エネルギー速報:天然ガス在庫と今後の見通し(つらつらコラム4月17日)

 

週間天然ガス在庫
図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

今週の天然ガスの在庫量は+73Bcfとなった。図1は過去2年間の天然ガス在庫の変動と五年平均を重ねて見たもので、既に冬の暖房シーズンが終わって底を脱しており夏の在庫の増加するフェイズに入った。現在の在庫量は2017年以来で最高値を記録している。新型コロナウイルスの感染拡大による需要減などが統計上に見えているかどうかを中心にみていきたい。

表1 地域別天然ガス在庫(出展元EIA)

天然ガス需要と供給

表2は今週の天然ガス供給側統計で天然ガスの生産は93.8Bcfと依然として過去最高水準の値が維持されている。カナダからの輸入が先週より増加し、設備上の上限値に近くなっている。

表2 部門別天然ガス供給(出展元EIA)

表3は部門別に天然ガス需要の統計となる。今週は前週と比べて天然ガスの総消費量が3%増加し、住宅用・商業用需要が9%の増加となった。一方で発電部門は横ばいだった。これは気温の低下が顕著で、新型コロナウイルスの感染拡大による商業用施設での消費量の減少を上回ったと考えられえる。

表3 部門別天然ガス需要先(出展元EIA)

図2はアメリカから輸出されたLNGの量の推移を示している。2月上旬に過去最高レベルを更新しているが、その後は9Bcfの水準で推移しており、新型コロナウイルスの感染拡大による影響があるかどうかはまだ判然としない。

North America's Natural Gas, Oil Capex Still Shrinking as Demand ...
図2 アメリカのLNG輸出量(出展元 NGI)
今後の見通し

今週は天然ガスの在庫は積みあがったが、消費の減少から5年平均と比べて顕著な増加率を示すには至っていない。今週の天然ガスの消費は春の冷え込みで暖房用需要が急増したため、住宅・商業用が大きく増加した。産業用の消費量も横ばいとなった。加えて、LNGの輸出量にもまだ顕著な減少は見られていない。まとめると、天然ガスの新型コロナウイルスの感染拡大による需要減予測の統計への反映の気配はまだないといえる。生産面では、アメリカの産油・産ガス量は原油価格の下落によるシェールオイル・ガスの非採算化によって生産が減少する兆しが見えるとの見方が相場の支援要因になっている。実際、付随ガスが生産できる原油リグは前週に比べて10%、天然ガス採掘リグは4%の減少となった。前年と比べると40%以上の大幅減となっており、図3は天然ガスの生産量の推移を示しているが、これまで右肩上がりだった生産が直近に当たる赤丸で示した部分で横ばいとなっており、増加にはブレーキが掛かっている。総合すると従来の予想より需要が堅調であり、短期的にはそれを材料に天然ガス相場が上がることがありそうだ。

図3 天然ガスの生産量の推移(出展元 EIA)

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。