エネルギー速報:EIA統計と今後の見通し(つらつら分析3月26日)

 

コロナウイルスの感染拡大の影響による原油需要の低下

EIAの原油週間統計が発表された。今週の統計は3月11日にアメリカが欧州連合からの入国を制限し始めて以降、3月14日から20日までのデータが含まれるので、新型コロナウイルスのアメリカでの感染拡大の影響が表れ始める最初の統計となる。特に注意して内容を見ていきたい。

EIA週間統計
在庫

原油在庫の増加は前週と比べて大きな差がないが、ガソリンと留出油の取り崩しがおよそ4分の1と大幅減となっている。

表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

EIA週間原油統計     今週(3/26)前週(3/19)    
原油(万バレル)162増195増
ガソリン(万バレル)153減618減
留出油(万バレル)67減294減
クッシング在庫(万バレル)85増56増
原油生産と輸出入

1日当たりの原油生産は1300万バレルの水準を維持しており、輸出入に関しては前週や4週平均と比べて大きな差はない。

表2 原油生産と輸出入 (出展元 EIA)

原油生産と輸出入今週前週 4週平均前年同時期
原油生産(万バレル/日)1300131013051207
原油輸入(万バレル/日)611653632680
原油輸出(万バレル/日)385437394290
石油製品生産量

製油所への原油投入量、製油所稼働率は前週と比べてほぼ横ばいで、石油製品の生産も前週と比べて大きな差はない。

表3 石油製品生産量 (出展元 EIA)

製油所稼働率等(4週平均) 今週(4週平均)   前週(4週平均)     前年度同時期(4週平均)  
原油投入量(万バレル/日)157615801602
製油所稼働率(%)86.786.987.8
ガソリン生産(万バレル/日)  966987976
留出油生産(万バレル/日)   471472487
石油製品供給(需要)

石油製品の供給(需要)はガソリンが85万バレル、ジェット燃料が27万バレル、留出油が22万バレルそれぞれ減少した。新型コロナウイルスの感染拡大で防止のための移動制限や自粛のため、前週だけでなく4週平均や前年と比較しても大幅な需要減少となったことがわかる。

表4 石油製品供給(需要)量 (出展元 EIA)

石油製品今週前週 4週平均前年同時期
ガソリン供給(万バレル/日)883969929918
ジェット燃料供給(万バレル/日)146173161177
留出油供給(万バレル/日)379401403425
石油製品価格

石油製品は原油価格の下落とともに暴落し、ガソリン受渡価格(小売価格ではない)が3週間前の3分の1、ディーゼル燃料受渡価格が同半額となっている。

表5 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

スポット価格(ニューヨーク港渡し)今週(3/20)前週(3/13) 2週間前(3/6) 3週間前(2/28)
レギュラーガソリン価格(ドル/ガロン)0.6060.9291.3831.833
ディーゼル燃料(ドル/ガロン)0.9911.1751.4051.963
原油(ドル/バレル)19.4831.7241.1458.41
今後の見通し

今週のEIA統計には、新型コロナウイルスの感染拡大の影響として、自動車用ガソリン、ジェット燃料の需要の減少が表れてきた。来週の統計には3月21日以降に行われた移動制限や外出禁止の影響が更に現れるはずで、新型コロナウイルスの感染によるエネルギー需要の減退がはっきりしてくる。現状で、ガソリンとジェット燃料、ディーゼル燃料合わせて1日当たり130万バレルほどが供給過剰となっており、この量はアメリカの産油量の約10%に当たる。今後は石油製品の在庫の増加という形で影響が拡大すると考えられる。アメリカ国内のガソリンなど石油製品需要が上向くまでは、産油国が増産を計っているため、原油価格は現在の水準から更に弱含みとなると予想する。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。