エネルギー速報:採掘用リグ数の激減(つらつらコラム3月31日)

シェールオイル、シェールガス採掘用リグの減少

天然ガスや原油の採掘リグ数の減少ペースが上がっている。3月27日に発表された天然ガス採掘用のリグ数は102基と前週に比べて4基減少した。昨年同時期には193基、昨年末には128基、先月は110基あったが、天然ガスの過剰生産と価格の下落を受けて減少が続いている。原油と付随ガスを生産する原油採掘リグの方も664基から40基減少して624基となっている。こちらも前年同時期には820基を超えていたが、昨年末には677基まで減少し、新型コロナウイルス蔓延による原油需要の大幅な落ち込みと産油国の増産見通しに起因する原油価格の下落を理由にこれまで以上のペースで減少が続いている。

図1 天然ガス採掘用リグ数(出展元 EIA)

これまで天然ガス採掘用リグ数が大きく落ち込んだのは、図1に示す通り、原油価格が低迷した2015年から2016年中頃で、それ以来のリグ数の減少となった。これを受けて昨日週明け月曜日の天然ガス相場は上昇した。

図2 地域別天然ガス生産量(出展元 EIA)

実際にEIAのまとめた月ごとの生産量グラフを見ると、図2に示す通りアメリカにおける天然ガスの生産量は昨年の11月にピークを迎えて減少に転じている。グラフからは12月の時点でもパーミヤンやヘインズビルなど一部の産地ではいまだ生産量が増加しているが、生産量で最大の割合を占めているマーセラス・シェールガス田(副産物として原油が得られないことが特徴)では明らかに減少している。

今後の見通し

天然ガス価格だけでなく原油価格も下落しているため、シェール産業全体が危機に面しており、設備投資を減少により稼働中のリグ数が大幅減少している。1月の時点ではリグ数の増加が続いていたカナダでも同様に減少(天然ガスリグ21%減、原油リグ65%減)に転じている。シェールエネルギーの特徴として一つの井戸の寿命がおよそ3年と短いため、現在の投資の削減は3年後の生産高が減少することを意味する。昨日、原油価格は一時20ドルを割り込み2002年以来の安値となる19.26ドルを付けた。今後も原油需要の落ち込みのためにシェール各社の設備投資削減が続けば、原油だけでなく天然ガスの生産量もさらに減少することになる。すでに一部の地域では生産量の減少が目に見える形で出てきている。明日から無減産時代に突入する原油の価格は18年ぶりの安値水準となっていて先行きが見えないが、原油価格の低迷はアメリカでの原油・天然ガスの減産をもたらす。標準以上の暑さが予想される夏を織り込む6月限では天然ガス価格は期近に対して0.1ドルほど高い1.800ドルほどだが、原油安による天然ガス生産量減少ペースの増加で、昨年の下限値付近の2.000ドルまでは上昇するのではないかと筆者は考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。