcf減少した70Bcfだった。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した10日後から14日後(8月6日から8月12日)の気温予報となる。大西洋岸からメキシコ湾岸にかけての地域で平年以下の気温となる以外は全国的に平年以上の気温となる見込み。図4は7月15日NOAA発表の最新の1か月予報でテキサス州周辺で平年並みから平年以下の気温となる他は全国的に平年以上の気温となる見通し。

まとめ

 7月29日に発表された7月23日時点の天然ガス在庫の増加幅は36Bcf増となり各社の事前予想41Bcfを下回る強気な結果だった。天然ガス相場は在庫の増加が予想以上に少なかったことや気温の上昇で冷房用需要が伸びるとの見方から買われて、25時半頃に4.093ドルまで上昇したが引けにかけて利食い売り出て4.000ドル付近まで下落して引けている。
 7月22日以降28日までの天然ガス需要は92.6Bcfと前週の89.8Bcfと比べて2.8Bcfの増加となった。太平洋岸からアメリカ中西部にかけての地域を中心に気温が上昇したことで冷房の需要が高まり発電用の天然ガス需要が増加した。内訳では発電所向けの需要が前週比で2.2Bcf増加した40.8Bcf、住宅・商業用需要は前週から0.4Bcf増加した8.3Bcf、工業用需要は前週比で0.2Bcf減少した20.0Bcfだった。また、LNGの輸出向け需要は1日平均10.7Bcfと前週より0.3Bcf減少したが、LNGの総輸出量は70Bcfで前週の75Bcfから5Bcfの減少となった。一方で天然ガスの供給量は98.3Bcfと前週より0.3Bcfの増加となった。内訳は天然ガス生産が前週より0.3Bcf減少した92.6Bcf、カナダからの供給が0.6Bcf増加した5.6Bcfとなった。
 来週はアメリカ南部からメキシコ湾岸にかけて平年以下の気温となる以外は全国的に気温が上昇する予報となっている。気温上昇による冷房用需要増加が予想される他、LNGの輸出が順調なことが引き続き支援材料となると考えられる。来週もLNG輸出や天気予報に注意したい。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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