エネルギー速報:天然ガス在庫と採掘用リグ数の変化、今後の見通し(つらつらコラム5月1日)

 

週間天然ガス在庫
図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

今週、発表された天然ガスの在庫量は市場予想の69~71Bcf増に対して予想通りの70Bcf増となった。図1は過去2年間分の天然ガスの在庫量と5年平均の中央値(黒線)および最小値と最大値の幅(灰色)を重ねたものとなる。例年通り、在庫の増加傾向が続いている。
表1は在庫増減の内訳で、今週は全ての地域で在庫が増加した。

表1 地域別天然ガス在庫(出展元EIA)

天然ガス需要と供給

表2は天然ガス供給側の内訳となる。天然ガスの生産は92.9Bcfと先週の93.3Bcfよりわずかに減少が続いている。依然として前年を上回っており、過去最高水準を維持している。また、カナダからの輸入は今週も前週より減少したため、供給量の全体で1Bcf減少した。

表2 部門別天然ガス供給(出展元EIA)

表3は天然ガス需要の部門別統計となる。今週は前週と比べて天然ガスの総消費量が2.5Bcfの減少となった。発電量の需要が0.5Bcf、住宅用・商業用需要が1.9Bcf減少、工業用は横ばいだった。暖房用需要が大量消費地の東部で減少したため、新型コロナウイルスの感染拡大で閉鎖された商業用施設向け消費減少と合わせて約2Bcfと大きく減少した。工業用需要の減少は一段落した。この他LNGの輸出が減少したことで、LNG向けの消費量が0.8Bcf減少した。

表3 部門別天然ガス需要先(出展元EIA)

リグ稼働数

図2は過去13年分の原油・天然ガス採掘用リグ数の総計を表している(色はリグの採掘方法の違いとなるが触れない)。現在(前週時点の集計)リグ数は465基となっていて今週も64基の大幅減となった。これまでの最低である2015年からの原油安による減少の底に当たる2016年5月20日の404基に近づいている。

図2 天然ガス採掘用稼働リグ数(出展元 EIA)

表4は原油と天然ガスの採掘用リグ数について、前週比の変化と前年比の変化を見たもので、採掘用リグの数は前週4月21日の時点で、14日の週に比べておおよそ10%の減少となっている。昨年同時期と比べるとおおよそ55%の減少となっており、急速なリグ数の減少が続いている。

表4 原油採掘リグ数と天然ガス採掘リグ数及び前週比と前年比(出展元 EIA)

今後の見通し

今週は天然ガス需要の内、発電用需要と住宅・商業用需要、LNGの輸出が減少し需要が3.5Bcf(約4.0%)減少した。供給面では採掘用のリグ数が今週も大幅に減少しており、このままのペースで減少すれば、来週には原油採掘用と天然ガス採掘用を合わせた数が直近13年で最低の数である404を下回ることがほぼ確実と思われる。天然ガスの生産量への影響がじりじり現れており、急落はしていないが週に0.5Bcf(約1%)ずつ減少している。

IEAの予想によると2020年の天然ガス需要は電力需要が減少するなどの影響で約5%減少すると予想している。輸送用燃料需要が少ないため、天然ガスの需要減は原油に比べて小さいものとなると予想されているが、マイナスは金融危機の影響で景気が減退した2009年の2%減少以来のこととなる。また、5%に比肩する数字は1930年代の31年の13%、32年の7%が挙げられるが、この時は米国だけが天然ガスのほぼすべてのプレーヤだった時代で、今回は世界の一次エネルギーの大きな部分を占める状態となってから最大の事例となる。2009年以降の10年間一方的な消費増によって拡大を支えられてきた天然ガス産業にとって、初のショックとなると言われており、今後新型コロナウイルスの収束で需要が回復した後も、長期にわたって大規模な投資削減と生産減という形で影響が残るのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。