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コラム
column

2021/09/23

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年9月23日)

ダイジェスト

・22日の原油相場は中国恒大に端を発する中国の信用不安問題の後退で株価が上昇したことを材料に買われた。
・原油在庫348万バレル減少
 原油生産量は日量1060万バレルで前週から50万バレルの増加
 輸出入では輸入量が646万バレル、輸出量が280万バレルで366万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は5.4%上昇し、原油処理量は96万バレルの増加
 Adjustmentによる在庫調整は今週も増加側で調整量は42万バレル
・ガソリン在庫は347万バレル増加
(生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が増加。生産量と輸入量の増加で在庫が増加
 ガソリン生産量は37万バレル増加、輸入量は45万バレル増加
 ガソリン出荷量は横ばい、輸出量は1万バレル減少
・留出油在庫は255万バレル減
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少。出荷量の増加で在庫減少幅が増加
 留出油の生産量は30万バレル増加、輸入量は2万バレル増加
 留出油の出荷量は63万バレル増加、輸出量は19万バレル減少
・原油と石油製品を合わせた在庫量は18億4160万バレルで前週より380万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は147万バレル減少した3380万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率44.5%

EIA週間統計の総評

 日本時間9月22日23時半にEIAの週間在庫統計が発表された。原油在庫は348万バレルの減少。製油所の稼働率は前週比で5.4%上昇した87.5%となり、原油消費量は前週比で96万バレル増加した1534万バレルとなった。石油製品ではガソリン在庫が347万バレル増加、留出油在庫は255万バレルの減少、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は147万バレル減少した3380万バレルだった。
 原油生産は前週比で50万バレル増加した日量1060万バレル、原油輸入量は前週比で70万バレル減少した日量646万バレル、輸出量は日量18万バレル増加した日量280万バレルで輸出入全体としては366万バレルの輸入超過となっている。メキシコ湾岸の原油の供給不足に対応するため戦略備蓄(SPR)が17万バレル放出されている。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は18億4160万バレルと前週比で380万バレルの減少だった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は348万バレル減少した4億1400万バレル、ガソリン在庫は347万バレル増加した2億2160万バレル、留出油在庫は255万バレル減少した1億万2930バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は147万バレル減少した3380万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)610減348減642減152減716減
ガソリン(万バレル)40減347増185減721減129増
留出油(万バレル)270減255減168減314減173減
クッシング在庫(万バレル)147減110減194増83増
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫とガソリン在庫、留出油在庫全てで過去5年間の在庫レンジの中央値より在庫が少なくなっており、特に留出油在庫は過去5年の在庫レンジより少なくなっている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は日量1060万バレル。前週から50万バレルの増加となった。原油輸入量は前週比で70万バレル増加した日量646万バレル、輸出量は前週比で18万バレル増加した280万バレルで314万バレルの輸入超過となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計のAdjustmentは先週から26万バレル増加した42万バレルが在庫を増加させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)106010101000115010551070
戦略備蓄増加(万バレル/日)-17-700-60
原油輸入(万バレル/日)646576581634609516
原油輸出(万バレル/日)280262234304270302
Adjustment(万バレル/日)421561113217
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週はカナダ、ロシア、エクアドルからの輸入が減少している。一方で、メキシコ、コロンビア、ブラジルからの輸入が増加した。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ314320-6
メキシコ8353+30
サウジアラビア3936+3
イラク45-1
コロンビア210+21
エクアドル1017-7
ナイジェリア98+1
ロシア1325-12
ブラジル4421+23
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から5.4%上昇した87.5%となり、製油所への原油投入量は前週比で96万バレル増加した日量1534万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から37万バレル増加した日量964万バレル、ジェット燃料生産は前週から12万バレルの増加となる日量138万バレル、留出油生産は前週から30万バレル増加した日量445万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)153414381430159314991337
製油所稼働率(%)87.582.181.991.385.774.8
ガソリン生産(万バレル/日)  9649271012988973931
ガソリン輸入(万バレル/日) 10863891139347
ジェット燃料生産(万バレル/日)13812613314013478
ジェット燃料輸入(万バレル/日)212523232319
留出油生産(万バレル/日)   445415418481440431
留出油輸入(万バレル/日)  181614362113
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週からほぼ横ばいの日量889万バレル、ジェット燃料の出荷量は前週から11万バレル増加した日量148万バレル、留出油の出荷量は前週から63万バレル増加した日量442万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)889889960957924851
ガソリン輸出(万バレル/日)626373466174
ジェット燃料出荷(万バレル/日)14813716217915793
ジェット燃料輸出(万バレル/日)865685
留出油出荷(万バレル/日)442379368439407395
留出油輸出(万バレル/日)577610910386112
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から5.4%上昇した87.5%となり、原油消費量は前週より96万バレル増加した日量1534万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で37万バレル増加した日量964万バレル、輸入量は45万バレル増加した日量108万バレルだった。ガソリンの出荷量は前週から横ばいの日量889万バレル、輸出量は前週から1万バレル減少した日量62万バレルだった。ガソリンの生産量と輸入量の増加による供給量の増加によりガソリン在庫は347万バレルの増加だった。
 次に留出油は生産量が前週から30万バレル増加した日量445万バレル、輸入量は前週から2万バレル増加した日量18万バレルだった。留出油の出荷量は前週から63万バレル増加した日量442万バレル、輸出量は19万バレル減少した日量57万バレルとなった。生産量が増加したものの出荷量がより増加したため255万バレルの在庫減少と前週より減少幅が拡大した。
 ジェット燃料生産量は前週から12万バレル増加した138万バレル、出荷量は前週比で11万バレル増加した148万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で123万バレル増加した日量2114万バレルとなった。原油在庫が348万バレル減少、ガソリン在庫が347万バレル増加、留出油在庫が255万バレルの減少となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で380万バレル減少した18億4160万バレルとなった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格はガソリンが約1セントの下落、ディーゼル燃料は約6セントの上昇となった。原油価格は約2.3ドルの上昇だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
9/179/109/38/27前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.2902.3072.3392.2851.288
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
2.2082.1402.1572.1071.171
原油
(ドル/バレル)
72.0969.8269.3468.8441.09
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格は約2セントの上昇、ディーゼル燃料の小売価格は1セントの上昇だった。レギュラーガソリン価格は1ガロン当たり3.100ドルを超えた状態がいまだ続いている。

