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コラム
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2021/08/16

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年8月16日)

ダイジェスト

・8月12日発表の天然ガス在庫は各社予想47Bcf増に対して49Bcf増と在庫増加が予想を上回るやや弱気な内容だった。
・8月6日時点の天然ガス在庫量は2776Bcf(有効容量の63.9%)となっている。在庫量は平年(5年間の平均2954Bcf)に比べて178Bcf少なく、前年(3324Bcf)と比べると548Bcf少ない状態
・8月5日から8月11日までの期間の天然ガス供給量は97.9Bcf(前週比0.3Bcf減少)、天然ガス生産量は前週から0.1Bcf減少した2.9Bcf、カナダからの輸入量は前週比で0.2Bcf減少した4.9Bcf
・8月5日から8月11日までの期間の天然ガス国内需要量は90.6Bcf(前週比1.1Bcf増加)
・国内需要の内訳は発電需要が前週比で1.2Bcf増加、住宅・商業用需要が前週比で0.5Bcfの増加、工業用は前週比で0.1Bcfの減少となった。気温が上昇して冷房用の発電需要が増加
・LNG輸出用需要は前週比で0.6Bcf減少した9.9Bcf。タンカーによるLNG輸出量は前週から横ばいの77Bcf。LNG輸出基地につながる天然ガスパイプラインのメンテンナンスが影響
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は前週比で0.1Bcf増加した6.2Bcf
・アメリカでは全国的に気温が上昇し冷房用需要が増加する見込み

週間天然ガス在庫総評

 8月12日にEIAが発表した8月6日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で49Bcf増加した2776Bcfとなった。8月12日の天然ガス相場は在庫の増加量が49Bcf増と各社予想の47Bcf増加を上回る弱気な結果となったことや気温低下による冷房用需要の減少見込みから売られて一時3.900ドルを割り込んだ。13日も下落が続き3.820ドル台まで下落している。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は2776Bcfで平年(5年間の平均2954Bcf、図1黒線)に比べて178Bcf少なく、前年(3324Bcf)に比べて548Bcf少なくなっている。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週はアメリカ南部や太平洋岸で在庫が減少となったが他の地域では在庫が増加している。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の59.2%、有効容量(4261Bcf)の65.1%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は8月5日から8月11日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。天然ガスの生産は前週から0.1Bc減少した92.9Bcfだった。カナダからの輸入は前週から0.2Bcf減少した5.1Bcfだった。結果、天然ガスの総供給量は前週比で0.3Bcf減少した97.9Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は8月5日から8月11日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量全体は90.6Bcfと前週比で1.1Bcfの増加となった。
 アメリカの国内需要は68.1Bcfと前週から1.6Bcfの増加だった。内訳は発電需要が前週から1.2Bcf増加した38.8Bcf、工業需要が前週から0.1Bcf減少した20.6Bcf、住宅・商業用需要が前週から0.5Bcf増加した8.7Bcfだった。アメリカ東部を中心に気温上昇となり冷房用の電力需要が増加した。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週から0.1Bcf増加した6.2Bcfとなった。LNG輸出向け需要は前週から0.6Bcf減少した9.9Bcfとなったが、LNGの輸出量は77Bcfと前週から横ばいだった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

7月13日時点7月20日時点7月27日時点8月3日時点8月10日時点
原油用380基387基385基387基397基
天然ガス用104基104基103基103基102基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。8月13日発表の最新レポート(8月10日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から10基増の397基、天然ガス採掘用リグ稼働数は1基減の102基、その他の1基を加えたリグの総数は500基となっている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。一昨日の8月4日に9Bcfを割り込んだ後、天然ガス流量は10Bcf台を回復して推移していた。8月9日に10Bcfを割り込んだが12日以降再び10Bcf台に戻っている。10日から11日にかけてはサビーンパス基地につながる天然ガスパイプラインがメンテナンスに入ったため流量と輸出量が減少したと報じられている。EIAによると8月5日から8月11日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは21隻でLNG輸出量は77Bcfと前週から横ばいだった。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した10日後から14日後(8月23日から8月29日)の気温予報となる。太平洋岸や大西洋岸、メキシコ湾岸など人口密集地を中心に全国的に平年以上の気温となる見込み。図4は7月31日NOAA発表の最新の1か月予報でテキサス州周辺で平年以下の気温となる他は全国的に平年以上の気温となる見通し。

まとめ

 8月12日に発表された8月6日時点の天然ガス在庫の増加幅は49Bcf増となり各社の事前予想47Bcfを上回る弱気な結果だった。12日の天然ガス相場はこの先の気温が低下し冷房用需要が減少するとの見方や在庫の増加が予想以上に多かったことで売られて3.900ドルを割り込んだ。翌13日も冷房用需要の伸び悩みの見方を材料に3.820ドルまで下落している。
 8月5日から8月11日までの天然ガス需要は90.6Bcfと前週の89.5Bcfと比べて1.1Bcfの増加となった。気温が上昇し冷房需要が伸び発電用の天然ガス需要が増加した。内訳では発電所向けの需要が前週比で1.2Bcf増加した38.8Bcf、住宅・商業用需要は前週から0.5Bcf増加した8.7Bcf、工業用需要は前週比で0.1Bcf減少した20.6Bcfだった。また、LNGの輸出向け需要は輸出基地につながるパイプラインがメンテナンスに入ったため減少した。1日平均9.9Bcfと前週より0.6Bcfの減少だった。LNGの総輸出量は77Bcfで前週から横ばいだった。一方で天然ガスの供給量は97.9Bcfと前週より0.3Bcfの減少となった。内訳は天然ガス生産が前週より0.1Bcf減少した92.9Bcf、カナダからの供給が0.2Bcf減少した4.9Bcfとなっている。
 来週以降はアメリカ東部や太平洋岸などの人口密集地を含む広い範囲で気温が上昇する予報となっている。気温上昇による冷房用需要増加が予想される他、LNGの輸出がメンテナンス終了によって回復すると考えられ支援材料となるだろう。来週もLNG輸出の状況や天気予報に注意したい。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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