先の見えないコロナウイルスショック(つらつらコラム3月13日)

 

コロナウイルスによるショックの始まり
図1 ダウ先物日足 2月14日から3月13日(出展元 サクソバンク証券株式会社)

新型コロナウイルスが中国で猛威を振るう中でも、中国国内の感染者増加のペースが落ちたため、ダウの先物は2月13日(図1左端)に終値ベースの最高値29548ドルを付けて3万ドルを目前にしていた。ところが、2月22日、23日に韓国やイタリア、イランで一気に感染が広がったことで、2月24日の取引で約800ドル下落したのを皮切りに、1週間で3000ドル以上下落した。3月2日以降の1週間は一旦下げ止まったが、3月9日には当時史上最大の下げ幅となり、サーキットブレーカーが初めて作動する事態となった。昨日アメリカ政府が、欧州連合からアメリカへの入国を停止したことで、再びサーキットブレーカーが作動する事態となり、2400ドル以上の下落となった。結局3週間後の昨日までに実に8000ドル以上下落して、20650ドルで今日の取引を開始している。
景気対策として、3月4日にFRBが緊急利下げを行い、3月12日にアメリカ政府による景気対策が発表されて、一旦株価は持ち直すかに見えたが効果は一時的なものにとどまっている。

コロナウイルスの感染者の急増(パンデミック)
図2 新型コロナウイルスの感染者 
オレンジ:中国本土感染者、黄色:それ以外の感染者、緑:回復者 
(出展元 ジョンズ・ホプキンス大学)

図2は新型コロナウイルスの感染者数を示している。2月22日の時点では、1400人余りと1000人台で推移していたが、24日に2000人を突破すると、3月1日で8500人、昨日の時点で4万7千人と急速に増加している。この間に韓国と、イランを中心とした中東、ヨーロッパではイタリアから感染者が広まった他、アメリカ東海岸のニューヨーク州、西海岸のカルフォルニア州と両側から感染者が発見され両州は非常事態宣言を行った。3月11日にはWHOが世界的なパンデミックを宣言している。一方の中国では感染者の増加は2月の中旬以降、当局の対策が功を奏したか頭打ちとなった。

今後の見通し

新型コロナウイルスの流行は依然として拡大を見せており、アメリカでは全国的な非常事態宣言が検討されている。アメリカでの感染者は昨日時点で1663人(死者40人)であるが、今後どれだけ感染者が増えるか想像もつかない。今年の冬にアメリカで大流行していたインフルエンザを例に挙げると、感染者は2月22日時点で2600万人、死者1万8千人に上った。ただし、インフルエンザの死亡率は0.1%でコロナウイルスの数十分の1程度に過ぎない。次にアメリカのシンクタンクが最悪のケースを7通り想定して発表した報告書を紹介する。報告書における推計死者数は以下のとおり。

*いずれのシナリオも新型コロナウイルスの感染力がインフルエンザ並みに高く、各国政府の対応が適切にできなかったケースに基づいていることに注意したい。

同様に、世界のGDPは、最善のシナリオでも全世界で2.3兆ドル、最悪のシナリオでは9.2兆ドルが失われるとしている。国別の損失は以下の通り。

まとめ

今後、アメリカでは感染が広がると思われるが、まだ始まりの終わりという状況であり、流行の収束時期が見えない中で、どこまで市場に影響が出るかは不透明な状況が続く。中国を中心として製造業が工場閉鎖によってダメージを受け、移動の制限によって物流も崩壊しかかっており、不況の可能性が高まっている。一方で、各国の中央銀行による金融緩和や生産・物流の停滞を受けて消費者物価は上昇が見られる。中国のCPIを例に挙げれば、コロナウイルスが流行し始めた2020年1月は5.4%、2月は5.2%で、2019年11月、12月の4.5%を上回っている。また、買いだめなど一時的な消費の拡大で、食品や流通株が上昇していると思われるが、このまま生産や物流が回復しないまま物価上昇が続けば、世界経済はスタグフレーションへ突入し、長期の不況となる可能性もあると考えている。

最後に株価の下げを過去の事例から推測してみる。過去のパンデミックによる株価下落の例は1918年から19年にかけてのスペイン風邪しかない。この時は当時の株価に約3割の下落をもたらしていて、今回も同様の割合いで下落すると仮定ができる。この下げ幅は「3割高下に向かえ」という相場の格言にも一致する。この仮定に基づけば、ダウ平均株価は2万0000ドルまで下落し、その後は材料の出尽くしから、2万0000ドルを底値として反転をシナリオの1つとして考えている。反転のカギとなるのは物流の回復だと考えている。別なシナリオとして、仮に死者が50万を上回るような場合には、2万0000ドル付近から更に下落して1万ドル台前半となる可能性もあると考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。