エネルギー速報:EIA統計と今後の見通し(つらつら分析4月2日)

 

コロナウイルス対策による原油・ガソリン需要の低下

EIAの原油週間統計が発表された。今週の統計には新型コロナウイルスのアメリカ本土での爆発的な感染拡大が始まった時期が含まれており、原油在庫やガソリンの在庫が大幅増加となった。内容を見ていきたい。

EIA週間統計
原油と石油製品の在庫

原油在庫が1200万バレル以上増加し、ガソリン在庫も減少から積み上げに変った。留出油については取り崩しが続いており、なお需要が旺盛と見られる。

表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

API統計(参考) EIA統計EIE統計前週
原油(万バレル)1048増1383増162増
ガソリン(万バレル)605増752増153減
留出油(万バレル)445減219減67減
クッシング在庫(万バレル)292増352増85増
原油生産と輸出入、戦略備蓄

1日当たりの原油生産は1300万バレルの水準を維持しており、輸出入に関しては前週や4週平均と比べて輸出が70万バレルの減少となった。また戦略備蓄の量には購入による変化は見られない。

表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)

原油生産と輸出入今週前週4週平均前年同時期
原油生産(万バレル/日)1300130013021210
戦略備蓄(万バレル/日)635635
原油輸入(万バレル/日)604611627674
原油輸出(万バレル/日)315385369288
石油製品生産量と製油所稼働率

製油所への原油投入量は前週(4週平均)と比べて若干の減少、石油製品ではガソリン生産が減少し始めている。留出油については横ばいで、製油所の稼働率は低下傾向にある。

表3 石油製品生産量 (出展元 EIA)

製油所稼働率等(4週平均) 今週 前週 前々週  前年度同時期 
原油投入量(万バレル/日)1556157615801597
製油所稼働率(%)85.686.786.987.4
ガソリン生産(万バレル/日)  908966987978
留出油生産(万バレル/日)   479471472489
石油製品供給(需要)

石油製品の供給(需要)はガソリンが218万バレルの大幅減となった。そのほかはジェット燃料が13万バレル減少、留出油の供給は11万バレル増加した。新型コロナウイルス対策の移動制限の影響がガソリンとジェット燃料の供給へ出てきていると考えられる。

表4 石油製品供給(需要)量 (出展元 EIA)

石油製品今週前週4週平均前年同時期
ガソリン供給(万バレル/日)665883866920
ジェット燃料供給(万バレル/日)133146152157
留出油供給(万バレル/日)390379402393
石油製品価格

ニューヨーク港渡りの原油価格は今週も下落していて、ガソリン受渡価格(価格)は今週値下がりした。ディーゼル燃料の受渡価格は若干の上昇となった。

表5 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

スポット価格(ニューヨーク港渡し)今週(3/27)前週(3/20)2週間前(3/13) 3週間前(3/6) 
レギュラーガソリン価格(ドル/ガロン)0.5500.6060.9291.383
ディーゼル燃料(ドル/ガロン)1.0380.9911.1751.405
原油(ドル/バレル)15.4819.4831.7241.14
今後の見通し

今週のEIA統計では、原油在庫が大幅な積み増された他、ガソリン在庫も生産が減ったにもかかわらず、それを上回る需要の大幅減少でこれまでの取り崩し傾向から一転して大幅に積みあがった。ガソリンは大きく生産過剰となっており、アメリカ国内の需要が落ち込んでいることが明らかに見えている。

昨日、シェール企業ホワイティング・ペトロリアムが会社更生法を申請したというニュースが入った。同社はノース・ダコタ州のバッケン地域で生産を行っていたが、原油価格の暴落が起きて以来初の破綻石油会社となった。トランプ・アメリカ大統領は今後石油会社の支援策について大手石油会社の幹部と会談する見込みで、油類の輸送についてアメリカ船舶を使う規制の一時解除やサウジアラビア産原油に対する関税が支援策として浮上していると報道されている。

ロシアとサウジアラビアの間での協議は今朝の時点で行われていないとロシア当局者が語っている。ただし、ロシアは増産を計画していないと同当局者は発言している。一方で、サウジアラビアは昨日から予定通りフル生産に入ったと報じられている。世界的な需要減によって売り先の確保が難しいとも伝わっているが、日量1200万バレルとなり3月よりも200万バレル以上の増産が行われる見通し。

トランプ・アメリカ大統領は米新聞社にロシアとサウジアラビアは近く対立を解決すると語っている。具体的な方策、詳細については判明していないが、原油相場を左右するので続報には注意したい。もし解決しない場合、原油価格はいよいよ20ドルを割り込み、10ドル台前半に向けて下落すると筆者は考える。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。