エネルギー速報:天然ガス在庫と採掘用リグ数の変化、今後の見通し(つらつらコラム4月24日)

 

週間天然ガス在庫
Working Gas in Underground Storage Compared with Five-Year Range
図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

今週、発表された天然ガスの在庫量は+43Bcfとなった。図1は過去2年間の天然ガス在庫量と五年平均の中央値と最小値と最大値の幅を重ねたものとなる。夏に向かって在庫の増加が続いている。今週も、新型コロナウイルスの感染拡大による需要減や原油安による生産量減が統計に見えているかどうかを中心にみていきたい。表1は在庫増の内訳で、寒気により消費が多かった東部ではほとんど増加しなかったが、暖かかった南部を中心に在庫が増加した。

表1 地域別天然ガス在庫(出展元EIA)

天然ガス需要と供給

表2は天然ガス供給側の内訳で天然ガスの生産は93.3Bcfと先週の93.8Bcfよりわずかに減少したものの、依然として前年を上回っており、過去最高水準を維持している。また、カナダからの輸入は先週より減少した。

表2 部門別天然ガス供給(出展元EIA)

表3は天然ガス需要の部門別統計となる。今週は前週と比べて天然ガスの総消費量が2Bcfの減少となった。発電量の需要が1.5Bcf、工業用が0.6Bcfの減少となり住宅用・商業用需要は横ばいだった。これは寒波による気温の低下が大量消費地の東部で続いており、新型コロナウイルスの感染拡大で閉鎖された商業用施設向け消費の減少を上回ったと考えられる。一方で工場の閉鎖から工業用が、電力需要の減少からそれぞれ消費が減少したと思われる。

表3 部門別天然ガス需要先(出展元EIA)

リグ稼働数

図2は過去13年分の原油・天然ガス採掘用リグ数の総計を表している(色はリグの採掘方法の違いを示しているが、ここでは触れない)。見にくいが現在(前週時点の集計)リグ数は523基となっていて、2015年からの原油安による減少の底に近づいている。

図2 天然ガス採掘用稼働リグ数(出展元 EIA)

表4は原油と天然ガスの採掘用リグ数、前週比の変化と前年比の変化を見たもので、採掘用リグの数は前週4月14日の時点で、7日の週に比べておおよそ10%の減少となっている、昨年同時期と比べるとおおよそ50%の減少となっているが、直近で急速にリグ数が減少していることがわかる。

表4 原油採掘リグ数と天然ガス採掘リグ数及び前週比と前年比(出展元 EIA)

今後の見通し

天然ガスの需要には新型コロナウイルスの影響と思われる、工業用や発電用需要の減少が生じている。供給面では採掘用のリグ数が急速に減少しており、このままのペースで減少すれば、直近13年で最低の数になることがほぼ確実だと考えられる。これに伴い、天然ガスの生産量が減少するのは確実で、筆者は夏の限月を上回る2.500ドル程度への上昇を考えている。現在、天然ガスの需要に大きな減少は見られていないが、新型コロナウイルスの治療薬の登場などで、市場で予想されている需要減の可能性が小さくなれば需給が締まると考えられる。再度の増産にも時間が掛かるため一時的に夏ごろに需給がひっ迫するならば、3.000ドルを超えるような局面があると考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。