エネルギー速報:シェールオイルの生産削減の加速と原油・天然ガスの中長期見通し(つらつら分析3月27日)

 

原油価格の低下と投資の削減

原油価格は3月の6日のOPECプラスの会合の決裂によって協調減産が崩壊して、4月から増産レースが始まることはすでに過去のコラムで述べた。サウジアラムコは4月の予定出荷量を日量1320万バレルとすると発表している。原油価格の安定のため、減算をサウジアラビアへ依頼する動きがアメリカであるが、いまだ結果を得られていない他、仮に減産となっても、サウジアラビア単体の減産は過去にシェアを失った失敗から行われることはまずないと考えられている。結局ジャスティングボードはロシアが握っているといって良いと思われる。

新型コロナウイルスの感染拡大と需要の減少

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。各国が航空機による大陸間移動や自動車などによる国内移動を制限した結果、原油需要が大きく減少している。世界の原油需要は概算で日量1億バレルだが、3月の原油需要は日量1050万バレル、4月には1870万バレルの需要減少が予測されている。これに伴って原油価格が急落しており、現在WTIで20ドル台前半で推移している。過去の推計ではWTIの原油価格が30ドルの水準で、アメリカで日量100万バレルの減産、20ドルの水準では第2四半期だけで日量360万バレル減少、第3四半期には更に140万バレル減少するとの最新の予測がでている。

設備投資削減と原油価格の見通し

原油価格の下落から既に独立系といわれるシェールの大手生産者であるOccidental、Apache、Diamondback Energy、Continental Resources、ConocoPhillips、Concho Resorces、Pioneer Natural Resources、Parseley Energy、Climarexなどが各社数十億ドル規模の設備投資を削減を発表しており、大手メジャーでもExxonMobileやChevronなどが設備投資を削減している。Chevronの例ではシェールオイルの最も効率の良い生産地パーミヤン盆地(採算ライン45ドル)では稼働するリグの数を半減させ、年内の生産を20パーセント以上減少させる。業界全体では1070億ドルが予定されていた今年の設備投資の内430億ドル以上が減少し、先週末で664基だった稼働中の原油採掘用リグは60%減少すると予想されている。会社の株式価値もS&P500の下落率に比べて更に20%以上下落しており、多くの企業がすでに倒産に直面している。原油価格の回復はコロナウイルスの感染終息にかかっていると思われるが、全く時期の見通しが立たない他、4月からは産油国の増産が始まるため更に下落が進み、恒常的に10ドル台まで下落するのではないかと予想している。その後は急速に生産が調整されると考えられ、来年には40ドル台まで回復すると予想する。

天然ガスの価格回復の見通し

天然ガスの一部はシェールオイル掘削時の付随ガスとして産出するが、原油急落による設備投資削減によって天然ガスの生産量も削減される。3月初めには原油価格の下落は天然ガス価格の価格の回復につながり、今年の冬までに回復すると想定されていた。ただし、ここへ来てアメリカ国内のコロナウイルスの感染拡大に伴って企業活動が制限された結果、オフィス用電力の需要が急速に減退しており、既に電力卸売量では減少が見えている。今後電力価格全体の下落が予想されることから、発電業者の財務体質が悪化し、見込まれている石炭発電所の天然ガス発電所への置き換えが予定通り進まず、需要の拡大が予測通りには見込めない可能性が出てきている。この他、企業活動の減退で冷房用需要等も大きく減少すると考えられることから、先の予想で今年の冬までに2倍(3ドル)といわれていた天然ガス価格の回復は難しく、2ドル近傍に留まった後に2021年の夏以降に生産・在庫の減少と需要の回復から価格が回復すると筆者は考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。