穀物速報:クロッププログレスレポートと需給報告の事前予想(つらつらコラム5月12日)

クロッププログレスレポートによるアメリカの作付け状況

昨日USDAが発表した、2020/2021年シーズンの大豆とコーンの作付け進捗状況について紹介する。5月11日の時点での作付け率は以下の通り。

今週    前週    前年同時期 平年(5年平均)  
大豆作付け率38%23%8%23%
大豆発芽率7%1%4%
コーン作付け率    67%51%28%56%
コーン発芽率24%8%9%22%
表1 大豆とコーンの作付け率と発芽率

今週より大豆の発芽率が掲載されている。前週は季節外れの冷え込みがあったものの大豆、コーン共に好天に恵まれたことで農作業が大きく進展した。順調に作業が進んでいることで、穀物相場の下落要因となっている。作付け進捗率はおおよそ1週間平年に比べて先行しており、冷え込みによる発芽率の低下が続いていたが、今週、平年並みまで回復している。

作付け率と発芽率を州ごとにまとめたデータは次の通りとなる。表2は大豆のデータで作付け率は前週と比べて15%作業が進捗し全体の4割弱の作業が終了した。ただし、市場予想の42%を若干下回っている。発芽率はコーンベルト東部を中心とした冷え込みで遅れていたが、コーンベルト地域を中心に発芽も進み、平年に比べた遅れをほぼ取り戻した上、コーンベルトの州ではすべての州で平年以上となっている。

大豆
作付け率
今週
      

作付け率
前週
      

作付け率
前年同時期
      
作付け率
平年(5年平均)
      
    発芽率今週
      
発芽率前週
      
発芽率前年同時期
      
発芽率平年(5年平均)
      
アーカンソー342020451981330
*イリノイ43313251026
*インディアナ3722218722
*アイオワ71461224611
*カンザス2311611612
*ケンタッキー3325121216922
ルイジアナ6851516546302946
*ミシガン35133122
*ミネソタ573523051
ミシシッピ-5139316129232043
*ミズーリ147418414
*ネブラスカ54321823611
ノースカロライナ171022166185
*ノースダコタ41417
*オハイオ24721421
*サウスダコタ2311131
テネシー20141719632
*ウィスコンシン    3514314
全国平均3823823714
表2 大豆の作付け率と発芽率(出展元 USDA)
*印はコーンベルトの州

次に表3は今週のコーンの作付け率と発芽率のデータとなる。コーンでも作付け作業が順調に進んでいる。長雨で作業が遅れた前年の2倍の進捗率、平年比べても進捗率は10%以上上回っているが、市場予想の71%には届かなかった。発芽率も季節外れの冷え込みの影響による遅延が懸念されており、オハイオ州やイリノイ州といったコーンベルト東部を中心にまだ遅れが見られるが、おおよそ例年並みまで挽回している。

コーン
作付け率
今週
      

作付け率
前週
      

作付け率
前年同時期
      
作付け率
平年(5年平均)
       
    発芽率今週
      
発芽率前週
      
発芽率
前年同時期
       
発芽率平年(5年平均)
      
コロラド51333437967
*イリノイ68561166239335
*インディアナ5133542134115
*アイオワ91784566336420
*カンザス6142455829132332
*ケンタッキー6557516042283334
*ミシガン371142634
*ミネソタ89761757323216
*ミズーリ6744517833142851
*ネブラスカ79614360309718
ノースカロライナ8979848872576571
*ノースダコタ749384
*オハイオ33103363111
ペンシルヴァニア51233228
*サウスダコタ513833877
テネシー6754758244265155
テキサス8469747570566364
*ウィスコンシン    593312393115
全国平均67512856248922
表3 コーンの作付け率と発芽率(出展元 USDA)
*印はコーンベルトの州
需給報告予想と今後の見通し

