南米穀物産地の状況(つらつらコラム3月18日)

始めに

新型コロナウイルスの感染の拡大による、世界経済への減速で需要の先行き懸念が高まっている中、南米のブラジルやアルゼンチンではコーンや大豆の収穫がこれから最盛期を迎える。今日は、ブラジルとアルゼンチンの状況についてまとめてみた。

生産量予測

作付け面積が記録的に急増したブラジルでは、大豆の予想収穫量は1億2600万トンで、先月の予測から1%増加し、昨年の実績より9%増大している。また、2月下旬までに収穫の4割が終了し、その単収は昨年より6%向上した。アルゼンチンでは主要産地での好天によって大豆の予想収穫量が5400万トンと2月より2%増加する。

大豆については中長期的には農地はさらに拡大する見込みだが、国内消費の増大によってブラジル産大豆の輸出量に制限がかかる可能性が生じている。バイオ燃料向けの消費が大幅に増える見通しで、国内消費が前年比で8%増大することが予想される。今後2023年のディーゼル燃料へのバイオディーゼルの配合率の引き上げ(12%→15%)によって国内需要がさらに拡大すると予想される。また、豚コレラウイルスがアジアで広がったため、ブラジル産畜肉の需要が増大しており、家畜用の大豆かすの需要が増大していることも大豆の国内消費の増加に寄与すると考えられている。

価格予想だが南米の生産量が増えていることからUSDAは大豆価格を5セント引き下げられた870セント、コーン価格を380セントと見込んでいる。実売価格の例としてS&Pグローバルプラッツの調査によると、ブラジル・サントス港積み大豆は340.72ドル/メトリックトン(*メトリックトンは日本で通常使われるトンと同じだが、売却価格のためあえて表記しておく)、一方でアメリカ・ニューオーリンズ積み大豆で344.01/メトリックトンと評価しており、アメリカ産大豆の方がやや高価となっているが、収穫期に入ったブラジル産が格安という状態ではないことがわかる。

天候

下の図1、図2はそれぞれアルゼンチンとブラジルの降水量の分布を見たものとなる

図1 アルゼンチンの降水量(出展元 NOAA)

今週は主要産地である、ブエノス・アイレス州を中心に局地的にまとまった雨が降り、乾燥していたこれらの地域のコーンや大豆とって非常に有益な雨となった。ただ、周辺地域では降水量が10ミリ以下と引き続き乾燥している地域が存在している。

図2 ブラジルの降水量(出展元 NOAA)

一方のブラジルではマトグロッソ・ド・スル州とより南側のパラナ州やリオグランデ・ド・スル州で雨がほとんど降っていない上、気温が30度半ばまで上昇しており、植え付けられて間もない2番目のコーン(ブラジルでは地域によって3回コーンの作付け時期が存在する)の生育にも影響が出ることが懸念されている。パラナ州では最初のコーンの57%、大豆の68%が収穫されており、2番目のコーンは作付率84%となっている 。リオグランデ・ド・スル州でもコーンの57%、大豆の8%が収穫済みとなっているが、最新の予測では生産量が22%引き下げられている。北部では十分な降水が得られており、マトグロッソ州では大豆の97%が収穫され、コーンの作付が99%終了した。

今後の予想

ブラジル産の大豆・コーンは南部の主要産地であるパラナ州とリオグランデ・ド・スル州の大豆とコーンが高温乾燥に悩まされている以外は概ね順調な状況となっている。アルゼンチンは輸出税の引き上げによるストライキの影響と、一部の水分不足によって収穫量が減少する可能性が出ている。今週は比較的雨が降るとの天気予報になっているが、今後も生育情報に注意したい。
最後に今後の相場の予想だが、大豆とコーンの生産量の増加傾向が続き、新型コロナウイルスの感染拡大によって大豆とコーン需要が減退したままとなると予想されるので、USDAの今月初めの予想より安い価格での低迷がしばらく続くのではないかと考えている。

ただし、アフリカと中東において、先日お伝えしたサバクトビバッタの群れが図3に示すように増殖中となっており、穀物への被害が拡大すれば、相場が急上昇する可能性があるので注意したい。図4に示す最新のFAOの情報では、ペルシャ湾沿岸では多数の新しい群れが確認されている他、アフリカではエチオピア、ケニア、ソマリア(中央政府がないため情報が不足している)で増殖中で、北西側へ今後群れが移動し、被害が拡大する見通し。

http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/200317updateE.jpg
図3 3月17日時点で新しく確認されているサバクトビバッタの群れ(出展元 FAO)
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/DL497riskE.jpg
図4 3月19日時点でのFAOによる要警戒の群れの位置(出展元 FAO)

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。