アメリカ産原油の生産性(つらつら分析3月17日)

始めに

昨日の原油相場は、新型コロナウイルスの感染拡大による原油需要の落ち込みと、サウジアラビア・ロシアによる増産予定が懸念材料となり、大幅下落した。アメリカの戦略備蓄の拡大や金融緩和は特に材料視はされなかった。今日もエクソン・モービルやシェール大手のパイオニアが経費削減を打ち出すなど、新規投資の削減や採算性の低い油田から、アメリカ産原油は減産を迫られているが、今日はアメリカ産原油・天然ガスの地域ごとの生産について見ていきたい。

アメリカ産原油・天然ガスの直近の生産見通し
key tight oil and shale gas regions
図1 主なシェールオイル・シェールガス産地(出展元 EIA)

図1はアメリカのシェールオイル・シェールガスの主な生産地を示している。これらの産地での生産量(予定)を纏めると以下の表1となる。全体として原油も天然ガスも生産量の増加が続いている。原油価格は下落しているがアメリカ産原油・天然ガスの生産は少なくとも4月までは増加の見通しで、増産が止まっていないことがわかる。

表1 シェールオイル・シェールガス生産量比較(出展元 EIA)

地域2020年3月
(1000バレル/日)
2020年4月
(1000バレル/日)
増減2020年3月
(Mcf/日)
2020年4月
(Mcf/日)
増減
アナダルコ527517-1073417198-143
アパラチア14914903278632555-231
バッケン14691468130713065-6
イーグルフォード13451344-1685168510
ヘインズビル393912445124472
ナイオバラ774766-857115692-19
パーミヤン47544792381696217171209
平均842856143846380937

次に採掘済の井戸数を地域ごとにまとめたものが表2となる。シェールオイル・シェールガスは1年ほどでそれぞれの井戸の生産のピークを迎えて、3年から5年で掘りつくして次の井戸へ生産を移していくため、掘削済みだが生産していない掘削済・未仕上げ井戸(DUC)の数が今後の生産量や現在の投資額を映すパラメータとなっている。パーミヤンが最も井戸が多く、井戸数も増加しており、今後も原油・天然ガス生産にとって最も有望な地域といえる。

表2 シェールオイル・シェールガス掘削済・未仕上げ井戸(DUC)数(出展元 EIA)

地域2020年1月
2020年2月
増減
アナダルコ752703-49
アパラチア574565-9
バッケン83985213
イーグルフォード13731360-13
ヘインズビル231230-1
ナイオバラ457445-12
パーミヤン3471348211
平均76977637-60
今後の見通し

原油価格の下落に伴い石油各社の支出(設備投資)の減少が報道されているが、やはり、生産量への反映には時間が掛かることが上の表から確認できる。ロシアやサウジアラビア、UAEの増産が伝えられていることや、新型コロナウイルスの感染拡大による経済の混乱と原油需要の減退が留まる気配がない。加えて、アメリカの生産が4月になお伸びるため、今月よりも来月4月の方が生産増加と需要減少によって需給バランスが更に崩れることが予想される。原油価格は30ドルを割り込み続けると考えるのが妥当だろう。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。