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コラム
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2021/09/24

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年9月24日)

ダイジェスト

・9月23日発表の天然ガス在庫は各社予想75Bcf増に対して76Bcf増と在庫増加が予想を上回る弱気な内容だったが大きな影響はなく、生産量の伸び悩みと需要増を材料に上昇
・9月17日時点の天然ガス在庫量は3082Bcf(有効容量の72.3%)となっている。在庫量は平年(5年間の平均3311Bcf)に比べて229Bcf少なく、前年(3671Bcf)と比べると589Bcf少ない状態
・9月16日から9月22日までの期間の天然ガス供給量は97.4Bcfで前週比で0.2Bcf増加。天然ガス生産量は前週から0.2Bcf増加した92.5Bcf、カナダからの輸入量は4.9Bcfで横ばい
・9月16日から9月22日までの期間の天然ガス国内需要量は84.8Bcfで前週から0.8Bcfの減少
・国内需要の内訳は発電需要が前週比1.1Bcf減少、住宅・商業用需要が前週比で0.4Bcf増加、工業用需要は前週比で0.2Bcf増加だった
・LNG輸出用需要は前週比で0.6Bcf減少した9.8Bcf。熱帯低気圧ニコラスによるFree Port輸出基地の停電やCove Point輸出基地ののメンテナンスが原因。タンカーによるLNG輸出量は前週から20Bcf増加した76Bcf
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は前週比で0.2Bcf減少した5.7Bcf
・ハリケーンアイダの被害による生産回復進んでいるが一部で生産停止が継続

週間天然ガス在庫総評

 9月23日にEIAが発表した9月17日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で76Bcf増加した3082Bcfとなった。9月23日の天然ガス相場は在庫の増加量が76Bcf増と各社予想の75Bcf増加を若干上回る弱気な結果となったものの大きな影響はなく、来週以降の需要増加と生産量伸び悩みを材料に上昇した。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は3082Bcfで平年(5年間の平均3311Bcf、図1黒線)に比べて229Bcf少なく、前年(3671Bcf)に比べて589Bcf少なくなっている。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週は太平洋岸を除くすべての地域で在庫が増加した。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の65.7%、有効容量(4261Bcf)の72.3%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は9月16日から9月22日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。天然ガスの生産は前週から0.2Bcf増加した92.5Bcfだった。カナダからの輸入は4.9Bcfで横ばいとなった。結果、天然ガスの総供給量は前週比で0.2Bcf増加した97.4Bcfとなった。ハリケーンアイダから受けた供給面のダメージはかなり復旧したものの、EIA調べによれば.34Bcf分、BSEE(安全環境執行局)調べでは0.50Bcfの生産が止まっている。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は9月16日から9月22日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は84.8Bcfと前週比で0.8Bcfの減少となった。
 アメリカの国内需要は63.1Bcfと前週から0.5Bcfの減少となった。内訳は発電需要が前週から1.1Bcf減少した33.0Bcf、工業需要が前週から0.2Bcf増加した21.2Bcf、住宅・商業用需要が前週から0.4Bcf増加した8.8Bcfだった。気温が再度低下し冷房用需要が減少した。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週から0.2Bcf増加した5.7Bcfとなった。LNG輸出向け需要は前週から0.6Bcf減少した9.8Bcfとなり、LNGの輸出量は76Bcfと前週から20Bcfの増加だった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

8月17日時点8月24日時点8月31日時点9月7日時点9月14日時点
原油用405基410基394基401基411基
天然ガス用97基97基102基101基100基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。9月17日発表の最新レポート(9月4日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から10基増の411基、天然ガス採掘用リグ稼働数は1基減の100基、その他の1基を加えたリグの総数は前週比9基増の512基となっている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。9月14日以降はLNG輸出基地へ天然ガスを供給しているパイプラインのメンテナンスや熱帯低気圧ニコラスによるFree Port輸出基地の停電により輸出量が約9Bcfまで減少した。次第に復旧し18、19日は10Bcfを超えた。20日にはCove Point基地のメンテナンスにより再度10Bcfを割り込んだ。停電の影響からFree Port基地が完全に復旧した22日以降は再度10Bcfを超えている。EIAによると9月17日から9月23日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは16隻でLNG輸出量は76Bcfと前週から20Bcfの増加だった。現在Cave Point基地が20日からメンテナンスに入っている。例年通りならメンテナンスは約3週間の日程で行われる。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した10日後から14日後(10月1日から10月7日)の気温予報となる。フロリダ半島やアメリカ北西部の一部を除きおおむね全国的に平年以上の気温となる見込み。図4は9月16日NOAA発表の最新の1か月予報でこちらはメキシコ湾岸や北西部を除いて平年以上の気温となる予報となっている。

まとめ

 9月23日に発表された9月17日時点の天然ガス在庫の増加幅は76Bcf増となり各社の事前予想75Bcfをやや上回る弱気な結果だったが、23日の天然ガス相場に大きな影響はなく、相場は気温の上昇や輸出増加による需要増や天然ガス生産の低迷を材料に上昇した。
 9月16日から9月22日までの天然ガス需要は84.8Bcfと前週から0.8Bcfの減少となった。国内向け需要は前週比で0.4Bcf増加した63.1Bcfだった。国内需要の内訳では発電所向けの需要が前週比で1.1Bcf減少した33.0Bcf、住宅・商業用需要は前週比で0.4Bcf増加した8.8Bcf、工業用需要は前週比で0.2Bcf増加した21.2Bcfだった。LNG基地向けの需要は前週から0.6Bcf減少した9.8Bcf、LNGの総輸出量は76Bcfで前週から20Bcfの増加となった。一方で天然ガスの供給量は97.4Bcfと前週より0.2Bcfの微増となった。内訳は天然ガス生産が前週より1.2Bcf増加した92.5Bcf、カナダからの供給は前週から4.9Bcfで横ばいとなっている。
 来週以降は気温上昇が上昇する事から冷房用需要は増加、LNG輸出量も増加する見込み。加えてハリケーンアイダ通過後の天然ガス生産の回復が完全に回復していないことが引き続き支援材料となると考えられる。天気予報や生産回復に関する続報に注意したい。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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