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コラム
column

2021/08/05

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年8月5日)

ダイジェスト

・原油相場はアジア地域での新型コロナウイルスのデルタ株の流行で原油需要が減少するとの見方を材料に下落
・原油在庫は362万バレル増加
 原油生産量は日量1120万バレルで前週から横ばい
 輸出入では輸入量が643万バレル、輸出量が190万バレルで453万バレルの大幅な輸入超過
 製油所稼働率は0.2%上昇し、原油処理量は5万バレルの増加
 Adjustmentによる在庫調整は今週も増加側で調整量は71万バレル
・ガソリン在庫は529万バレル減少
(生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少。ガソリン生産量が増加したが、出荷量がより増加したため
 ガソリン生産量は38万バレル増加、輸入量は6万バレルの減少
 ガソリン出荷量は45万バレル増加、輸出量は9万バレル減少
・留出油在庫は83万バレル増加
 (生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が増加。生産量の増加と出荷量が大幅減少し在庫が増加
 留出油の生産量は14万バレル増加、輸入量は2万バレル減少
 留出油の出荷量は74万バレルの大幅減少、輸出量は29万バレル増加
・原油と石油製品を合わせた在庫量は18億8900万バレルで前週より120万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は54万バレル減少した3490万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率45.9%

EIA週間統計の総評

 日本時間4日23時半にEIAの週間在庫統計が発表された。原油在庫は362万バレルの増加。製油所の稼働率は前週比で0.2%上昇した91.3%となり、原油消費量は前週比で5万バレル増加した1592万バレルとなった。石油製品ではガソリン在庫が529万バレルの減少、留出油在庫は83万バレルの増加、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は54万バレル減少した3490万バレルだった。
 原油生産は日量1120万バレルで前週から横ばい、原油輸入量は前週比で7万バレル減少した日量643万バレル、輸出量は日量58万バレル減少した日量190万バレルで輸出入全体としては453万バレルの輸入超過となっている。戦略備蓄(SPR)の放出は今週も0だった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は18億8900万バレルと前週比で120万バレルの減少だった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は362万バレル増加した4億3920万バレル、ガソリン在庫は529万バレル減少した2億2890万バレル、留出油在庫は83万バレル増加した1億3870万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は54万バレル減少した3490万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)470減362増408減210増789減
ガソリン(万バレル)620減529減225減12減103増
留出油(万バレル)190減83増308減134減365増
クッシング在庫(万バレル)54減126減134減158減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫とガソリン在庫、留出油在庫全てで過去5年間の在庫レンジの中央値より在庫が少なくなっており、特にガソリン在庫は過去5年の在庫レンジより少なくなっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は日量1120万バレルで前週から横ばいだった。原油輸入量は前週比で7万バレル減少した日量643万バレル、輸出量は前週比で58万バレル減少した190万バレルで453万バレルの輸入超過となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計ではAdjustmentとして先週から64万バレル増加した71万バレルが在庫を増加させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)112011201140114011301100
戦略備蓄増加(万バレル/日)000000
原油輸入(万バレル/日)643650709622656600
原油輸出(万バレル/日)190248246402272281
Adjustment(万バレル/日)7172713660-60
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週はブラジルからの輸入が大きく増加した他、ナイジェリアからの輸入が増加している。一方でエクアドルやロシアからの輸入が減少している。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ322347-24
メキシコ6362+1
サウジアラビア3536-1
イラク814-6
コロンビア1414+0
エクアドル416-12
ナイジェリア215+16
ロシア2644-18
ブラジル6213+48
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から0.2%上昇した91.3%となり、製油所への原油投入量は5万バレル増加した日量1592万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から38万バレル増加した日量1015万バレル、ジェット燃料生産は前週から1万バレル微減した日量143万バレル、留出油生産は前週から14万バレル増加した日量487万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)159215871600160915971463
製油所稼働率(%)91.391.191.491.891.479.6
ガソリン生産(万バレル/日)  1015977913985973930
ガソリン輸入(万バレル/日) 849013710410465
ジェット燃料生産(万バレル/日)14314414414714585
ジェット燃料輸入(万バレル/日)52712111416
留出油生産(万バレル/日)   487473490492486490
留出油輸入(万バレル/日)  1618871213
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週比で45万バレル増加した日量977万バレル、ジェット燃料の出荷量は1万バレルの微減で日量164万バレル、留出油の出荷量は日量361万バレルと前週比74万バレルの大幅減少となった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)977932929928942861
ガソリン輸出(万バレル/日)627186747377
ジェット燃料出荷(万バレル/日)164165140155156101
ジェット燃料輸出(万バレル/日)10681395
留出油出荷(万バレル/日)361435392316376370
留出油輸出(万バレル/日)130101125131125133
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から0.2%上昇した91.3%となり、原油消費量は前週より5万バレル増加した日量1592万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で38万バレル増加した日量1015万バレル、輸入量は6万バレル減少した日量84万バレルだった。ガソリンの出荷量は前週比で45万バレル増加した日量977万バレル、輸出量は前週から9万バレル減少した日量62万バレルだった。ガソリンの生産量は増加したが、出荷量の増加と輸入量の減少でガソリン在庫は529万バレルの減少となった。
 次に留出油は生産量が前週から14万バレル増加した日量487万バレル、輸入量は前週比で2万バレル減少した日量16万バレルだった。留出油の出荷量は前週から74万バレルの大幅減少となる日量361万バレル、輸出量は29万バレル増加した日量130万バレルとなった。出荷量の急減で83万バレルの在庫増加となった。
 ジェット燃料生産量は前週から1万バレル微減した143万バレル、出荷量は前週比で1万バレル微減した164万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で4万バレル増加の日量2116万バレルとなった。原油在庫が362万バレル増加、ガソリン在庫が529万バレル減少、留出油の在庫が83万バレル増加となったが、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で120万バレル減少した18億8900万バレルとなった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格はガソリン、ディーゼル燃料共に約6セントの上昇となった。原油価格は約1.70ドルの上昇だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
7/307/237/167/9前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.3592.2922.2432.2611.147
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
2.1912.1332.1022.1521.215
原油
(ドル/バレル)
73.9372.2471.7674.5640.10
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格は約2から3セントの上昇、ディーゼル燃料の小売価格は約2セントの上昇。レギュラーガソリン価格は1ガロン当たり3.100ドルを超えた状態が続いている。

