目次
クロッププログレスレポートによるアメリカの作付け状況
今日はUSDAが発表した、2020/2021年シーズンの大豆とコーンの作付け状況などについて紹介する。4月26日の時点での作付け率は以下の通り。
今週 | 前週 | 前年同時期 | 平年(5年平均) | |
大豆作付け率 | 8% | 2% | 2% | 4% |
コーン作付け率 | 27% | 7% | 12% | 20% |
コーン発芽率 | 3% | – | 2% | 4% |
大豆、コーン共に平年と比べても農作業が進展している。ただし、コーンの発芽率に関しては冷え込みがあるためか平年より遅れている。
州ごとにまとめたデータは次の通りとなる。表2は大豆のデータだが、ルイジアナ州やミシシッピー州といったコーンベルト外の州では作付けは平年並みの進捗で、コーンベルトではイリノイ州やインディアナ州、ネブラスカ州、アイオワ州で作付けが平年よりかなり早いペースで進んでいる。
大豆 | 今週 | 前週 | 前年同時期 | 平年(5年平均) |
アーカンソー | 12 | 8 | 9 | 22 |
イリノイ | 18 | 2 | 2 | 4 |
インディアナ | 11 | 2 | – | 3 |
アイオワ | 9 | – | 2 | 2 |
カンサス | 2 | – | 1 | 1 |
ケンタッキー | 18 | 9 | 3 | 2 |
ルイジアナ | 33 | 24 | 22 | 33 |
ミシガン | 4 | – | 1 | – |
ミネソタ | 5 | – | – | 1 |
ミシシッピ- | 30 | 21 | 19 | 37 |
ミズーリ | 2 | – | 2 | 3 |
ネブラスカ | 8 | – | 2 | 2 |
ノースカロライナ | 5 | 1 | 4 | 2 |
ノースダコタ | – | – | – | – |
オハイオ | 2 | – | 1 | 2 |
サウスダコタ | 1 | – | – | – |
テネシー | 8 | 2 | 2 | 3 |
ウィスコンシン | 2 | – | – | – |
全国平均 | 8 | 2 | 2 | 4 |
次に表3はコーンのデータとなる。こちらもテキサス州やノースカロライナ州といったコーンベルト外の州では作付けは平年並みの進捗となっているが、コーンベルトのミネソタ州やアイオワ州では作付けが平年の倍のペースで進んでいる。
コーン | 今週 | 前週 | 前年同時期 | 平年(5年平均) |
コロラド | 17 | 4 | 6 | 9 |
イリノイ | 37 | 8 | 7 | 31 |
インディアナ | 18 | 4 | 2 | 22 |
アイオワ | 39 | 2 | 16 | 20 |
カンザス | 24 | 13 | 27 | 31 |
ケンタッキー | 44 | 25 | 25 | 27 |
ミシガン | 3 | – | 1 | 3 |
ミネソタ | 40 | 1 | 1 | 19 |
ミズーリ | 25 | 11 | 37 | 46 |
ネブラスカ | 20 | 2 | 12 | 16 |
ノースカロライナ | 62 | 49 | 46 | 61 |
ノースダコタ | – | – | 1 | 4 |
オハイオ | 3 | – | 2 | 8 |
ペンシルヴァニア | – | – | 4 | 7 |
サウスダコタ | 8 | – | – | 6 |
テネシー | 35 | 23 | 36 | 42 |
テキサス | 67 | 64 | 63 | 62 |
ウィスコンシン | 11 | 1 | 3 | 5 |
全国平均 | 27 | 7 | 12 | 20 |
アメリカの洪水予報
図1から3はアメリカのコーンベルトの今後1週間の洪水予報を示している。図1が西部、図2が中央部、図2が東部で緑が通常、黄色が洪水未満の増水、オレンジが小規模洪水、赤が中規模洪水、青が大規模洪水、灰色は予報なしを示している。今年も春の雪融けと雨のシーズンに入っているが、去年ほどの雨となっていないこともあり、洪水の地域もあるが、大規模な洪水が発生する予報とはなっていない。好天に恵まれて今シーズンは今後も順調に農作業が進展すると考えられる。



今後の見通し
新型コロナウイルスの感染拡大で、精肉工場・加工工場が閉鎖されたことに伴って特に大豆で家畜向け需要の低下懸念を材料とした売りが入り続けている。コーンについては原油安が続いている影響で、燃料用エタノール向けの需要減懸念が引き続き相場の重しとなっている。また、コロナウイルスの流行による作付け遅れと穀物供給への影響が懸念されていたが、今年は好天に恵まれており、コーンベルト以外では平年並み、コーンベルトでは平年以上のペースで作付けが進んでいる。ただし、コーンベルト北部を中心に最低気温が氷点下を記録するなど冷え込みが続いており、現時点での発芽率は平年のペースを下回っている。今年の農作業は幸先の良いスタートを切っており、作付けや洪水懸念のない状態が夏の受粉時期までは続くと現時点で筆者は考えている。
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。