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コラム
column

2021/09/27

エネルギー分析:この冬の天然ガスの価格見通し(つらつらコラム2021年9月27日)


ダイジェスト

・アメリカでは供給不足で高価格が続く、今冬は寒さは強まらない予報となっているが、LNG輸出は好調で、大きく値下がりするとは考えにくい
・欧州でも供給不足となっているが、ロシアからの新パイプラインが開通しており供給が始まれば価格が下がる可能性

概要

 天然ガスの上昇が続いている。9月24日の天然ガス相場は1mmBtu当たり5.24ドル、今日は朝から上昇しており5.35ドルまで上昇している。冬を間近にしていることに加えて世界の天然ガスの供給量が世界的な天候不順によりここ最近で最も減少しており天然ガスの上昇要因となっている。

アメリカの状況

 アメリカでは直近1か月の天然ガス価格が17%以上上昇しており、2014年の厳冬以来の価格を付けている。特に異常な点は夏が終わって在庫の増加が始まり、価格が最も低くなるこの季節に高値付けている点となっている。2021年の冬がどうなるか注目されており、暖冬とならなければ、今後暖房需要増と在庫の減少に伴う価格上昇で記録的な高値となることが懸念されている。
 供給面では新型コロナウイルス流行により2020年に打撃を受けた天然ガス生産が回復しきっていない点があげられる。加えて、今年2月の大寒波による冷え込みで、暖房用需要が大幅に増えただけでなくテキサス州のシェールガス産地が打撃を受けたこと、初夏以降の高温で冷房用需要が増えたこと、8月末にハリケーンがメキシコ湾を直撃し一時メキシコ湾岸の生産施設がすべて止まったことなどの影響により天然ガスの在庫が過去5年間で最低レベルとなっていることが天然ガスの高値に拍車をかけている。また世界中で天然ガス需要が高まる中、欧州では1mmBtu当たり24ドル、アジアでは27ドルとアメリカ国内の5ドルに比べて価格差が大きく、LNG化のコストをかけても世界中から引き合いが止まらない状況が今後も続くと予想される。

図1 3か月予報(出展元 NOAA)

 図1は12月から来年2月までの気温予報となっている。今年の冬は厳冬にはならないと予想されており、気温面から需要が大幅に増えるとは考えにくい。ただし前述の通りLNG輸出は好調であり、冬が終わるまで天然ガス価格が大きく値下がりするとは考えにくい。

欧州やアジアの状況

 欧州では天然ガスの供給不足で価格が上昇している他、在庫が過去最低水準となっている。冬を前にして在庫水準は72%程度となっており、過去10年平均の94%、昨年と比較して85%と低水準になっている。冬の始まる10月1日の時点での欧州の天然ガス在庫は78%程度と予想されており、こちらも例年・前年と比べて在庫が非常に少なくなっている。一方で価格は記録的な高値となっており、今後天然ガスの在庫が減少しやすい冬となること応じて更に値上がりすることが予想されている。欧州の天然ガスの値上がり要因は今年は在庫が積み上げるべき夏の間にロシアからの供給途絶とアジア、欧州を中心に世界的にLNGの需要が高まっていることがあげられる。

欧州の今後の見通し
 

図2 ノルドストリーム他のパイプライン(出展元 AFP)

 欧州への天然ガス供給源であるロシアから欧州の間には複数のパイプラインが開通している。従来、欧州にはウクライナとベラルーシを経由して輸送されていたが、ガスの料金踏み倒しや不正な抜き取りをめぐってロシアとウクライナの間の対立が高まっていた。図2に示すノルドストリーム2はウクライナを経由せず、バルト海の海底を通ってロシアとドイツの間に敷設されている。パイプラインの工事は今月9月6日に完了しており、年内にも供給が始まる見通しとなっている。本格稼働すれば約550億立法メートルのガスを供給することが可能で天然ガス価格に大きな値下げ圧力となるが、人権問題等でEUとロシアの間の緊張が高まっており、予想通り開通するかは不透明となっている。仮に稼働しない場合はアメリカも含めて更なる高値が予想されるので続報に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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