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コラム
column

2021/08/18

穀物速報:EPAのバイオ燃料混合比率引き下げ勧告(つらつらコラム2021年8月25日)

ダイジェスト

・EPA(アメリカ環境保護庁)は2021年度の再生燃料基準(RFS)を引き下げるように勧告
・同勧告が採用されれば自動車用燃料に混合されるバイオ燃料の量が減り、原料となる大豆とコーンの消費量が減少する
・コーンの生産量の36.7%がバイオ燃料向けで、大豆も20.0%がバイオ燃料向けとなっており、バイオ燃料の生産量の削減の影響は大きい

EPAによる勧告と値動き

 8月20日にEPAは2021年のバイオ燃料の混合義務、再生燃料基準についてアメリカ政府に対して勧告を行った。新型コロナウイルスの流行によって半年遅れの勧告となった。EPAは新型コロナウイルスの流行によって燃料需要が減少しているために精製業者が混合するバイオ燃料の量を2020年度の生産量より減らすとしている。これを受けてバイオ燃料の原料となる大豆とコーンの消費が減量することが懸念され、豊作見通しと合わせて20日の大豆・コーン相場は大きく値を下げる要因となった。

アメリカのおけるバイオ燃料混合義務

 アメリカではガソリンとディーゼル燃料に再生燃料を一定以上の割合でブレンドする事が義務付けられている。この制度はアメリカの輸入原油への依存を減らす目的で導入され、自給可能な穀物から精製するバイオ燃料を混合することを義務付けている。併せて穀物の価格維持による農家の保護と温室効果ガスや大気汚染物質の削減による環境保護を目指した制度となっている。石油精製業者はRIN(再生可能識別番号)と呼ばれるクレジットを購入しバイオ燃料を混合する義務がある。ただし、バイオ燃料の混合が精製業者に経済的な損失を生むと証明できる場合は義務が免除される。例えば、零細精製業者の混合義務免除は頻繁に認められている。
 2021年度7月の実績では各種合計で16億9000万RINが生成された。この数字は前年同月の16億3000万RINを上回っている。再生燃料にはD3と呼ばれるセルロース系のRNG(圧縮再生可能天然ガス)、D4と呼ばれる従来型のバイオマスベースのディーゼル燃料(大豆油由来ディーゼル燃料)、D5と呼ばれるバイオガスなどの先進バイオ燃料、D6と呼ばれる従来型の再生可能燃料(コーン由来バイオエタノール)、D7と呼ばれるセルロース系ディーゼル燃料が含まれている。これらの内、現在の主力はD4のバイオディーゼル燃料とD6のエタノールで、D4は通常のディーゼル燃料に5%以上、D6はガソリンに10%以上混合されて販売される。

議会の動き

 原油を算出する南部選出のアメリカ議会の共和党上院議員16人はEPAへ書簡を送り、2021年と2022年にEPAが課すバイオ燃料の混合義務を緩和することを訴えている。一方で、西部の農業州選出の共和党議員はバイオ燃料の生産量低下につながるこの勧告に対して失望を示しており、共和党内部でも対立が見られる。

今後の見通し

 20日に勧告が発表されると大豆・コーンともに大幅下落となった。しかし、バイデン政権の反応がないことから、様子見の展開となっている。一方でUSDA(アメリカ農務省)は木曜日にバイオ燃料用タンクや燃料スタンド用ポンプなどのインフラ整備のために2600万ドルの助成金を出すと発表している。この助成金はバイオ燃料の使用の増加で農家を保護しつつ温室効果ガスの排出量を削減するにバイデン政権が行っている政策の1つで矛盾する政策が相次いで発表されることとなった。
 2020年実績でバイオエタノール向けコーンの消費量は52億ブッシェルで、コーンの全生産量141.82億ブッシェルの36.7%に当たる、膨大な量がバイオ燃料向けに消費されている。大豆は一旦大豆油に加工されてからバイオ燃料へ使用されるため計算がややこしいが推定してみよう。大豆の生産量は2020年実績で41.35億ブッシェルでそのうち21.55億ブッシェル(生産量全体の53%、5800万トン)が大豆油用に消費された。大豆の含油率(約20%)を考えると約1200万トンの大豆油が生産されている計算となる。一方で前年にバイオ燃料用に100億ポンド(453万トン)の大豆油が使用されたとUSDAが発表しており、結果、大豆の生産量の約20.0%がバイオ燃料に使われたと推計できる。以上のことからバイオ燃料の生産削減が大豆とコーンの消費に大きな影響を与えることが分かる。今後の続報に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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