南米産地の天候と状況

アルゼンチンでは収穫が始まり、コーンで19%(昨年と同程度)、大豆が9%(昨年は10%)と進んでいる。先週は図1に示す通り、栽培地域の大部分で平年以上の雨が降り、作物への恵みの雨となった。しかし、前年後半に雨が少なかったため大豆に200万トン、コーンも同等かそれ以上の損失が発生しており、生産量予測より差し引かれる見通し。また、新型コロナウイルスの検疫によって生じていた輸出障害の多くは解消し輸出が再開されている。輸出税引き上げとコロナウイルスによる混乱により4月の輸出量は例年より16.6%減少する見込み。

農業コンサルタント会社によるとブラジルでは大豆の作付面積3640万ヘクタールの内、76%の収穫が終了した。最新の大豆の予想収穫量は南部のリオグランデ・ド・スル州で季節外れの乾燥が続いているため、以前の予想より80万トン引き下げられた。図2に示す通り、リオグランデ・ド・スル州ではなお雨がなく、乾燥が続いて収穫も遅延している。最大で州の大豆収穫の40%に当たる1270万トンが損失するとの可能性が指摘されている。ただし、その他の州(マトグロッソ、マトグロッソ・ド・スル、ゴイアス、パラナ)では雨に恵まれて順調に収穫が進んでいるため、この損失を含めてもブラジルの生産量自体は昨シーズンより7%増加し、輸出量も3%増加した7200万トンと見込まれている。
今後、コロナウイルスの感染拡大のため遅れていた南米からの輸出が再開される見込みで、市場への供給が増えると考えられるが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から需要が減少する見方が根強いため、価格低迷が続くと考えられる。
サバクトビバッタ続報
今週も先日のコラムで紹介したサバクトビバッタの最新の続報を掲載する。3月下旬に広範囲で降った雨のためにバッタが生き残って産卵に入り、アフリカの角(エチオピア、ソマリア、ケニア)やイエメン東部、イラン南部で状況が悪化する可能性が出てきた。例えば、イランとイエメンでは雨によって次の世代の繁殖の環境が整い、5月に発生するバッタの数が増加する見込み。パキスタンにおいては現在のところ群れの多くがコントロールされている他、南部以外のアフガニスタンへの移動も確認されていない。
総合すると蝗害でアフリカや中東、インド・パキスタンでは農作物に甚大な損害が発生し続けているが、バッタがパキスタンから中国へ向けて移動する気配はまだない。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。