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コラム
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2021/09/10

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年9月10日)

ダイジェスト

・9月9日発表の天然ガス在庫は各社予想41Bcf増に対して52Bcf増と在庫増加が予想を上回る弱気な内容だった。
・9月3日時点の天然ガス在庫量は2923Bcf(有効容量の68.6%)となっている。在庫量は平年(5年間の平均3158Bcf)に比べて235Bcf少なく、前年(3515Bcf)と比べると592Bcf少ない状態
・9月2日から9月8日までの期間の天然ガス供給量は95.5Bcfで前週比で1.1Bcf減少。天然ガス生産量は前週から0.5Bcf減少した91.0Bcf、カナダからの輸入量は前週から0.63Bcf減少した4.5Bcf
・9月2日から9月8日までの期間の天然ガス国内需要量は84.7Bcfで前週から6.7Bcf減少
・国内需要の内訳は発電需要が前週比で6.1Bcf減少、住宅・商業用需要が前週比で0.5Bcf減少、工業用需要は前週比で0.1Bcf増加だった
・LNG輸出用需要は前週比で0.4Bcf増加した10.9Bcf。タンカーによるLNG輸出量は前週から1Bcf増加した74Bcf
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は前週比で0.5Bcf減少した5.8Bcf
・ハリケーンアイダによる供給障害による生産量低下が継続

週間天然ガス在庫総評

 9月9日にEIAが発表した9月3日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で52Bcf増加した2923Bcfとなった。9月9日の天然ガス相場は在庫の増加量が52Bcf増と各社予想の41Bcf増加を上回る弱気な結果となったものの、高温による冷房用需要の増加見込みやハリケーンアイダからのガス田の被害復旧が遅れていることを材料に買われて一時5.030ドルまで上昇して引けている。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は2923Bcfで平年(5年間の平均3158Bcf、図1黒線)に比べて235Bcf少なく、前年(3515Bcf)に比べて592Bcf少なくなっている。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週はアメリカ東部や中西部で在庫が増加した一方で、南部での在庫減少幅が縮小した。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の62.2%、有効容量(4261Bcf)の68.6%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は9月2日から9月8日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。天然ガスの生産は前週から1.1Bcf減少した91.0Bcfだった。カナダからの輸入は前週から0.6Bcf減少した4.5Bcfとなった。結果、天然ガスの総供給量は前週比で1.1Bcf減少した95.5Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は9月2日から9月8日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は84.7Bcfと前週比で6.7Bcfの大幅減少となった。
 アメリカの国内需要は62.0Bcfと前週から6.4Bcfの減少となった。内訳は発電需要が前週から6.1Bcf減少した33.0Bcf、工業需要が前週から0.1Bcf増加した20.9Bcf、住宅・商業用需要が前週から0.5Bcf減少した8.1Bcfだった。気温の低下で冷房用需要が減少した。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週から0.5Bcf減少した5.8Bcfとなった。LNG輸出向け需要は前週から0.4Bcf増加した10.9Bcfとなり、LNGの輸出量は74Bcfと前週から1Bcfの増加だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

8月3日時点8月10日時点8月17日時点8月24日時点8月31日
原油用387基397基405基410基394基
天然ガス用103基102基97基97基102基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。9月3日発表の最新レポート(8月31日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から16基減の394基、天然ガス採掘用リグ稼働数は5基増加した102基、その他の1基を加えたリグの総数は497基となっている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。8月31日以降、連日流量は10.0Bcf超えが続いている。EIAによると9月3日から9月9日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは20隻でLNG輸出量は74Bcfと前週から1Bcfの増加だった。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した10日後から14日後(9月10日から9月16日)の気温予報となる。おおむね全国的に平年以上の気温となる見込み。図4は8月31日NOAA発表の最新の1か月予報で太平洋岸やフロリダ半島で平年以上の気温、メキシコ湾岸で平年以下の気温となる見込み。

まとめ

 9月9日に発表された9月3日時点の天然ガス在庫の増加幅は52Bcf増となり各社の事前予想41Bcfを上回る弱気な結果だった。9日の天然ガス相場は気温の上昇による冷房用需要の増加見通しやハリケーンアイダからのガス田の被害復旧が遅れていることを材料に買われて一時5.030ドルまで上昇した。
 9月2日から9月8日までの天然ガス需要は84.7Bcfと前週から6.7Bcfの大幅減少となった。国内向け需要は前週比で6.4Bcf減少した62.0Bcfだった。国内需要の内訳では発電所向けの需要が前週比で6.1Bcf減少した33.0Bcf、住宅・商業用需要は前週比で0.5Bcf減少した8.1Bcf、工業用需要は前週比で0.1Bcf増加した20.9Bcfだった。LNG基地向けの需要は前週から0.4Bcf増加した10.9Bcf、LNGの総輸出量は74Bcfで前週から1Bcfの増加となった。一方で天然ガスの供給量は95.5Bcfと前週より1.1Bcfの減少となった。内訳は天然ガス生産が前週より0.5Bcf減少した91.0Bcf、カナダからの供給は前週から0.6Bcf減少した4.5Bcfとなっている。
 来週以降はおおむねアメリカ全土で気温が上昇する予報となっており気温上昇による冷房用需要増加とLNG輸出の堅調さ、ハリケーンアイダ通過後の天然ガス生産の回復が遅れていることが引き続き支援材料となると考えられる。一方で生産回復が進めば天然ガス相場の下落に転じる可能性がある。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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