小売価格8/2 7/26 7/19 7/12 前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.1593.1363.1533.1332.176
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.6073.5843.5923.5732.587
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.8613.8293.8393.8192.834
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.3673.3423.3443.3382.424
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は日量1120万バレルと前日から横ばいだった。需要面では製油所稼働率が前週から0.2%上昇した91.3%となり原油消費量は5万バレル増加した日量1592万バレルだった。夏の需要期で製油所の稼働率は90%超が続いている。原油輸入量は前週比で日量7万バレル減少した日量643万バレル、輸出量が58万バレル増加した日量190万バレルで、日量453万バレルの輸入超過となっている。原油輸出の減少で原油在庫は362万バレルの在庫増加となった。
 ガソリンは生産量が38万バレルの増加、ガソリン出荷量は45万バレルの増加、ガソリン輸入量は6万バレルの減少、ガソリン輸出量は9万バレルの減少となった。生産量の大幅増加があったが出荷量がそれ以上に増加したため、529万バレルの在庫減少となった。留出油は生産量が14万バレルの増加、輸入量が2万バレルの減少、出荷量が74万バレルの大幅減少、輸出量は29万バレルの減少となった。出荷量の急減で83万バレルの在庫増加に転じている。燃料価格はガソリン卸売価格とディーゼル燃料卸売価格が約6セントの上昇、小売価格はガソリンが約2から3セントの上昇、ディーゼル燃料は約2セントの上昇となった。
 全ての石油製品の出荷量は日量4万バレル増加した2116万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は120万バレル減少した18億8900万バレルとなった。
 原油相場はアメリカ企業の決算が好調となっていることを材料に上昇を続けていた。しかし、8月に入り原油の最大の需要先であるアジア地域、特に中国で新型コロナウイルスのデルタ株の感染が急速に拡大していることから原油需要の先行き不透明感を材料に売られている。一時的な需要への打撃とみる向きもあるが、中国での新型コロナウイルスの感染状況に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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