エネルギー速報:OPECプラス会合延期と減産量予測(つらつらコラム4月6日)

会合の延期

先週金曜日にOPECプラスの緊急会合が、6日にロシア・サウジアラビア・アメリカ参加の形で開かれて日量1000万バレル規模での減産を協議するとの情報から、原油相場は大幅上昇して一時29.00ドルを付けるまでに上昇した。前日にはトランプ・アメリカ大統領が、サウジアラビアとロシアで日量1500万バレルの減産を行うとの報道を受けて上昇したのに続いて続伸した。図1の様にこれまでもOPECがOPECプラスへ拡大し、減産が強化された2018年1月での原油価格の反転や、減産が破棄された今年3月6日には急落と、大きな動きが見られた。今回も同様なトレンドの転換が起きる可能性が高いかと考えている。

図1 WTI原油先物週足(出展元 サクソバンク証券株式会社)

しかし、土曜日にはOPECプラスを超えた枠組みでの減産を行うための日程調整が難しくなったとの理由から開催が延期された。暫定的に9日への延期が決定されているが、月曜日の現時点で開催日程はまだ決まっていない。減産幅については1000万バレルから1500万バレルの間で議題として協議されているとの観測が高まっており、ロシアのプーチン大統領はOPECプラス+アメリカ全体で1000万バレルの減産は可能だとのコメントが報じられた。需要面からは3月25日のゴールドマンサックスのレポートによると、世界需要の10%に当たる1080万バレルの需要が3月に失われ、4月には1870万バレルに達するとの推計が出されている。

産油量と需要減

主な国の産油量はおおよそ

となっている。ロシアとサウジアラビアだけで1000万バレル規模の減産を行うことは、両国の産油量のほぼ4割に当たる原油の減産が必要で非常に困難といえる。この場合アメリカの減産量が焦点となるが、アメリカの原油は他に2国とことなり完全に民間会社が生産を行っており政府主導の減産が可能かどうかは分からない。とはいえ業者主導の自主減産はカルテルとして独禁法に触れるため難しい。残る手段は州ごとに規制を掛けるという方法が可能で、過去例えば、テキサス州(今年1月時点での産油量日量500万バレル)が過去に実施した前例がある。需要減を考えると1000万バレル規模の減産が出来ないのであれば、会合を行わない方が市場への影響が少ないため、3国が大枠で同意しない限り、会合の開催自体が難しいのではないかと考えている。アメリカ政府とカナダ政府は共同でサウジアラビア産の原油へ減産が行われない場合、関税をかけると報道されたが、アメリカのサウジアラビア産への依存はすでに日量40万バレルと大きくはないため、サウジアラビアへの大打撃となるとは考えにくい。会合の同意にはアメリカの減産が必要不可欠と考えられ、この問題がどう解決するかに注目したい。

筆者予想の減産幅

アメリカの減産が不可欠との前提で減産幅を予想する。アメリカでは先日、メキシコ湾海上油田での感染拡大懸念という記事が出ている。海上油田という閉鎖空間でのコロナウイルスの感染拡大防止を大義名分に海上油田を封鎖することは、理解は得やすく政府による実施もたやすいと考えられる。メキシコ湾での原油生産は日量200万バレル程度であり、これをアメリカの可能な減産幅として考えると、ロシアが100万バレル減産に加えてベネズエラとノルドストリーム2でアメリカがロシアの石油会社に行っている制裁解除、サウジアラビアが増産分200万バレルの取りやめと追加で100万バレル当たりが上限となるのではないかと考える。加えて、残りをOPEC(サウジアラビア以外で産油量約2000万バレル)とOPECプラス(ロシア以外の産油量約3000万バレル)が分担し、

以上で見かけ上1000万バレルというのが、協調減産時の減産量を考えると現実的な数字ではないかと考えている。

今後の見通し

OPECプラスの会合は延期されたが、開催日程は正式決定していない。消息筋は8日か9日の開催で調整していると報じられている。仮に開催された場合に現在検討されている減産幅は、4月の需要減の予想値日量1870万バレルより最大減産幅と看做されている1500万バレルでも400万バレルほど少ない。加えて、4月以降も新型コロナウイルスの感染拡大による原油需要減少への影響は強まると考えれば、1000万でも過小な数字と言える。よって、1000万バレルの減産が行われた場合も原油価格は減産発表後に35ドル程度(リーマンショック時の底値)まで上昇すれば、大成功と言えるのではと筆者は考えている。この価格の場合、サウジアラビアは赤字、アメリカはトントン、ロシアは黒字となるが、新型コロナウイルスの感染拡大がさらに進めば、追加需要減少による下落を受けた2回目の緊急減産のための会合が開かれる可能性すらあると考えている。いずれにせよ、OPECプラスの会合が開催されるまでは上昇トレンド(今日は下窓が開いて始まるも、木曜日に減産ニュースが入った際の26.00ドル付近を底値にして反転)が続くと考えられる。OPECプラスの会合決裂による失望売りで下落反転になるのか、それとも減産によって更に上昇トレンドが続くことになるのか、目が離せない。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。