小売価格9/20 9/13 9/68/30 前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.1843.1653.1763.1392.168
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.6323.6183.6283.5992.582
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.8833.8683.8793.8532.836
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.3853.3723.3733.3392.404
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は日量1060万バレルと前週から50万バレルの増加。需要面では製油所稼働率が前週から5.4%上昇した87.5%となり原油消費量は96万バレル増加した日量1534万バレルだった。ハリケーンエイダの影響で閉鎖されていたメキシコ湾岸の油田や製油所の復旧が進み、産油量や製油所稼働率、原油消費量が増加した。原油輸入量は前週比で日量70万バレル増加した日量646万バレル、輸出量が18万バレル増加した日量280万バレルで、日量366万バレルの輸入超過となっている。原油生産と輸入の増加で原油在庫の減少幅が縮小し348万バレルの在庫減少となった。
 ガソリンは生産量が37万バレルの増加、ガソリン輸入量は45万バレルの大幅増加、ガソリン出荷量は横ばい、ガソリン輸出量は1万バレルの減少となった。生産量と輸入量の増加が大きく347万バレルの在庫増加となった。留出油は生産量が30万バレルの増加、輸入量が2万バレルの増加、出荷量が63万バレルの大幅増加、輸出量は19万バレルの減少となった。留出油の生産量が増加したが、出荷量の増加で255万バレルの在庫減少と前週より減少幅が拡大したなった。燃料価格はガソリン卸売価格が約1セント下落、ディーゼル燃料卸売価格は約1セントの上昇だった。一方、小売価格はガソリンが約2セント、ディーゼル燃料は約1セントの上昇だった。
 全ての石油製品の出荷量は日量123万バレル増加した2114万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は380万バレル減少した18億4160万バレルとなった。
 原油相場は中国恒大に端を発した中国の信用不安問題を材料にした株価の大幅下落につれ安となり下落したが、水曜日に信用不安の見方か後退すると上昇に転じている。FOMC後の記者会見で緩和政策の継続が示されたことも支援材料となっている。ただし、今日23日の中国恒大の利払い問題は解決したわけではなく、信用不安が再度蒸し返される可能性が高いと考えられるので、追加情報に注目していきたい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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