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コラム
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2021/09/06

エネルギー速報:欧州と米国における今年の冬の天然ガス在庫の現状と見通し(つらつらコラム2021年9月6日)


ダイジェスト

・欧州では十分な天然ガスが備蓄されているとはいえず、今年の冬が前年同様の厳しさとなった場合には供給がひっ迫し価格が高騰する可能性
・アメリカでは国内需要は満たされているが、平年と比べて約5%以上在庫が少なく、天候次第では需給がひっ迫する可能性あり
・要因としては新型コロナウイルスのワクチン接種の進展で世界の天然ガス需要が伸びていることに加えて、自然災害、インフラや投資の問題など中長期を含んだ様々な要因で供給が減少しており需給がひっ迫状態

概要

 欧州や米国の天然ガス在庫が平均を大幅に下回っている。このまま不足が続き冬の寒さが厳しくなった場合、天然ガスの価格が高騰する可能性があると指摘されている。夏の在庫増加シーズンも終わりに近いので状況を確認しておきたい。

欧州の天然ガス在庫

図1 欧州の天然ガス在庫量の推移 (出展元 AGSI+)
黒:在庫容量、水色:在庫量、オレンジ:注入量上限、黄緑:注入量、赤紫:在庫引き出し量上限、青:在庫引出量

 図1は欧州連合の加盟国内の天然ガスの在庫総量を示しており、前年2020年と比較して大幅に少ないことが分かる。欧州連合が備蓄可能な天然ガスは1170億立方メートル(117Bcm)で、前年度の9月には在庫量はほぼ満タンの状態だった。ところが現在の在庫量はおおよそ60%に当たる70Bcm強にとどまっており、およそ30Bcm以上前年より在庫が少なくなっている。前年は厳冬であり、おおよそ70Bcmの消費があったことから、今年の冬の始まりとなる10月1日までに最低限の80Bcmを確保することが急務になっている。しかしながら、前年度に比べて現時点での世界の天然ガス供給はひっ迫している。前年度は新型コロナウイルスの流行が広がったことで消費量が急減し、天然ガス価格はオランダのTTFハブでの1mmBTU(≒Bcf)当たり価格で3ドル台まで下落していた。今年は供給のひっ迫を材料に15ドルまで上昇している。

欧州での天然ガス供給のひっ迫要因と今後の見通し

 欧州は域内を含めて世界各地から天然ガスを調達しているが、今年の天然ガス供給のひっ迫要因には以下のような複数の要因があげられている。

・ブラジルやアルゼンチンでは干ばつで水力発電の発電量が低下しておりLNGの需要が増加
・オーストラリアやノルウェーのガス田のメンテナンス
・トリニダード・トバコやナイジェリアで投資不足による天然ガスの生産減少
・ロシアの西シベリアガス田施設の火災による天然ガスの供給減少
・ドイツとロシアの間のノルドストリーム2パイプラインの開通を見越した売り惜しみ

自然災害や停電によるインフラ故障などのこれらの要因により世界の天然ガス供給の約5%が減少したと報じられている。一方で、短期的には新型コロナウイルスのワクチン接種が進み消費が回復へ向かっていること、中長期的には気候変動問題に対応するため、CO2排出の少ない天然ガスの需要が増加する見通しとなっていることも支援材料となっている。解決の見通しは立っておらず、天候を天秤にかけながら需給は綱渡りが続くと考えられる。

米国の天然ガス在庫と今後の見通し

図2 米国の天然ガス在庫(出展元 EIA)

 米国では自国産の天然ガスが国内需要を満たしているため大きな影響はまだ出ていないが、図2のように好調なLNG輸出などにより前年と比べて在庫の増加ペースが鈍化しており、現在の在庫量は2871Bcfと前年に比べて579Bcf(16.8%)少なく、平年と比べても222Bcf(7.2%)少ない状態となっている。リグ数の増加により天然ガス生産は微増しているが、今後も好調なLNG輸出が期待されることからアメリカでも平年より在庫の少ない冬を迎える可能性が極めて高くなっている。今年の冬が例年より厳しくなるような予報が出る場合、相場を大きく押し上げる可能性があるので長期天気予報と在庫の動向に注目していきたい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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