原油価格と天然ガス生産の見通し(つらつらコラム3月16日)

原油価格の下落と天然ガス価格の上昇

新型コロナウイルスの感染拡大による需要減退見通しを発端として原油価格が下落している。3月9日に大暴落した後も下落が続き、1バレル当たり30ドル前半での値動きが続いている。一方の天然ガスは1.600ドル付近までの下落の後は上昇と下落を繰り返しながら前週の最安値より10%以上高い1.900ドル付近まで上昇し、2.000ドル回復が見えてきている。今日はEIAの推計を基に原油と天然ガスの生産量の予測を考えてみたい。

今年以降の原油価格の予想と原油生産量の予想
図1 世界の原油生産と需要、需給バランス(出展元 EIA)
West Texas Intermediate (WTI) crude oil price
図2 WTI原油価格予想(出展元 EIA)

EIAの推計では図1の様に2020年前半に新型コロナウイルスの感染拡大による需要減少から日量170万バレルまで在庫が膨らみ、後半には原油価格の下落に伴う供給の減少と新型コロナウイルスの流行終息による世界経済の回復から需要が増加し、需給バランスが安定すると推定している。北海ブレント原油価格は2019年に平均1バレル当たり64ドルだったものが、2020年には43ドルまで下落する予想となっている。四半期別では第2四半期に平均37ドルの底値をつけ、第3第4四半期は上昇する見通し。また、2021年も需給の改善から平均55ドルまで上昇すると予想している。図2はNYMEXのWTIの原油価格予想で、第2四半期に30ドル近傍での底値となり、その後は翌年にかけて上昇していく予想となっている。

原油生産については、原油価格が生産へ反映されるのに時間がかかるため、年内5月までは1320万バレル/日台で推移し、その後、年末にかけて1280万バレル/日まで減少すると予想されている。年の前半は原油生産量が維持されて、後半より減少する結果、2020年の平均生産量は前年より約80万バレル増加(前回の予想より増加幅は30万バレル減)した1300万/日バレルに達する。2021年に入ると減産の影響が出てきて、1270万/日バレル(前回の予想より110万バレル減)まで減少すると予測している。

天然ガス価格予想と生産量予想
図3 アメリカの天然ガス価格の推移と今後の予想(出展元 EIA)

次に天然ガスの価格は、価格低下による発電用のガス需要の増加と減産が起きるため、今後は図3のように第2四半期から上昇に転じて、第3四半期には2.22/MMBtuに達すると予想している。

U.S. annual natural gas production
図4 アメリカの天然ガス生産量の推移(出展元 EIA)

アメリカの天然ガスの生産量は図4に示すように近年増加し、2019年には92.2Bcf/日を記録していて、EIAは今年の一日当たりの平均生産量は昨年から3%増加した95.3Bcfまで増加するとしている。ただし、月間の生産量は2月の推定96.5Bcfがピークで、12月にかけて92.3Bcfへ減少するとしている。ガス生産の減少はコストが比較的高く原油の減産が進むとされるバッケン・イーグルフォードなどシェールオイル地帯と、シェールガス生産の中心で新規井戸開発がすでに抑制されているアパラチア(マーセラス・ウティカ)を中心に発生する。

実際の米石油会社の動きや調査会社の報告

既にアメリカの大手石油会社は生産削減、設備投資、経費削減削減に動いている。先週発表された例を挙げるだけでも、

となる。調査会社の予想によると原油の探査と生産の費用が業界全体で2020年に1000億ドル、来年は1500億ドル削減されると予測している。別な調査会社は、事業を維持するための価格は少なくとも40ドルの水準が必要で、現在の水準にとどまった場合は北米事業の継続に黄色信号が灯るとしている。生産過剰により協調減産の崩壊前から利益の縮小などが指摘されていたが、ここ数週間の価格の下落によって、独立系の中小石油会社の生産削減も更に進みそうだ。

今後の予想

筆者の今後の予想としては、原油生産コストを賄えない業者の減産が進むが、OPECの増産によって、減産幅が埋められることで、更なる北米での減産が進むのではないかと考えている。よってしばらくは30ドル台での低迷が続くのではないかと考えている。天然ガスは生産量の減少が今後ガスの価格の上昇をもたらすという点はEIAの予想と同じだが、前述の通り原油の生産はもっと減少すると考えているので、上昇幅はより大きく、2.5ドルから3.0ドル付近まで上昇するのではないかと考える。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。