今晩、USDAより月例の需給報告が発表される。注目は新穀の生産量見通しと、旧穀の期末の在庫見通しとなる。市場の予想レンジは以下の通り。

大豆生産量予想平均予想レンジ前月見通し2019/2020年生産量
2020/2021年生産量見通し
(億ブッシェル)
41.2035.58-42.9235.58
大豆在庫予想平均予想レンジ前月見通し
2019/2020年期末在庫見通し(億ブッシェル)5.014.50-5.814.80
2020/2021年期末在庫見通し(億ブッシェル)4.522.99-6.83
表4 大豆の生産量と期末在庫見通しの事前予想(出展元 USDA、ロイター)

前週、中国との新型コロナウイルス対応を巡って応酬が続き、貿易対立へ発展するのではないかと懸念されていたが、先週末に両国の閣僚級の電話会談が行われひとまずの対立は回避された。需要面では今日、ロイター通信は中国が大豆4カーゴ(約24万トン)を買い付けたと報じた。加えて7月以降11月までに最大で20カーゴ(約120万トン)の買い付けを行う可能性があり、これは1月に締結された第1弾の貿易協定の一環であると報じられている。輸出は順調に進んでいるが、新型コロナウイルスの影響による需要減から、表4のように2019/2020年在庫は前月の見通しの4.80億ブッシェルから5.01億ブッシェルまで上方修正が予想されている。2020/2021年の生産量見通しは前年度に比べて増えているが、これは作付け面積の増大と良好な天候予想から単収の増大が予想されることが要因だと思われる。

コーン生産量予想平均予想レンジ前月見通し2019/2020年生産量
2020/2021年生産量見通し
(億ブッシェル)
156.09136.22-159.60136.92
コーン在庫予想平均予想レンジ前月見通し
2019/2020年期末在庫見通し
(億ブッシェル)
22.1420.92-23.9220.92
2020/2021年期末在庫見通し
(億ブッシェル)
34.0326.19-39.00
表5 コーンの生産量と期末在庫見通しの事前予想(出展元 USDA、ロイター)

一方のコーンは今週も約130万トンの輸出検証高が発表されるなど、一見して順調な輸出になっているが、前年の3663万トンに比べて2501万トンと7割程度の輸出量となっている。新型コロナウイルスの影響で燃料用需要の冷え込みが拍車をかける形で、表5のように2019/2020年の期末在庫は前月の20.92億ブッシェルから22.14億ブッシェルへ大幅増加が予想されている。2020/2021年の生産量は2019/2020年の生産量を上回る見通しだが、これは作付け面積の増加と良好な天候が予想されることによる単収の増加が要因だと思われる。

この他、南米の大豆とコーンの主要産地であるアルゼンチンとブラジルの生産量見通し(表6が事前予想となっている)なども報告されるので注目したい。

予想平均予想レンジ前月見通し
2019/2020年アルゼンチン産
大豆生産量見通し(百万トン)
51.150.0-52.052.0
2019/2020年ブラジル産
大豆生産量見通し(百万トン)
122.9120.6-124.0124.5
2019/2020年アルゼンチン産
コーン生産量見通し(百万トン)
49.549.0-55.050.0
2019/2020年ブラジル産
コーン生産量見通し(百万トン)
99.297.0-101.5101.0
表6 アルゼンチン、ブラジルの大豆とコーンの生産量見通しの事前予想(出展元 ロイター)

供給面では今年のコーンベルトは好天に恵まれて、平年を大幅に上回るペースで作付けが進んでいるが、季節外れの低温が続いている。週末にピークは越したものの発芽した芽に対する降霜などの影響が懸念されているため、今後も天候情報に注意が必要。

まとめると、供給面では農作業は、季節外れの冷え込みが足かせとなっているが、平年以上に順調に進捗しており、筆者は現時点では平年作以上となることを予想している。新型コロナウイルスの影響で需要が減り、在庫が増えている。未だ新型コロナウイルスの影響がいつ無くなるのか分からない状態であり、期近の大豆価格とコーン価格の低迷は少なくとも年末まで続くのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。